第3472回 中盤戦のチャンピオンズリーグ(6) 後半アディショナルタイムにアトレチコ・マドリッドが決勝点

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■中盤戦で手ごわい相手と対戦するパリサンジェルマン

 前回までの本連載でモナコ、ブレスト、リールがチャンピオンズリーグで検討している中でただ1チーム、勝ち点を積み上げられないのがパリサンジェルマンである。第3節を終えた時点で勝ち点は4、しかもそれほどシード順の高くないチーム相手の成績である。 中盤戦は厳しい相手が続く。第4節はホームゲームであるが第2シードのアトレチコ・マドリッド(スペイン)、第5節はアウエーで第1シードのバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)との対戦となる。

■1勝2敗と出足の悪いアトレチコ・マドリッド

 アトレチコ・マドリッドは本連載第3451回の連載で紹介した通り、第3節でリールに敗れたが、ここまでの成績は1勝2敗とパリサンジェルマンよりも悪い。パリサンジェルマンとしてはホームゲームであり、勝ち点3を確実に取りに行きたいところである。11月6日、パルク・デ・プランスには48,000人近い観客が集まった。意外なことであるが、両チームは初めて欧州カップでの対戦となる。パリサンジェルマンにとっては欧州カップで対戦する10番目のスペインのクラブとなる。9番目は今季のチャンピオンズリーグの初戦で対戦したジローナであり、それに次ぐ勝利を期待したい。ただ、パリサンジェルマンもアトレチコ・マドリッドもこれまでのチャンピオンズリーグでの最高成績は準優勝であるが、パリサンジェルマンは準優勝1回であるのに対し、アトレチコ・マドリッドは3回、決勝戦で敗れている。
 パリサンジェルマンはイタリア代表のGKジャンルイジ・ドンナルンマも復帰してきた。一方のアトレチコ・マドリッドのGKはスロベニア代表のヤン・オブラクで主将を務める。そしてフランス代表から退いたアントワン・グリエズマンも出場する。試合前には南スペインで発生した洪水による被害者に対するセレモニーが行われ、アトレチコ・マドリッドの選手は薄緑のユニフォームに喪章を巻いてこの試合に臨む。また、パレスチナを支持する巨大な横断幕も掲げられ、戦争はピッチの中だけで十分と平和を希求するサッカーファンは主張する。

■圧倒的に攻めたパリサンジェルマン、先制するも追いつかれる

 試合はパリサンジェルマンが立ち上がりから積極的に攻め、開始1分もたたない段階でアトレチコ・マドリッドのゴール前で左右にパスをつなぎ、最後はアクラフ・ハキミのシュート、ゴールの枠をわずかにとらえきれなかったが、ファンを沸かせる。先制点はアトレチコ・マドリッドの守備陣のミスから生まれた。元フランス代表のストッパーのクレマン・ラングレに対してペナルティエリア内でウスマン・デンベレがプレッシャーをかけてボールを奪う。デンベレは走りこんできたウォーレン・ザイール・エメリにパス、GKを簡単にかわしてゴールにボールを流し込む。ザイール・エメリは18歳243日でのゴール、これはパリサンジェルマンの選手としてはキリアン・ムバッペの18歳337日を更新するチャンピオンズリーグでの最年少得点となった。
 守勢のアトレチコ・マドリッドであるが、16分には右サイドから波状攻撃をかける。ジュリアーノ・シメオネのシュートはドンナルンマがブロックしたが、このこぼれ球をシメオネはクロスをあげる。ここに走りこんできたナウエル・モリーナが豪快にシュートを決めてあっという間に同点に追いついた。しかし、ゲームの主役はパリサンジェルマン、前半のボール保持率は75パーセント、ほぼアトレチコ・マドリッド陣内での試合となったが、アトレチコ・マドリッドのオブラクを中心とする守備陣が健闘し、勝ち越しゴールを奪えずにハーフタイムを迎えた。

■得意の後半の最後にカウンターから決勝点を奪われたパリサンジェルマン

 このところのチャンピオンズリーグでは後半の得点が前半より圧倒的に多いパリサンジェルマンである。これは選手層の厚さも大きな要因であろう。後半も攻め続けるものの、なかなか勝ち越しゴールが奪えない展開となる。特にハキミは2度にわたりオブラクのビッグセーブにゴールを阻止された。マルコ・アセンシオに代わって李康成、ザイール・エメリに代わってランダル・コロムアニを投入するもゴールは生まれない。
 逆に後半アディショナルタイムの93分、パリサンジェルマンはCKからの波状攻撃、これを守り切ったアトレチコ・マドリッドはカウンター、長い距離を走り切ったアンヘル・コレアが左足で決勝点を奪ったのである。(続く)

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