第3384回 欧州選手権に臨むフランス代表(1) 25人のメンバーを発表したディディエ・デシャン監督
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■2000年大会以降、優勝から遠ざかっているフランス
今年はオリンピックイヤー、フランスで夏季オリンピックが開催されるのは1924年の2回目のパリ大会以来ちょうど100年ぶりである。そういうこともあり、スポーツファンの注目はオリンピックに集まってしまうが、通常のオリンピックイヤーであればオリンピック以上の関心を集めるのが欧州選手権である。
3年前に行われた前回大会は決勝トーナメント1回戦でスイスにPK負け、その前の大会は自国開催であったが決勝でポルトガルに延長で敗れている。振り返ってみれば、最後の優勝はワールドカップとの二冠を達成した2000年大会、ディディエ・デシャン監督が主将を務めていた時である。それ以降は準決勝進出も2016年の自国開催の時だけである。
■6回目の主要大会の指揮を執るディディエ・デシャン監督の発表したメンバー
2012年の欧州選手権後に代表監督に就任したデシャン監督も6回目の国際大会となる。2018年のワールドカップについで2回目の優勝を果たしたいところである。熱心にスカウティングを行ったデシャン監督は5月17日にメンバーを発表した。コロナによってサッカーの大会規定に影響を及ぼしたが、メンバーのエントリーもその1つである。6月7日までに23人から26人までのメンバーを確定すること、それが今大会の規定である。
デシャン監督が発表したメンバーは以下の通り。GKはマイク・メニャン、アルフォンス・アレオラ、ブリス・サンバの3人、DFはジョナタン・クロース、テオ・エルナンデス、イブラヒマ・コナテ、ジュール・クンデ、バンジャマン・パバール、ウィリアム・サリバ、ダヨ・ウパメカノ、フェルラン・マンディの8人、MFはエンゴロ・カンテ、エドゥアルド・カマビンガ、ユスフ・フォファナ、アドリアン・ラビオ、オーレリアン・チュアメニ、ウォーレン・ザイール・エメリ、アントワン・グリエズマンの7人、FWはウスマン・デンベレ、オリビエ・ジルー、ランダル・コロムアニ、キリアン・ムバッペ、キングスレー・コマン、マルクス・テュラム、ブラッドリー・バルコラの7人である。
■2年ぶり復帰、中東のチームに所属するエンゴロ・カンテ
3月のドイツ、チリとの連戦から外れたメンバーはルカ・エルナンデスとムーサ・ディアビ、このうちルカ・エルナンデスは本連載でも紹介した通り、4月のチャンピオンズリーグの試合で負傷し、長期離脱となった。
新たに入ってきたメンバーは驚きの連続である。これまで大胆な選手の選出をしなかったデシャン監督が思い切って起用したのはカムバック組のカンテと新人のバルコラである。まず、本連載の読者のみならず、世界のサッカーファンにもよく知られているカンテはすでに33歳である。2022年に負傷し、カタールでのワールドカップにも出場しておらず、2022年6月以来の代表復帰となった。また、昨夏にはイングランドのチェルシーからサウジアラビアのアル・イテハドに移籍している。中東のクラブに所属し、主要国際大会(ワールドカップ、欧州選手権)に出場する初めての選手となった。
2年間のブランクですっかりファンにも忘れられてしまった感のあるカンテであるが、イングランドのレスターシティ、チェルシーで守備的MFとして活躍し、2021年にはチャンピオンズリーグ優勝の立役者となった。両親がマリ生まれで、マリ代表からも声がかかったが、これを断り、2016年3月にフランス代表に選出された。同年6月の欧州選手権にも出場したが、決勝トーナメント1回戦のアイルランド戦で警告を受け、準決勝、決勝の出場機会はなかった。しかし、2018年のワールドカップでは優勝に貢献、負傷によるブランク、中東への移籍から戻ってきた姿をファンは期待している。
■唯一の新人のブラッドリー・バルコラ
そして新人のバルコラは所属チームのパリサンジェルマンでの今季の躍進は見事であった。3月の連戦時にコマンが負傷中であることから、選出されるのではないかと思われたが、ディアビが入り、逆に今回はディアビが外れた。
そのコマンは今季度重なる負傷を経験したが、デシャン監督はメンバーに入れた。他にも疲労骨折でチャンピオンズリーグの決勝を欠場したチュアメニも負傷を負ってのメンバー入りとなった。(続く)