第3476回 明暗が分かれたヨーロッパリーグのフランス勢(3) ホッフェンハイムと引き分けたリヨン

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■リーグ7連覇、欧州カップ23シーズン連続出場という記録を持つリヨン

 前々回と前回の本連載では年内最終戦となる第6節まで戦って2分4敗、勝ち点2で成績はブービーの35位と不振なニースを紹介したが、今回からはもう1チームフランスからヨーロッパリーグに参戦しているリヨンを紹介しよう。
 現在のフランスリーグではパリサンジェルマンが圧倒的な強さを誇っているが、そのパリサンジェルマンもかなわないのがリールのリーグ7連覇という記録である。2000年代に残した記録は欧州五大リーグには比肩するチームはない。そして欧州カップの常連でもあり、2000年代は出場チームが多くなったこともあるが、1997-98シーズンから2019-20シーズンまで23シーズン連続で欧州カップに出場している。

■3季ぶりに欧州カップに復帰、連勝スタートしたリヨン

 しかしながら、その後は2021-22シーズンにヨーロッパリーグに出場して準々決勝に進出だけで、欧州で戦わないシーズンの方が多かった。そして今季は3シーズンぶりに復帰、ヨーロッパリーグの序盤戦の戦いについては本連載の第3439回と第3454回で紹介した通り、グラスゴー・レンジャーズ(スコットランド)に連勝し、ベシクタシュ(トルコ)に敗れ、2勝1敗で乗り切った。

■サンテチエンヌとの大一番の前にホッフェンハイムと対戦

 リヨンの中盤戦の第4節は11月7日、ドイツのホッフェンハイムとアウエーで対戦した。ホッフェンハイムはここまで1勝1分2敗で19位、国内リーグでも下位低迷している。リヨンは10位でこの1戦を迎えるが、ベクシタシュに敗れてから国内リーグでは2試合連続引き分けであり、このホッフェンハイム戦の直後にはサンテチエンヌとのダービーマッチが待っている。
 リヨンはリーグ戦とは異なるメンバーをホッフェンハイムのプレゼロ・アリーナに送り込んだ。アウエーの戦いであったが、リヨンは序盤から押し込む展開となるが、シュートチャンスは少なく、一方のホッフェンハイムはカウンターアタックを仕掛け、少ないチャンスをシュートに結び付ける。

■交代選手が活躍したリヨン、後半アディショナルタイムに点を取り合ってドロー

 前半は両チームとも得点のないまま、ロッカールームに戻る。後半は開始早々に試合が動いた。ホッフェンハイムのフランス人選手バランタン・ジャンドレイが左からのクロスをノーマークでゴールに決める。その後もホッフェンハイムは決定機を迎えるが、リヨンのGKデカンが好セーブを見せ、追加点を許さない。1点を追うリヨンは61分に大量4人の選手を入れ替える。新たにピッチに入った選手たちが同点ゴールを産んだ。途中出場したばかりのアレクサンドル・ラカゼットとラヤン・シェルキがパスをつなぎ、最後は試合開始から出場しているアブナール・ビニシウスがゴールネットを揺らす。
 後半はリヨンが一方的にボールを支配する展開となるが、ホッフェンハイムもカウンターからシュートに繋げる力は変わらず、リヨンのデカンの好セーブの目立つ試合となった。
 ゴール前での攻防の多い試合となり、このままドローかと思われた終盤に試合が大きく動いた。85分過ぎからは激しい打ち合いになる。85分にはリヨンがCKのチャンス、ところがその直後の86分にはホッフェンハイムがリヨンのゴール前に迫り、デカンが2回にわたりシュートを防ぐ。88分には今度はリヨンのチャンス、シェルキがハーフボレーのシュートを放つが、シュートは枠から外れる。アディショナルタイムの表示は5分、ここから新たなドラマが始まった。93分にはラカゼットのシュートをホッフェンハイムの守備陣がゴールライン上で防ぎ、CKに逃れる。このCKをシェルキが蹴り、ゴール前でヘディングでつなぎ、ラカゼットがボレーで勝ち越し点を決める。
 しかし、試合は終わらない。95分にホッフェンハイムは攻め込み、リヨンはエインズリー・メイトランド・ナイルズがクリアしたが、そのボールをホッフェンハイムのウムト・トフムクが右足で低い弾道のシュート、これが同点ゴールとなり、リヨンは引き分けに終わったのである。(続く)

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