第3339回 パリサンジェルマン、決勝トーナメント1回戦を突破(4) キリアン・ムバッペの活躍で3年ぶり8強入り

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■ターンオーバー制でリーグ戦とは大きく異なる先発メンバーのパリサンジェルマン

 パリでの第1戦を2-0で勝利したパリサンジェルマン、初めてサン・セバスティアンに乗り込む。このところホームでは勝ちがないとはいえ、初のアウエーの地での戦いに向けてルイス・エンリケ監督は慎重にこの戦いに臨む。
 アノエタ競技場のピッチに立った先発メンバーであるがGKはジャンルイジ・ドンナルンマ、DFは右からアクラフ・ハキミ、ルーカス・ベラウド、ルカ・エルナンデス、ヌーノ・ゴメス、MFは右からウォーレン・ザイール・エメリ、ビティーニャ、ファビアン・ルイス、FWは右にウスマン・デンベレ、中央にキリアン・ムバッペ、左にブラッドリー・バルコラという陣容である。4日前に行われたモナコ戦とは先発メンバーを5人入れ替えている。悲願のチャンピオンズリーグ制覇に向けて、国内リーグ戦からメンバーをターンオーバーさせている。

■平均年齢は24歳弱、クラブのチャンピオンズリーグ史上最も若いメンバー

 ただし、4週間前に行われた第1戦とはメンバーはDFラインの2人しか変わっておらず、主将マルキーニョスとダニーロ・ペレイラが外れ、ルカ・エルナンデスとヌーノ・メンデスが加わった。マルキーニョスに代わる主将はムバッペが務める。なお、マルキーニョスはアキレス腱を痛めたため、試合から遠ざかっている。さらにプレスネル・キンペンベも負傷で長期離脱しているがこの遠征には帯同している。
 このパリサンジェルマンの先発の平均年齢は24歳弱であり、パリサンジェルマンの歴史においてチャンピオンズリーグ史上で最も若いメンバー構成となった。独走態勢に入っているリーグ戦よりもノックアウト方式のチャンピオンズリーグに重点を置いていることを考えれば、驚異的なことであろう。

■前半から優位に試合を進め、キリアン・ムバッペが先制点

 試合は、若いパリサンジェルマンが立ち上がりから試合を支配する。10分にはムバッペが左サイドをドリブルで駆け上がり、かつてレンヌに所属していたアマリ・トラオレをかわしてグラウンダーでクロスを入れる。これをバルコラがシュート、レアル・ソシエダのGKアレックス・レミノがなんとか防ぐ。
 パリサンジェルマンがエリア的にもレアル・ソシエダを押し込む展開が続いたが、15分、やや下がっていたデンベレが左前方のムバッペにロングフィードする。これをムバッペはゴールラインの前で収める。ムバッペにはトラオレとイゴール・スベルディアの2人がマークしていたが、ムバッペは角度のないところからの難易度の高いシュート、GKのレミノが届かないファーサイドのサイドネットを揺らす。移籍に関わる雑音、騒音も物ともしないエースのシュートにアノエタ競技場に集まったファンはただ驚くのみであった。
 29分にはバルコラからのパスをムバッペがまたシュート、これはレミノが足でセーブする。前半は1点差ながらパリサンジェルマンがレアル・ソシエダを圧倒する内容となった。

■ムバッペが追加点、驚異的なゴールゲッター

 後半も主役はムバッペであった。後半から出場してきた李康仁が前半のデンベレ同様に左前方にロングフィード、このパスに追いついたムバッペは一人で左サイドを駆け上がり、GKと1対1になる。このシュートを冷静に決めてパリサンジェルマンは2-0とする。  ムバッペはこれが今シーズン34試合目の出場で33得点目となる。またチャンピオンズリーグでは通算45得点目となるが、ムバッペはまだ25歳である。25歳75日のムバッペは24歳257日で45得点を達成したリオネル・メッシについで2番目に若い到達者となった。そしてムバッペにとってチャンピオンズリーグのアウエーゲームはこれが32試合目であるが、25得点、11アシストを記録している。アウエーゲームをものともしないムバッペは、来季は国内リーグ戦でこの競技場に迎えることになるレアル・ソシエダのファンにとって脅威でしかない。
 ホームゲームではこの日も元気がなかったレアル・ソシエダ、試合終了直前に右サイドから久保建英、ベニャト・トゥリエンテスとつないで、最後はミケル・メリノが一矢を報い、得点を決めた。
 パリサンジェルマンは第1戦2-0、第2戦2-1と連勝してベスト8入りしたのである。(この項、終わり)

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