第3459回 秋の陣に臨むラグビーフランス代表(5) 1年ぶりのスタッド・ド・フランスで快勝
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■1年ぶりのスタッド・ド・フランス、アントワン・デュポンの合流
11月9日、フランス代表がスタッド・ド・フランスに戻ってきた。パリオリンピック、パラリンピックのメイン会場として活躍したため、ラグビーフランス代表が昨年のラグビーワールドカップ以来初めてこのスタジアムに姿を見せた。ちなみにサッカーのフランス代表はラグビーワールドカップがあったため、最後にスタッド・ド・フランスで試合をしたのは昨年6月19日の欧州選手権予選のギリシャ戦であり、ようやく11月14日のUEFAネーションズリーグのイスラエル戦で1年5か月ぶりに戻ってくる。
そして戻ってきたといえば、アントワン・デュポンである。デュポンは昨年10月15日のラグビーワールドカップ準々決勝の南アフリカ戦を最後にチームから離れていた。15人制の代表チームはスタッド・ド・フランスは1年1か月ぶりであるが、デュポンは7人制のメンバーとして昨年7月にはこのスタッド・ド・フランスで金メダルを獲得しており、それ以来のスタッド・ド・フランスとなる。
■日本の見せ場は開始直後のみ
スタッド・ド・フランスには、3階席は開放しなかったが、5万人近い観衆が集まった。日本は昨年のラグビーワールドカップでは優勝を目指しながら、予選プールでまさかの敗退となった。フランスでは両国が準決勝あるいは決勝で対戦すると期待していたファンは多く、その対戦が1年後にテストマッチという形で実現した。
主将候補のオリボンがメンバーから外れており、主将を務めるのは1年ぶり復帰のデュポンである。フランスは安全運転で試合をコントロールした。
日本のキックオフで始まった試合、フランスが自陣で確保し、デュポンがキックをあげたが、これを日本のロックのワーナー・ディアンズがチャージ、そのままボールを確保して突進し、先制トライかと思われたが、これをフランスのFBレオ・バレが何とかタックルして防ぐ。結局、前半の日本の見せ場はこれだけだった。
■次々とトライを重ねるフランス
陣地的に深く攻め込んだものの、フランスはマイボールスクラムからデュポンがロングキックで陣地を挽回、4分にはルイ・ビール・ビアレイがキックを絡めて左隅に飛び込むが、これを日本のマロ・ツイタマが身を挺して防ぐ。ビール・ビアレイのトライの判定はTMO判定となり、トライが認められ、フランスが先制する。トマ・ラモスの左隅からのコンバージョンは失敗となる。日本はボールは保持するものの、フランスのタックルに簡単に引っ掛かり、なかなか有効な攻撃を仕掛けることができない。
一方のフランスは10分には右サイドから左に展開、最後はラモスがキックパスを左前方に蹴りこみ、エミリアン・ガイユトンが簡単にキャッチしてインゴールに走り込み、2本目のトライ、今度はラモスのゴールも決まる。19分にはキックの蹴り合い、フランスに分があり、最後はこの試合が代表初スタメンのアレクサンドル・ルーマがインゴールのボールを持ち込む。ノックオンではないかという疑義もあったが、TMOでトライ、ラモスのゴールも決まって19-0と大差がつく。試合時間は1時間以上残っていたが、ここでフランスは勝利を確信し、ギアシフトする。日本にボールを持たせてもタックルで仕留め、ゲインを許さない。そしてチャンスがあればトライを狙うという戦術にスローダウンする。
■8トライをあげ、52-12で復帰戦を飾ったフランス代表とデュポン
余裕の試合運びのフランスは28分にもバックス陣が有的優位な状況を作り、ビール・ビアレイが今日2本目のトライ、ラモスのゴールが決まり、26-0となる。これまでのフランスの日本戦の最多得点差(2011年ラグビーワールドカップでの47-21)に並んだ。さらに34分にはフッカーのペアト・モーバカが密集の中を抜け出てトライ、31-0となって試合から緊張感が消えた。
緊張感の薄れたフランスから日本は38分にディアン・ライリーがトライかと思われたがノックオンで取り消される。
後半、フランスは序盤の三集中力をもって攻め、プロップのジャン・バティスト・グロがトライし、得点能力の高さを見せる。日本は50分に主将の立川理道、60分に交代出場のテビタ・タタフがトライをあげるが、両選手ともトライ後に負傷で交代する。フランスは余裕の試合運びで後半もポール・ブーダンが2トライをあげ、52-12という大差で勝利した。(この項、終わり)