第3421回 2024-25フランスリーグ開幕(2) シーズン開幕前の移籍市場
平成23年東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨、令和6年能登半島地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■欧州選手権に出場したパリサンジェルマンのメンバーで唯一移籍したキリアン・ムバッペ
前回の本連載ではオセール、アンジェ、サンテチエンヌという実績のあるチームが1部に復帰してきたことを紹介してきたが、今回はシーズンの間に行われた欧州選手権、オリンピックに出場した選手の移籍について紹介しよう。
まずは欧州選手権にフランス代表5人、他国代表8人の合計13人を送り込んだパリサンジェルマンであるが、この13人のうち、チームを去るのは昨年来世間の耳目を集めたキリアン・ムバッペだけであった。ムバッペについては契約満了となり、スペインのレアル・マドリッドに移籍した。様々な意見が飛び交うが、チャンピオンズリーグで優勝できるチームに移籍した本人の希望通りになるか、あるいはパリサンジェルマンが悲願を達成するか、これから数年はチャンピオンズリーグでの両チームの対戦が注目を集めることになるであろう。/p>
■若手有望株を獲得したパリサンジェルマン
一方、パリサンジェルマンに新加入する欧州選手権出場選手はポルトガルのジョアン・ネビスである。ベンフィカ(ポルトガル)に所属する19歳のMF、選手層が厚く、若手選手も多いパリサンジェルマンでどの程度出場機会があるだろうか。
また、東京大会に続き、今回もオリンピック代表に選手を送り込まなかったパリサンジェルマンであるが、若手選手の獲得には余念がない。フランスのオリンピック代表となり、決勝戦での活躍も記憶に新しいデジレ・ドゥエをレンヌから獲得した。19歳のドゥエはすでにレンヌでも国内外で活躍しているが、決勝戦の行われたパルク・デ・プランスでどのようなプレーをするか、楽しみである。
なお、オリンピックのフランス代表で今夏移籍したのは、ドゥエ以外は追加招集のジョアン・ルプナンだけである。リヨン所属のルプナンは出場機会に恵まれず、今夏ナントにレンタル移籍された。移籍のタイミングとなる選手もオリンピック代表には選出しにくいこと、所属チームで出場機会に恵まれない選手が選出しやすい、ということがオリンピックにおけるフランス代表の位置づけを表していると言える。
■若手選手の宝庫、モナコ
6年ぶりに2位に入ったモナコは欧州選手権に出場したユスフ・フォファナがACミラン(イタリア)に移籍した。残留組としてはスイス代表のデニス・ザカリアとブレール・エンボロ、またオリンピックチームにはスングトゥ・マガッサ、決勝戦でゴールをあげたマグリス・アクリウシュ、モロッコのエリース・ベンセギルもいる。このようにモナコは若手の人材の宝庫という伝統は生きている。第二のムバッペが登場すれば、パリサンジェルマンの牙城を崩すことも不可能ではない。
欧州選手権に出場したフランス代表でフランス国内での移籍したのがジョナタン・クロースである。マルセイユからニースへと移籍したが、ニースは今回の欧州選手権では選外となったケフラン・テュラムがイタリアのユベントスへ、同じく代表経験のあるジャン・クレール・トディボがイングランドのウエストハム・ユナイテッドへと移籍しており、全体的には戦力ダウンは否めない。
■今夏のフランス人選手で最高の移籍金となったレニー・ヨロ
国内ではパリサンジェルマンに次ぐビッグクラブであるリヨンとマルセイユは積極的に選手を入れ替えた。
リヨンはアイルランド代表のジェイク・オブライアンをイングランドのエバートン、アンダーエイジのフランス代表のママドゥ・サールをストラスブールに放出する一方で、移籍金を準備してセネガル代表のムーサ・ニアカテをイングランドのノッティンガム・フォレストから、欧州選手権で旋風を起こしたジョージア代表のギオルギ・ミカウターゼをメッスから獲得している。
マルセイユもクロースやイスマイラ・サールを放出する一方、エリー・ワイをRCランス、メイソン・グリーンウッドをマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)から獲得している。
そしてこの夏の移籍市場のフランス人の最高額はリールからマンチェスター・ユナイテッドへ移籍したレニー・ヨロの6200万ユーロ。ヨロは今回のオリンピック代表のプレリストに入りながら、オリンピック代表にならなかったのである。(続く)