第3383回 パリサンジェルマン、フランスカップを制す(8) 15回目の優勝、キリアン・ムバッペを胴上げ

 平成23年東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨、令和6年能登半島地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■オリンピックのハンドボールとバスケットボールの会場となるピエール・モーロワ競技場

 100年以上の歴史の中で初めてパリならびにその近郊以外で決勝が行われるフランスカップ、その舞台はリールのピエール・モーロワ競技場である。2012年に開業した北フランスの5万人収容の大スタジアムであるが、フランスのある程度の規模以上のスタジアムでは唯一、開閉式の屋根を備えている。今夏のパリオリンピックではサッカーの試合は行われないが、男女のハンドボールの準々決勝以降の決勝トーナメント16試合、男女バスケットボールのグループリーグの32試合が開催される。これまでもサッカーのビッグゲームを幾度となく開催してきたピエール・モーロワ競技場であるが、多くの観衆を収容できる開閉式のスタジアムであることから、室内球技の会場に選ばれたのであろう。

■今回も起こったファン同士のトラブル

 リヨンとパリサンジェルマンのファンが多数リールに移動したが、心配なのはセキュリティである。リヨンのファンはチームの成績が振るわないこともあり、近年はトラブルを多発している。またパリサンジェルマンのファンも多くのトラブルを起こし、両チームのサポータークラブは敵対関係にある。リールの警察当局も十分な警戒をしたが、高速道路の料金所が襲撃されるなど、両チームのファン同士のトラブルが起こり、38人が負傷し、10人が逮捕された。

■今年もピッチに降りなかったエマニュエル・マクロン大統領

 リールに移動してきたのは両チームのファンだけではない。エマニュエル・マクロン大統領もパリから駆け付けた。試合前にピッチに降りて両チームの選手と審判団を激励するのが慣例であったが、近年の政策に対する不支持から昨年はピッチではなく、ピッチに出る通路で選手と審判団の激励を行ったが、スタッド・ド・フランスから舞台を移したリールでも昨年同様ピッチに姿を表さなかった。
 そのマクロン大統領に激励されたメンバーであるが、白いユニフォームのリヨンはGKはルーカス・ペリ、DFは右からクリントン・マタ、ジェイク・オブライアン、ドゥイエ・チャレタ・ツアル、ニコラス・タグリアフィコ、MFは低い位置にネマニャ・マティッチ、右にマクサンス・カクレ、左にコランタン・トリッソ、FWは右にラヤン・シェルキ、左にサイード・ベンラーマ、中央のアレクサンドル・ラカゼットが主将を務める。
 紺のユニフォームのパリサンジェルマン、GKはジャンルイジ・ドンナルンマ、DFは右からアクラフ・ハキミ、これが7回目の決勝となる主将のマルキーニョス、ルーカス・ベラウド、ヌーノ・メンデス、MFは低い位置にビティーニャ、右にウォーレン・ザイール・エメリ、左にファビアン・ルイス、FWは右にウスマン・デンベレ、左にブラッドリー・バルコラ、中央はパリサンジェルマンでのラストゲームとなるキリアン・ムバッペである。

■パリサンジェルマンがリヨンを圧倒

 シドニー・ゴブー、パウレタという両チームのレジェンドがフランスカップをピッチに運ぶセレモニーの後、ムバッペのキックオフで始まった試合は、パリサンジェルマンが立ち上がりから圧倒した。リヨンをゴール前にくぎ付けにし、シュートの嵐を浴びせる。 リヨンは正GKで長らくチームを支えてきたアントニー・ロペスが今季限りでチームを去ることもあり、この日は第2GKのペリを起用し、よく守った。しかし、パリサンジェルマンは22分にゴール前の混戦で、リヨンの守備の陣形が崩れたところで最後はデンベレがヘディングで押し込んで先制する。
 試合を支配し続けたパリサンジェルマンは34分にも奪ったボールをバルらがクロス、これをゴール前でデンベレがつなぎ、ファビアン・ルイスが追加点を決めた。
 守勢のリヨンは後半に入って55分、CKからオブライエンがヘディングで1点を返す。これがリヨンにとってはこの試合初めての枠内シュートであったことが物語っているように試合はワンサイドで、そのままパリサンジェルマンが2-1で勝利し、15回目の優勝を果たした。
 この試合で得点こそ上げることができなかったが、長年にわたってチームを支えたムバッペを胴上げで見送ったのである。(この項、終わり)

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