第30回 2002年アフリカ選手権(5) ベスト4決定、活躍するフランス勢

■ベスト4はマリ、セネガル、ナイジェリア、カメルーン

 1月19日に開幕したアフリカ選手権。各チームのグループリーグの初戦8試合でゴールの数はわずか5、ゴール不足が話題となったが、第2戦の総ゴール数は10、第3戦の総ゴール数は20と倍々ゲームとなり、グループリーグの最終戦が最も得点が入る、というファンを喜ばせる展開となった。
 グループリーグを勝ち抜いたのはナイジェリアとマリ(グループ1)、南アフリカ、ガーナ(グループ2)、カメルーン、コンゴ民主共和国(グループ3)、セネガル、エジプト(グループ4)。このうちナイジェリア、マリ、カメルーン、セネガルが準決勝に進出した。本連載の第26回ならびに第27回で紹介したように本大会に出場している選手の多くがフランスのクラブに所属している。今回はアフリカ選手権で活躍しているフランスのクラブ所属の選手を紹介しよう。第26回ならびに第27回の連載ではフランスのクラブに所属している選手が今大会に63人出場していると書いたが、その後メンバーの入れ替えや選手の移籍があり、結局67人が出場している。

■躍進マリを支えるフランス勢

 まず、地元開催とはいえ、ワールドカップ本大会に出場しない国で唯一準決勝に進出したマリの活躍は特筆すべきである。前回の連載でセイドゥ・ケイタを紹介したが、マリはメンバーの半数にあたる11人がフランスのクラブに所属している。準々決勝ではワールドカップ出場国の南アフリカを2-0と下し、試合終了間際に貴重な追加点を上げたのは2部のラバルに所属しているドラマン・クリバリーである。同姓のアダマ・クリバリー(ランス)、スーマイラ・クリバリー(フライブルク:ドイツ)が先発メンバーとして活躍している中で、ドラマン・クリバリーは初戦のリベリア戦、第2戦のナイジェリア戦の終盤に交代出場しただけで、これといった活躍を見せていなかった。しかし、ポーランド系フランス人監督のアンリ・カスペルチャックは南アフリカ戦で追加点の欲しかった82分、スーマイラ・クリバリーに代えてドラマン・クリバリーを投入し、この采配が見事に功を奏し、貴重な追加点を上げ、1万5000人のファンは歓喜の中で試合終了のホイッスルを聞いたのである。

■22人中21人がフランスのクラブに所属するセネガル

 また、セネガルは結局2人の選手がフランスのクラブに移籍し、22人のメンバーのうち控えGKのオマール・ディアロ以外の21人がフランスのクラブに所属することになった。グループリーグではエジプト、ザンビアに1-0で連勝し、早々と決勝トーナメント進出を決め、グループリーグ最終戦は大幅にメンバーを入れ替え、結局ディマロはこの試合に出場しただけである。他の試合はすべてフランスのクラブに所属している選手が出場しており、これは非常に珍しいケースであろう。そのグループリーグ最終戦の相手はワールドカップ本大会に出場するチュニジア。無難な試合運びでスコアレスドローとなったが、チュニジアは無得点でマリの地を去ることになったのである。ちなみにグループ3のトーゴも無得点で敗退した。一方、セネガルは無失点で決勝トーナメントに進出しただけではなく、準々決勝のコンゴ民主共和国戦も無失点である。

■フランスのクラブ所属の選手とフランス人監督の活躍

 結局、準決勝に進出した4チームにはいずれもフランスリーグで活躍する選手がおり、準決勝でマリと対戦するカメルーンには6人、セネガルと対戦するナイジェリアには2人がフランスのクラブに所属している。準決勝に進出したチームの登録選手のうち半分近くがフランスのクラブに所属していることになる。また、フランスのクラブに所属する選手が67人エントリーしたが、数字の上では4人に1人しか進出できない準決勝に6割が残っていることになる。
 今大会のフランス勢の活躍はフランスのクラブに所属している選手だけではない。準決勝に残った4人の監督のうち半分にあたる2人がフランス人監督である。セネガルのブルーノ・メツ、マリのカスペルチャックの2人である。メツはフランス国内のクラブで指揮を重ね、2000年11月にセネガル代表監督に就任した。カスペルチャックはポーランド代表として1974年のワールドカップ・西ドイツ大会で活躍した後、フランスを中心に活動し、メッス、ラシン・パリをはじめとする国内外のクラブチームの監督を歴任するとともに、チュニジア、モロッコの代表監督を務め、2001年10月にイタリア人のロマーノ・マッテに代わりマリ代表監督に就任した。
 7日の準決勝で、前回大会で決勝に進出したカメルーンとナイジェリアを破ってマリとセネガルが決勝に進出したならば、決勝戦のグラウンドの中はフランス一色になるであろう。(続く)

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