第3484回 フランスカップ、ベスト32決定戦(2) ジャイアントキリングにあった1部勢3チーム
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■フランスカップで下部のリーグのチームに敗れ続けているルアーブル
昨年までと異なり、フランスカップで1部勢が参戦するベスト32決定戦は年の初めではなく、1年の最後に行われる日程変更が行われた。変更初年のベスト32決定戦はどのような変化があっただろうか。
12月20日から22日にかけて行われるベスト32決定戦は1部勢18チームと8回戦まで勝ち抜いてきた46チームで争われる。
1部勢同士のカードが2つ組まれ、14チームが下部リーグのチームの挑戦を受けることになる。この中でジャイアントキリングに遭遇したのが3チームである。
ルアーブルは1959年のフランスカップを獲得しているが、近年のフランスカップでは下部のリーグのチームに敗れ続け、今年も4部に相当するナショナル2部のサンブリューと対戦、0-1と敗れて敗退してしまった。昨季は初戦となるベスト32決定戦では2部のカーンに勝利したが、続くベスト16決定戦では3部に相当するナショナル1部のシャトールーに敗れている。その前年は2部に所属していたが、初戦となる7回戦で5部に相当するナショナル3部のチームにPK戦で敗れている。2部に在籍した2019年はベスト32決定戦で1部のボルドーに勝利しながら、ベスト16決定戦ではナショナル2部のチームに敗れるといった具合である。ルアーブルはリーグ戦でも降格圏内の17位であり、奮起が望まれる。
■フランスカップでも元気のないリーグ最下位のモンペリエ
そしてリーグ戦でルアーブルよりも下の順位、すなわち最下位のモンペリエも初戦で敗退している。モンペリエが対戦したのはナショナル2部のル・ピュイである。ルアーブルと同様、3つ下のレベルのリーグのチームに敗れたわけであるが、試合内容が悲劇的であった。前半は互角の展開ながら、終了間際の43分に先制点を奪われる。後半も終盤に次々に失点し、0-4という大差で敗れてしまった。モンペリエの主将はテジ・サバニエ、東京オリンピックにオーバーエイジ枠で出場した選手であり、日本の皆様もよくご存じであろう。残留圏内の16位のサンテチエンヌとはこの時点で勝ち点4差、残された唯一のタイトルのリーグ戦にルアーブル同様、全力を尽くすことになる。
■ホームでめっぽう強いオセール、2部のダンケルクに敗れる
リーグ戦で低迷するルアーブルとモンペリエの敗退は予想される範囲のものであったが、驚きの敗退となったのがリーグ戦では8位のオセールである。オセールと対戦するのは2部で3位のダンケルクである。通常であれば、フランスカップのベスト32決定戦は下位チームが上位チームを迎えるが、この試合は上位のオセールがダンケルクを迎える。
オセールはホームのアベ・デシャン競技場ではめっぽう強く、2024年は9月14日のリーグ戦第6節のモナコに敗れた以外は昨季の後半戦を含めてもない。オセールは今季1部に昇格してきたが、昨季まで2部でダンケルクとは対戦を重ね、直近の対戦は4月29日、この試合ではオセールが3-1と勝利している。
このようにオセールが有利であるとの戦前の予想であったが、試合は立ち上がりからダンケルクが積極的に攻め続ける。ダンケルクは25分に先制ゴールを奪う。その後もダンケルクが試合を支配、ホームで圧倒的に強いはずのオセールは枠内シュート2本に抑えられ、初戦で敗退した。
■レベルの違うリーグのチームと戦った他の1部勢
オセールとダンケルクの顔合わせはベスト32決定戦で唯一の1部勢と2部勢の対戦であった。それ以外の1部勢は2つ以上レベルの違うリーグのチームと対戦した。
リーグの順位順に紹介すると、3位のモナコは地域リーグ1部(6部相当)のチームに大勝、4位のリールはナショナル1部のクラブ、5位のリヨンはナショナル2部のチームを下している。6位のニースと9位のトゥールーズはいずれもナショナル3部のチーム相手にPK戦を制すという薄氷の勝利。10位のスタッド・ド・ランスは地域リーグ1部のチーム、11位のブレスト、12位のレンヌはいずれもナショナル2部のチームに勝利している。13位のストラスブール、14位のナントもナショナル3部のチーム、15位のアンジェはナショナル2部のチームを退けた。
今回紹介しなかったチームは初戦から1部のチームと対戦したのである。(続く)