第3354回 パリサンジェルマン、ホーム第1戦でバルセロナに敗れる(2) メンバーを入れ替えて最下位クレルモンと引き分ける
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■国内外での三冠を目指すパリサンジェルマン
チャンピオンズリーグでバルセロナ(スペイン)と対戦するパリサンジェルマンの状況をここで確認しておこう。
まず、国内の状況であるが、リーグ戦は28節を終了した時点で勝ち点63の首位、この時点での勝ち点が63というのは成績が18勝9分1敗と引き分けが多く、他国のリーグの首位チームに比べて物足りない。ただ、2位のブレストに勝ち点で10の差をつけており、優勝はほぼ確実とみてよいであろう。
また、フランスカップでも順調に勝ち進み、4月3日にパルク・デ・プランスで行われた準決勝でレンヌに1-0と勝利し、5月25日の決勝ではリヨンと対戦する。
したがって国内二冠に加え、フランス勢として初の国内外三冠も夢ではない。その中で当面の最大の壁はバルセロナである。
■過密スケジュールとなった4月のパリサンジェルマン
4月に入ってからのパリサンジェルマンのスケジュールを紹介すると3日はフランスカップ準決勝のレンヌ戦、6日はリーグ戦第28節のクレルモン戦(ホーム)、10日はチャンピオンズリーグ準々決勝第1戦のバルセロナ戦(ホーム)、16日は同第2戦をバルセロナで戦う。土曜日の13日に予定されていたリーグ戦第29節は、欧州カップの準々決勝に進出したチーム(パリサンジェルマン、マルセイユ、リール)の試合は延期され、第31節と第32節の間の4月22日の週央に行われる。欧州カップもフランスカップも戦っているパリサンジェルマンは4月は週の半ばに必ず試合があり、週末も4月13日の試合が延期になっただけで7試合を戦うことになる。
■先発11人全員を入れ替えた最下位クレルモン戦
このような過密スケジュールをどう乗り切っていくかがチームマネジメントであろう。そしてルイス・エンリケ監督は思い切った手を取った。4月6日のホームでのリーグ戦のクレルモン戦は控えメンバーで臨んだのである。
対戦相手のクレルモンは4勝8分15敗で勝ち点20、最下位である。残留圏内の15位のルアーブルとは勝ち点7差という厳しい状況である。このような力関係も考慮し、ルイス・エンリケ監督はフランスカップ準決勝のレンヌ戦とは先発11人全員を入れ替えた。パリサンジェルマンはセニー・マユルとヨーラム・ザグという17歳の選手が2人先発したが、それでもメンバーにはDFにはミラン・シュクリニアル、ダニーロ・ペレイラ、MFにはウガルテ、カルロス・ソレール、ランダル・コロムアニ、ゴンサロ・ラモス、マルコ・アセンシオと代表クラスでチャンピオンズリーグでも経験豊富な選手がそろい、カタール資本はビッグネームの獲得だけではなく、厚い選手層も実現している。
この選手起用に関してはフランスの国内で議論を巻き起こした。何よりも国内リーグに対するリスペクトが欠如しているとして多くの関係者が批判した。ちなみに、対戦相手のバルセロナのスペインは6日の週末にはリーグ戦がないが、イングランドでは6日と7日にリーグ戦が行われ、チャンピオンズリーグの準々決勝を戦うマンチェスター・シティとアーセナルはメンバーを多少落としながらもアウエーの試合で勝利している。
またクレルモンは最下位であるが、パリサンジェルマンとの相性は悪くない。前半戦のリーグ戦では9月30日にホームで引き分け、そして昨年はパルク・デ・プランスでは最終節で戦い、次シーズンに向けて新調したユニフォームの顔見世となったパリサンジェルマンを3-2と下している。
■先制を許したパリサンジェルマン、後半追いつくも最下位相手にホームでドロー
パルク・デ・プランスにはいつも通り4万7000人を超える観客が集まり、先発メンバーの発表にファンは失望する。そして試合も思ったように展開することができない。32分に先制点を上げたのはクレルモンであった。シュクリニアルのクリアミスを拾ったクレルモンがボールをつなぎ、ハビブ・ケイタのシュートがネットを揺らす。さらにクレルモンはパリサンジェルマンに対し攻撃を続ける。
後半に入ってパリサンジェルマンは攻勢に出る。67分にはキリアン・ムバッペ、李康仁、マルキーニョスと主力を投入するが、不運なシュートが続く。ようやく85分にゴンサロ・ラモスが追いつき、その後もムバッペが勝ち越しゴールを狙うが、結局試合は引き分けに終わったのである。(続く)