第3443回 中盤戦を迎えたUEFAネーションズリーグ(1) メンバー発表前に代表引退を発表したアントワン・グリエズマン

 平成23年東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨、令和6年能登半島地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■上位2チームがファイナルラウンドに進出するUEFAネーションズリーグ

 前回まではチャンピオンズリーグのグループフェーズの第2節のフランス勢の戦いを紹介した。これまでのチャンピオンズリーグのグループリーグは6試合であったが、グループフェーズは8試合であり、まだ序盤戦である。また、従来のグループリーグは各グループの上位2チームが決勝トーナメントに進出したが、新たなグループフェーズは36チーム中最上位の8チームだけが決勝トーナメントに直接参戦するが、9位から24位までのチームはプレーオフ経由で決勝トーナメントに臨む。
 対して、今回から紹介する欧州の代表チームで争われるUEFAネーションズリーグはグループリーグに関しては各チーム6試合と変わらないが、従来は各グループの首位チームだけが決勝トーナメントに相当する4チームによるファイナルラウンドに進出できたが、今回は上位2チームがファイナルラウンドに進出、8チームで争われる。

■ベルギーと2位争いをするフランス

 フランスは所属するグループ2でイタリア、ベルギー、イスラエルと戦う。第1節でホームでイタリアに敗れたフランスは、前回までの大会形式であれば、首位に黄信号というところであるが、第2節ではホームでベルギーに勝利、上位2チームとなって少し余裕ができた。第2節を終えた段階のグループ2の順位は首位が連勝したイタリアで勝ち点6、フランスとベルギーが勝ち点6で並び、得失点差、総得点のいずれも同じであるが、直接対決で勝利したフランスが2位となっている。そして戦火のイスラエルは連敗し、勝ち点0のままである。

■10月14日に直接対決をするフランスとベルギー

 UEFAネーションズリーグは10月10日に第3節、14日に第4節が行われるが、ちょうどこれが中盤戦になる。チャンピオンズリーグのグループフェーズは11月最初の週に第4節、最後の週に第5節が行われ、これまでのチャンピオンズリーグのグループリーグの折り返し点も10月末か11月初めであったことを考えると、日程の消化の速さは特筆すべきであろう。つまり、スタートダッシュに成功すれば、それが決勝トーナメントへの道となり、逆であれば後半戦の逆転は厳しくなる。
 そう考えると1勝1敗で並んでいるフランスとベルギーにとって中盤戦は重要である。第3節でフランスはイスラエルとアウエーゲーム、ベルギーもイタリアとアウエーで対戦し、第4節で両国はベルギーのブリュッセルで大一番を迎える。

■9月末に代表引退を表明したアントワン・グリエズマン

 この2試合に向けて、ディディエ・デシャン監督はメンバーを10月3日に発表したが、メンバー発表を控えた30日にアントワン・グリエズマンがフランス代表からの引退を発表した。2014年3月にフランス代表にデビューしてから、9月9日のベルギー戦まで積み上げた代表出場数は歴代3位タイの137試合、そして歴代4位の44ゴールを記録している。2014年のワールドカップ、2016年の欧州選手権、2018年のワールドカップ、2021年の欧州選手権、2022年のワールドカップと国際大会で活躍してきた。すなわち、現在のディディエ・デシャン監督は2012年の欧州選手権の後に就任しており、デシャン監督就任後の国際大会には欠かさず出場している。デシャン監督のチームの軸ともいうべきグリエズマンであったが、昨年の春に負傷し、3月の代表戦はメンバーから外れ、84試合連続出場という記録も途切れてしまった。しかし、欧州選手権には復帰し、は6試合すべてに出場する。ただし、プレーに精彩を欠き、グループリーグ最終戦のポーランド戦と準決勝のスペイン戦は先発ではなく、途中出場であった。
 欧州選手権後の去就が注目されたが、9月から始まったUEFAネーションズリーグのメンバーには選出され、イタリア戦には先発出場し、ベルギー戦では途中出場であった。33歳となったグリエズマンはこの時期に代表からの引退を表明、デシャン監督はこれまで10年間信頼を寄せてきた中心選手を欠いた中でチーム編成を迫られたのである。(続く)

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