第3397回 ポーランドともドロー、2位通過(3) 初の首位通過を決めたオーストリア
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■フランスの通過順位に影響のあるオランダ-オーストリア戦
フランスとポーランドのグループリーグ最終戦は、キリアン・ムバッペとロベルト・レバンドフスキという両チームのエースのPKにより1-1のドローとなった。双方にとって今大会初ゴールがチームに勝ち点1をもたらした。
さて、気になる順位であるが、ポーランドはすでに最下位が決定しているが、フランスはもう1つのオランダ-オーストリア戦の結果によって順位が決まる。そして逆もまた真なりであり、オランダとオーストリアの順位はその試合だけではなく、フランスの結果も影響する。
グループDの順位の推移を6月25日の18時に時計を戻して確認してみよう。キックオフの段階の順位は首位オランダ(勝ち点4、得失点差+1、総得点2)、2位がフランス(勝ち点4、得失点差+1、総得点1)、3位がオーストリア(勝ち点3、得失点差+1、総得点3)、4位がポーランド(勝ち点0、得失点差-3、総得点2)である。決勝トーナメント1回戦は首位突破すればグループFの2位、2位突破の場合はグループEの2位、3位突破の場合はグループBかCかEの首位突破チームとなる。前回の本連載で紹介した通り、フランスが首位突破するためにはオランダよりも良い成績を残す必要がある。
■オウンゴールで暫定3位でハーフタイムを迎えたオランダ
フランス-ポーランド戦はドルトムントで行われたが、オランダ-オーストリア戦はベルリンで行われた。フランス-ポーランド戦の模様は前回の本連載で紹介したが、今回はもう1試合の展開と合わせて順位争いを時系列で表してみよう。
まず、試合が動いたのはベルリンであった。立ち上がりからオランダはボールを失うことが多く、オーストリアは6分に奪ったボールを左サイドに展開、アレクサンダー・ブラスがクロスを入れる。これを最前線から戻ってカバーしようとしたオランダのドニエル・マレンがスライディングして防ごうとしたが、これがオウンゴール、オーストリアが先制した。試合開始時に3位だったオーストリアは勝ち点を3伸ばして首位に躍り出る。同点のフランスがそのままの展開で90分経過すれば勝ち点1を上積み、2位をキープできる。前半はドルトムントもベルリンもシュートがゴールネットを揺らすことなく、このまま終了、オーストリアが首位、フランス、オランダ、ポーランドの順に中間地点を折り返した。
■キリアン・ムバッペのPKで暫定首位に躍り出たフランス
後半は両試合で6ゴールが記録され、目まぐるしく順位が変わる展開となった。47分、オーストリアに攻め込まれたオランダであったが、ボールを奪ってカウンターアタック、数的優位な状況を作り、左サイドのコーディー・ガクポにパスし、ガクポが見事に同点ゴール。これで試合開始時と同じ順位になった。
他方、ドルトムントの試合では56分にムバッペがPKを決める。ムバッペにとって今大会初ゴールであるばかりでなく、このゴールでフランスが一気に首位に躍り出る。
ベルリンの試合では59分、フロリアン・グリリッチュがゴールライン間際からマイナスのクロス、これを小柄なロマノ・シュミットがジャンピングヘッドで決めて勝ち越し、2位と3位の順位が入れ替わる。そして75分には左サイドでフリーになったガクポがクロスを入れ、折り返したところをメンフィス・デパイがボレーシュート、ハンドではないかとVARのチェックが入ったが、同点に追いついたオランダは再び2位に浮上した。
■主将共演、PKを決めたロベルト・レバンドフスキ、首位通過を決めたマルセル・ザビツァー
ムバッペのPKで首位に浮上したフランスであったが、ロベルト・レバンドフスキのPKで首位の座から引きずり降ろされた。レバンドフスキのPKが決まった段階で両試合ともタイスコア、順位もキックオフ時に戻った。
ドルトムントではムバッペ、レバンドフスキと両チームの主将のゴールで順位が動いたが、ベルリンの試合も主将がゴールを決めた。レバンドフスキがPKを決めた直後の80分、左サイドでフリーになったオーストリアの主将マルセル・ザビツァーが勝ち越しゴールを決めた。オランダの主将ビルヒル・ファンダイクは別の選手をマークしていた。
この結果、グループDはオーストリアが初の首位突破を決め、フランスは2位通過、オランダは3位通過となったのである。(この項、終わり)