第3486回 パリサンジェルマン、カタールでチャンピオンズトロフィーを制す

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■昨季はシーズン前に開催できなかったチャンピオンズトロフィー

 前回までは年末最後の試合となったフランスカップベスト32決定戦を紹介した。今回は年始最初の試合を紹介しよう。長年、新年最初の試合はフランスカップで始まったが昨年、今年とチャンピオンズトロフィーでフランスサッカーの年が明ける。
 前年のリーグチャンピオンとフランスカップ勝者の間で行われるチャンピオンズトロフィーはシーズン開幕前に国外で行われていたが、昨年は開催候補地がタイのバンコクであったが、同国のラーマ10世の長女であるパッチャレキッティヤパー王女が2022年12月から心臓疾患により昏睡状態が続いていることから8月の開催を断念し、年が明けた1月3日にパルク・デ・プランスで開催していた。リーグチャンピオンのパリサンジェルマンは本拠地でカップ戦王者のトゥールーズを下した。

■国交60周年を記念した中国の北京での開催がキャンセル

 今年も前年同様、シーズン前の開催を断念せざるを得なかった。
 開催の意思を示した国にはコートジボワール、昨年の大会にも開催の意思表明をしたコンゴ民主共和国があったが、フランスと中国の国交樹立60周年を記念して北京で開催することが5月に決定した。しかし、北京開催は7月に運営上の問題からキャンセルされた。
 代替案として8月下旬にモナコでの開催が提案されたが、パラリンピックの開会式と重なるということから、この案も実現せず、主催者であるフランスプロサッカーリーグを悩ませた。

■パリサンジェルマンのオーナーの国、カタールで開催

 結局、11月に決定した案は2025年1月5日にカタールのドーハで開催するというものであった。
 昨季はフランスリーグもフランスカップもパリサンジェルマンが制したため、昨季のフランスリーグで2位になったモナコが出場することになった。モナコが出場することからモナコ開催が代替案となったが、最終的にはドーハになった。ドーハはカタールの首都であり、カタールと言えばパリサンジェルマンの資本を握っている国である。オイルマネーをスポーツに投資するという国の政策は2011年のパリサンジェルマンへの出資で始まり、2022年にはアジアで2回目のワールドカップを開催することで実を結んだ。
 パリサンジェルマンにとっては2年連続でホームでこのタイトルを争うことになった。パリサンジェルマンはカタール開催とあって、往復の飛行機代と1泊2食付きのホテル代、そしてチケットを含めたパッケージを100ユーロで提供するというキャンペーンを実施したが、今季のチャンピオンズリーグでの不振からファンの反応はよくない。
 それでもワールドカップ開催がカタールのサッカー熱をあげた事実であり、会場のスタジアム974には39,682人の観客が集まった。

■フィリップ・ケーンの好守を最後に崩したウスマン・デンベレ

 さて、両チームは2週間前、ウインターブレイクに入る前の最後のリーグ戦第16節、12月18日にモナコで対戦している。前回の本連載で紹介したジャンルイジ・ドンナルンマはこの試合の前半に負傷している。正GKの負傷退場というアクシデントはあったものの、パリサンジェルマンはその直後に先制、後半に入って60分には逆転されたが、ウスマン・デンベレの2ゴールなど、立て続けに得点をあげ、4-2と勝利している。
 2013年から12年連続決勝に進出し、そのうち11回の優勝を誇るパリサンジェルマンに対し、モナコは2000年以来24シーズンぶりの優勝を目指す。
 パリサンジェルマンはドンナルンマが負傷から復帰してきた。パリサンジェルマンが優勢に試合を進めたが、最も注目を集めたのはパリサンジェルマンのGKではなく、モナコのGKであった。スイス人のフィリップ・ケーンである。2週間前は4失点を喫したが、この日はパリサンジェルマンのシュートを右に左にセーブする。
 10本のシュートをセーブしたケーンが力尽きたのは後半アディショナルタイムの92分、ノーマークになったデンベレのシュートを止めることはできなかった。
 パリサンジェルマンは13回目の優勝を果たし、1年のスタートを切ったのである。(この項、終わり)

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