第3368回 ボルシア・ドルトムントに連敗、決勝進出ならず(1) キックオフ前から過熱気味の両チーム

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■パリではこれまで2勝1分と負けなしのパリサンジェルマン

 ウェンブリーでの決勝を目指すパリサンジェルマンは、5月1日の準決勝第1戦でボルシア・ドルトムント(ドイツ)に0-1とアウエーで敗れ、7日にパルク・デ・プランスで行われる第2戦に望みを託すことになった。
 第1戦を落としたとはいえ、最少失点である。パリで2点差以上で勝利すれば、4年ぶりの決勝進出となる。これまでパリではボルシア・ドルトムントに2勝1分と負けはない。さらに直近の対戦は昨年9月、2-0と勝利している。1点のビハインドでパリで戦うことは重荷ではない。

■今季のパリでの試合があと2試合となったパリサンジェルマン

 第1戦と第2戦の間の週末に予定されていたリーグ戦の第32節、アウエーのニース戦は5月15日に延期され、1週間を準備に費やすことができる。パリサンジェルマンの国内の試合に関してはすでに優勝を決めたリーグ戦は残り3試合、フランスカップは5月26日にリヨンと決勝を争う。リーグ戦のホームゲームは5月12日のトゥールーズ戦だけ、そしてフランスカップの決勝は例年はスタッド・ド・フランスで行われるが、今年はパリオリンピックの準備のためにスタッド・ド・フランスではなく、リールのピエール・モーロワ競技場で行われる。チャンピオンズリーグの決勝はロンドンのウェンブリーで行われることから、このボルシア・ドルトムント戦はパリサンジェルマンにとって地元で行われる今季最後から2番目の試合となる。新監督就任、日韓ツアーで始まった今シーズンもチャンピオンズトロフィー、国内リーグに続き、チャンピオンズカップ、フランスカップと国内外四冠を達成して終えたいところである。

■イタリア人主審のダニエル・オルサト氏

 さて、パルク・デ・プランスでの試合の主審を務めるのはイタリア人のダニエル・オルサト氏である。国際的にもよく知られている審判であるが、パリサンジェルマンとドイツ勢との対戦では近いところで昨季のチャンピオンズリーグの1回戦のバイエルン・ミュンヘンとの第2戦、その前は4年前のチャンピオンズリーグ決勝、ポルトガルのリスボンで行われた試合でいずれも主審を務めている。そしてパリサンジェルマンはいずれも敗れ、敗退が決定している。
 試合開始の数時間前から両チームのファンがパルク・デ・プランスの周辺でデモンストレーションを行い、過熱気味である。前週のドルトムントでの試合では黄色い壁に圧倒された借りを返そうと、パリサンジェルマンのファンもボルテージが上がる。あのティエリー・アンリをして、パリサンジェルマン史上最高の選手と評されるキリアン・ムバッペが本拠地パルク・デ・プランスでプレーする最後から2番目、あるいは最後の機会となるかもしれないのである。

■1998年の世界チャンピオン、ディディエ・デシャンとユーリ・ジョルカエフ

 ゴール裏の喧騒とは裏腹に、プレジデンシャルと言われるメインスタンドにはパリの政財界の大物、芸能界のスターの姿が並んだ。
 サッカーの世界においては代表監督であり、フランスのクラブが唯一チャンピオンズリーグで優勝したチームの主将を務めたディディエ・デシャンに尽きる。
 そしてデシャンの隣に座っているのは、1998年ワールドカップのチームメイトのユーリ・ジョルカエフである。ジョルカエフはパリサンジェルマンに1季だけ在籍している。1995-96シーズンであるが、この時にカップウィナーズカップで優勝している。これまでにフランスのクラブは欧州カップで2回しか優勝したことがないが、1993年のマルセイユ(チャンピオンズリーグ)、1996年のパリサンジェルマン(カップウィナーズカップ)のヒーローが並んで観戦することになった。さらに、ジョルカエフの父ジャン・ジョルカエフはかつてフランス代表として活躍した。リヨンとマルセイユで活躍したが、選手生活の晩年の1970年には発足したばかりのパリサンジェルマンに加わり、初代の主将を務めている。
 ジャン・ジョルカエフがキャプテンマークを付けてから半世紀以上たち、パリのチームは今度こそ欧州王者となれるのだろうか。(続く)

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