第3404回 スペインに力負け、決勝進出ならず(1) 唯一、グループリーグで全勝したスペイン
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■準決勝に進出するも、攻撃陣が振るわないフランス
これまで欧州選手権の本大会の決勝トーナメントで死闘を繰り返してきたフランスとポルトガル、フランスはPK戦で勝利し、2016年の自国開催の決勝戦の雪辱を果たした。準決勝に進出したフランスであるが、ここまで無敗ながら、奪った得点はわずかに3、しかもオウンゴール2点、PK 1点という内訳であり、流れの中からの得点が生まれていない。ディディエ・デシャン監督も攻撃陣は毎試合入れ替えたが、正解にはたどり着いていない。そしてポルトガル戦ではキリアン・ムバッペとアントワン・グリエズマンをベンチに下げて、PK戦に勝利するという皮肉な結果になった。
一方、守備陣は安定しており、ここまでPKによる1失点のみ、これは評価しなくてはならない。
■予選で7勝1敗、第1シード入りしたスペイン
本調子とは程遠いが、勝ち抜いてきたフランスが準決勝で対戦するのがスペインである。スペインは2022年ワールドカップでは不本意な成績で終わったため、FIFAランキングは8位(欧州勢の中では6位)にとどまっているが、予選では7勝1敗、25得点、5失点という成績を残している。今大会のシード順は開催国ドイツ以外は予選の成績で決められている。スペインの予選の全体成績の順位はポルトガル(8勝)、フランス(7勝1分)に次ぐ3番目であり、第1シード入りした。なお、4番手はベルギー(6勝2分)であり、フランスは決勝トーナメントに入ってから、予選順位の上位3か国と対戦することになった。さらに、もしフランスが決勝に進出していれば、予選5番手のイングランド(6勝2分)と対戦し、フランスは開催国ドイツを除く第1シードのチームすべてと対戦していたのである。
これら第1シード6か国はすべて決勝トーナメントに進出したが、フランスとベルギーは2位通過、それ以外の4チームは首位通過した。しかし、首位通過とは言ってもドイツは最終戦の後半アディショナルタイムにようやく勝ち越しゴール、イングランドは1勝2分で勝ち点5にとどまる。そしてポルトガルは2連勝したところまではよかったが、最終戦のジョージアに圧倒されて敗れてしまう。
■初戦でクロアチアに3-0と勝利
このようにおぼつかない足取りのチームが多い中でスペインだけは別格であった。
スペインの入るグループBはイタリア、クロアチア、アルバニアと強豪がそろっている厳しいグループであった。スペインの初戦の相手はクロアチア、スペインのレアル・マドリッドを支えるルカ・モドリッチが主将を務めるほか、アンドレイ・クラマリッチ、ロブロ・マイエルなどタレントぞろいのチームである。かつて東欧のブラジルと言われた旧ユーゴスラビアの系譜を受け継いでいる国といえるであろう。
試合はクロアチアがボール支配率で上回り、スペインよりも多くのシュートを放った。しかし、スペインは前半のうちにアルバロ・モラタ、ファビアン・ルイス、ダニエル・カルバハルと立て続けにゴールを記録する。スペインは初戦で難敵クロアチアを3-0と破り、好スタートを切ったのである。
■前回優勝のイタリアに完勝、アルバニアも下し3戦全勝
スペインの第2戦の相手はイタリアである。イタリアは今大会の予選ではイングランドにホーム、アウエーとも敗れ、グループCは2位通過にとどまっている。また、2022年のカタールでのワールドカップは予選のプレーオフで北マケドニアに敗れ本大会出場を逃している。しかし、前回の欧州選手権では優勝、侮ることはできない。試合はスペインが優位に進めたが、前回大会のヒーローのGKのジャンルイジ・ドンナルンマが好セーブを連発する。好守を続けたドンナルンマも後半に入った55分にオウンゴール、これが決勝点となりスペインは決勝トーナメント進出を決めた。
最終戦の相手はアルバニア、近年力をつけてきたが、今大会は1分1敗とまだ勝ち点1にとどまる。しかし、最終戦でスペインに勝利すれば勝ち点を4まで伸ばし、決勝トーナメントの可能性もある。アルバニアはスペインを攻め込んだが、スペインは唯一の枠内シュートをフェラン・トーレスが決めて1-0と3連勝で最終戦を飾ったのである。(続く)