第3388回 欧州選手権に臨むフランス代表(5) カナダとスコアレスドロー

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■ルクセンブルク戦と4人を入れ替え、フォーメーションも変えたフランス

 フランスにとって欧州選手権の初戦は6月17日、その8日前の9日に最後のスパーリングマッチがボルドーで行われた。相手はオランダから転戦してきたカナダである。
 メッスでのルクセンブルク戦での勝利でフランスは手ごたえをつかみ、カナダ戦はメンバーを入れ替えるとともに、フォーメーションも変更する。
 フランスの先発メンバーはGKはマイク・メニャン、DFは右からジュール・クンデ、ウィリアン・サリバ、ダヨ・ウパメカノ、テオ・エルナンデス、MFは低い位置にエンゴロ・カンテとエドゥアルド・カマビンガ、高い位置に右からウスマン・デンベレ、アントワン・グリエズマン、マルクス・テュラムと並び、FWは1トップ、オリビエ・ジルーが先発する。ルクセンブルク戦と比較すると、4人のメンバーが入れ替わり、フランスが長い間採用してきた4-2-3-1システムである。

■キリアン・ムバッペがベンチスタート、エンゴロ・カンテはこの日も先発

 ルクセンブルク戦では主将を務めたキリアン・ムバッペがベンチスタートとなり、代わりに主将を務めるのはグリエズマンかと思われたが、この試合が133試合目の代表戦となるジルーに落ち着いた。中央にジルーを起用したことにより、ルクセンブルク戦ではCFを務めたテュラムがサイドに回った。また、レアル・マドリッド(スペイン)のメンバーとしてチャンピオンズリーグ決勝を戦い、クラブでの欧州チャンピオンに輝いたカマビンガはいよいよ戦線復帰となるが、フェルラン・マンディはベンチスタート、オーレリアン・チュアメニはまだリカバリーの時間が必要なようである。また、ルクセンブルク戦で2年ぶりの代表復帰を上々の内容で評価を受けたカンテはこの試合にも先発し、鉄人ぶりを発揮する。

■パスをつなぎ、ボールを保持するカナダの守備を崩せず、前半は無得点

 この日は上から白、青、白のセカンドユニフォームに身を包んだフランスが、序盤は攻撃する機会が多かった。ただ、この日はフランスでは国民議会の選挙が行われたため、テレビでは選挙速報が放映された。したがって、テレビ中継は実際の試合よりも遅らせて録画放送された。フランスは立ち上がりに立て続けにシュートを放ち、9分のテュラムのシュートはバーをたたくが、先制点を上げることができない。
 守勢のカナダであるが、パスをつないで、ボールを支配率ではフランスを上回った。前半はフランスが積極的に攻撃を仕掛けたものの、カナダのGKのマックス・クレポーの好守もあり、両チーム無得点で折り返した。

■カナダの時間が続いた後半、ムバッペ投入も実らずスコアレスドロー

 後半に入ったとことで、フランスは左サイドDFをフェルラン・マンディに交代、チャンピオンズ決勝以来の試合出場となる。前半はボールを支配したものの、シュートに結び付くことのなかったカナダであるが、後半が始まって早々の47分にリアム・ミラーがシュート、バーに当たってフランスは救われた。65分にはCKからジョナサン・デービスが直接ゴールを狙うが、これはCFのテュラムが防ぐ。このように後半はカナダの時間が続くが、これを防いだのはプレミアリーグで屈指のDFと評されるサリバを中心とするフランスの守備である。今季フランスリーグで19得点をあげたデービスを封じたのはサリバである。
 スパーリングマッチとはいえ、引き分けでは不満なディディエ・デシャン監督は74分にデンベレに代わってムバッペを投入する。すでにジルー、テュラムも交代しており、グリエズマン以外の攻撃陣は全員が入れ替わった。キャプテンマークを巻いたムバッペはこれまでのチームメイトのブラッドリー・バルコラとのコンビネーションでゴールを目指す。後半アディショナルタイムの96分、ムバッペは抜け出してシュートを放つが、クレポーが防ぎ、試合はスコアレスドローに終わった。
 スパーリングマッチを1勝1分で終えたフランス代表チームは、6月12日にクレールフォンテーヌを出発し、オルリー空港から飛び立ち、開催国ドイツの合宿地パーダーボルンに到着したのである。(この項、終わり)

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