第3479回 好成績で越年するフランス勢(2) 年内にプレーオフ以上を決めたブレスト
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■今季のチャンピオンズリーグの最大の驚きとなったブレスト
勝ち点10で年内最終戦の第6節を迎えたフランス勢3チームのうち、前回はモナコについて紹介した。モナコはアウエーでアーセナルに敗れ、足踏み状態となったが、今回はブレストを紹介しよう。
チャンピオンズリーグだけではなく欧州カップへの出場が初めてというブレストは今季のチャンピオンズリーグの最大の驚きのチームであるといってよいであろう。ここまでに敗れたのは第1シードのバルセロナ(スペイン)とのアウエーゲームだけである。
■パリサンジェルマンとアウエーで引き分けたPSVアイントホーフェン
ブレストの第6節はオランダのPSVアイントホーフェンとのホームゲームである。ホームゲームと言ってもブレストは本拠地のフランシス・ルブレ競技場がUEFAの規定に達していないため、ギャンガンのルドゥルー競技場に選手もファンも移動して戦うことになる。
PSVアイントホーフェンは第3シードとして今大会に臨み、現在勝ち点8で19位である。その勝ち点の中にはアウエーでパリサンジェルマンと引き分けた1も含まれている。パリサンジェルマンとアウエーで引き分けているのだから、本来の本拠地を離れ、欧州での経験値も少ないブレストには勝利して当然であるとPSVアイントホーフェンのファンは思って当然である。
一方のブレストはこの試合で勝利すれば、決勝トーナメントのプレーオフの出場権を獲得することができる。そしてこの試合はブレスト以外のフランスのサッカーファンにも重要な意味を持つ。それはチャンピオンズリーグなどの出場チーム数を決定するUEFAインデックスにおいて、現在5位のフランスを追っているのがオランダだからである。
■前半終了間際に劣勢のブレストが先制
PSVアイントホーフェンのキックオフで始まった試合、序盤はブレストが積極的に試合を進めたが、時間が経過するに連れ、オランダからのビジターが試合を支配するようになる。ブレストはGKのマルコ・ビゾの好守からカウンターで攻めるパターンに期待するしかない。前半も終盤となるとPSVアイントホーフェンのヨハン・バカヨコなどのシュートがブレストのゴールを次々に襲う。特に、ルーク・デヨングなどのしかし、43分、ブレストはFKを得てカモリ・ドゥンビアがファーポストに蹴りこむ。これをママ・バルデがヘディングで中央に折り返す。これをPSVアイントホーフェンの守備陣がクリアしたが、そこにいたのがジュリアン・ルカルディナルであった。ルカルディナルの至近距離からのシュートがゴールインする。一連のプレーの中にブレストのバルデにハンドの反則があったのではないかとVARのチェックが入ったが、約2分後にルカルディナルのゴールが認められ、劣勢のブレストがいい時間帯に先制点を決めた。
■逃げ切ったブレスト、第6節でプレーオフ以上を確定
後半も前半と似た展開となった。開始直後の46分にブレストのバルデがPSVアイントホーフェンの守備の乱れからボールを奪ってシュートしたが、枠から外れ、ブレストは追加点のチャンスを逃してしまう。さらにバルデは51分にシュートがジャストミートせず、ミスを重ねる。
バルデが追加点のチャンスを逃した後、ブレストはこの試合の好守のヒーローのルカルディナルとビゾが相次いで負傷し、救護を受ける。ビゾは立ち上がったが、ルカルディナルはベンチに退く。試合再開直後、PSVアイントホーフェンのイスマエル・サイバリがシュート、ビゾの反応が遅れたが、シュートはポストに当たり、ビゾがあわやオウンゴールというシーンがあったが、結局ゴールには入らず、ブレストのファンは胸をなでおろす。
しかし、67分、PSVアイントホーフェンはヨエイ・フェールマンがシュート、これがブレストのストッパーのアブドゥライ・エンディアエの膝に当たって跳ね返って方に当たる。主審はいったんはPKを宣告したが、VARの結果、PKは取り消され、ブレストはまた救われる。その後は両チームとも決定的なチャンスをつかむが、両GKが好守を見せ、ブレストが1-0と逃げ切る。勝ち点を13に伸ばしたブレストは決勝トーナメントプレーオフ以上を確定したのである。(続く)