第3391回 初戦はオーストラリアに勝利(3) 前回大会に続き、オウンゴールで第1戦勝利

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■欧州選手権で初ゴールが期待されるキリアン・ムバッペ

 6月17日21時、ドイツのデュッセルドルフでディディエ・デシャン監督にとって6回目の主要大会の幕が開けた。
 オーストリアのキックオフで始まった試合、フランスは立ち上がりから積極的に攻めあがる。一方のオーストリアであるが、ラルフ・ラングニック監督の得意技であるプレッシングサッカーでフランスの攻撃を封じこめる。パスでの攻撃の優位性を止められたフランスであるが、このような際に脅威となるのがキリアン・ムバッペである。8分に左サイドでテオ・エルナンデスがタックルを受けながらもマルクス・テュラムにパス、テュラムはムバッペにつなぎ、ムバッペがドリブルでペナルティエリア内に持ち込み、ニアサイドにシュートする。ムバッペは弱冠25歳にしてこの試合が80回目の代表戦となり、主将を務める。今回が2回目の欧州選手権の出場となるが、前回大会ではゴールを記録することができず、欧州選手権での初ゴールが待ち望まれる。スピードの乗ったドリブルからの右足のシュート、オーストリアのGKパトリック・ペンツがストップし、CKに逃げる。

■ピンチからフランスを守ったマイク・メニャン

 オーストリアの守備陣はフランスのプレスをかけるだけではなく、果敢にタックルを仕掛け、激しい守備を続ける。時間とともにオーストリアは攻撃も仕掛けるようになってくる。オーストリアの最初の得点のチャンスは36分に訪れた。中盤でボールを持ったオーストリアは左サイドに展開、左からのクロスをオーストリアの主将のマルセル・サビツァーがゴール前に折り返す。ちょうどGKと一対一になったクリストフ・バウムガルトナーの足元にボールは落ちたが、フランスのGKのマイク・メニャンが飛び出して、危機からフランスを救った。

■ムバッペのクロスが誘ったオウンゴール

 その直後にフランスは先制をすることになる。フランスは右サイドからの攻撃、ウスマン・デンベレがペナルティエリア内に持ち込むも、オーストリアの2人がかりのマークにあい、ゴール前にボールを供給できない。デンベレは後方でフリーの位置にいたムバッペにパス、デンベレに対応していた守備陣はムバッペにプレスをかける。ムバッペには3人のマークがついたが、スピードのあるプレーで1人を交わし、ゴール前にスピードのあるクロスを上げる。守備の陣形ができていなかった虚をつかれたのか、マクシミリアン・ブーバーの頭に当たり、ボールは自らのゴールネットに吸い込まれていった。フランスはオウンゴールで先制した。3年前の前回大会もフランスはグループリーグ初戦のドイツ戦はマット・フンメルスのオウンゴールで先制している。また、フランスはワールドカップと欧州選手権でオウンゴール10点目となる。これは6点を記録しているドイツを大きく引き離してトップの数字である。

■追加点を奪うことはできなかったが、ディディエ・デシャン監督100勝を飾る

 前半はフランスが1点リードして折り返すが、後半もオーストリアは激しい守備を継続し、48分にはアントワン・グリエズマンが頭を切って包帯で応急処置をしてプレーを継続する。2016年の欧州選手権、2018年のワールドカップ、2021年の欧州選手権、2022年のワールドカップと国際大会25試合でグリエズマンの積み重ねた得点は11、アシストは7、頼りになる選手である。
 55分にフランスはムバッペがハーフラインを少し出たところで後方からのパスを受ける。ケビン・ダンソを交わして、ブーバーを振り切って、GKと一対一になる。ムバッペは右足でシュートしたが、これはゴールの枠を外れてしまい、フランスは追加点のチャンスを活かすことができなかった。
 フランスは66分にテュラムのシュートがセーブされ、ムバッペが顔面を打って負傷し、代わりに入ったオリビエ・ジルーが後半アディショナルタイムにシュートミスするなど、自らの力で得点をあげることができなかったが、初戦を1-0と勝利し、勝ち点3を獲得した。
 そしてこの勝利はデシャン監督にとっては就任以来100勝目(30分24敗)となったのである。(この項、終わり)

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