第3455回 秋の陣に臨むラグビーフランス代表(1) ラグビーワールドカップ4位のアルゼンチンに快勝
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■2位になった今季の6か国対抗
地元開催のラグビーワールドカップから1年が経過した。ラグビーワールドカップでは初優勝を目指したが、準々決勝で南アフリカに敗れ、失意の敗退となる。ラグビーワールドカップ以降にフランス代表チームは3つのイベントを経験してきた。まずは年が明けて2月から3月にかけて行われた6か国対抗である。本連載では第3319回から第3324回にかけて開幕戦のアイルランド戦について紹介したが、アイルランドにはホームで17-38と記録的な大敗を喫した。
その後は盛り返し、スコットランドに終盤逆転勝利、イタリアとホームで引き分け、ウェールズにアウエーで快勝、最終戦はホームでイングランドには辛勝、3勝1分1敗という結果で順位としては2位に入った。
また、この大会はパリオリンピックを控えていたため、スタッド・ド・フランス以外でホームゲームを行うとともに、本来の主将であるアントワン・デュポンがパリオリンピックの7人制ラグビーに出場するために、メンバーから辞退していた。ラグビーワールドカップ明けということもあり、各国とも新たな選手が加わってのリスタート、しかも北半球での大会でありながら、南半球勢に上位を独占され、欧州勢として巻き返しを図る中で行われた大会で2位というのはまずまずの評価であろう。
■夏は南半球のアルゼンチンに遠征
続いて行われたのが夏の南半球遠征であった。ウインドウマンスの7月にはアルゼンチンに遠征、アルゼンチン代表と2試合、ウルグアイと1試合(これはテストマッチ対象外)を行った。春先に行われる6か国対抗が伝統的な対抗戦ということでなかなか新メンバーをエントリーさせにくいのに比べ、夏の南半球遠征はシーズン終了後で、シーズン中に出場機会の多かった選手が外されることもあり、新人や代表に入ったものの定着できなかった選手にとっては起用されるチャンスである。
■先発の時点で6人が代表にデビューしたアルゼンチンとの第1テスト
今回のアルゼンチン遠征もフレッシュなメンバーが加わり、7月6日に行われたアルゼンチンとの第1テストはロックのウーゴ・オラドゥ、フランカーのオスカル・ジェグ、ナンバーエイトのジョルダン・ジョセフ、CTBのアントワン・フリッシュ、WTBのテオ・アティソグブ、レステル・エティアンと6人の選手が先発の段階で代表にデビューした。
一方、代表から少々遠ざかっている選手もカムバックした。主将を務めたのは8年前に代表にデビューし、この日が44キャップ目となるSHのバティスト・サランである。天才と言われながら、近年はデュポン、マキシム・ルクー、バティスト・クイユーにこのポジションを譲っていた。また、FBはメルバン・ジャミネが入った。ジャミネも2021年の夏の豪州遠征でデビューして、正確無比なキック力が評価されて代表に定着したかに見えたが、昨年のラグビーワールドカップはメンバー入りした者の、背番号15はトマ・ラモスに譲り、出場機会に恵まれなかった。
■この日唯一の南半球勢に対する勝利を記録したフランス
この試合はメンドーサで行われ、世界で最も観客が少ない、と言われたアルゼンチンラグビーであるが、昨年のワールドカップでの4位入賞、多数の選手が欧州でも活躍していることから3万6000人の観衆が集まった。ラグビーワールドカップの準決勝でイングランドを破った時のメンバーも主将のフリアン・モントーヤやパブロ・マテラなど6人出場、ファンの期待は高い。試合はフランスがアルゼンチンを28-13と快勝、主将のサランはこの試合初のトライを決め、ジャミネも終盤にレオ・バレに交代して出場、PGで3点を上げた。
この日はテストマッチが世界各地で行われたが、欧州勢は、イングランドがニュージーランドに15-16、ウェールズが豪州に16-25、アイルランドが南アフリカに20-27と南半球勢に次々と敗れ、フランスが唯一南半球勢に勝利(スコットランドはカナダに73-12で勝利)した。しかし、この勝利の後、フランス代表チームは様々な事件に巻き込まれるのである。(続く)