第31回 2002年アフリカ選手権(6) アフリカ戦選手権期間中のフランスリーグ

■カメルーン、PK戦を制し連覇達成

 3週間にわたって繰り広げられたアフリカ選手権は地元マリの活躍で大いに盛り上がった。決勝は前回優勝のカメルーンと躍進著しいセネガルの間で争われた。決勝戦のピッチに立った選手の3分の2はフランスリーグに所属しているのでフランス国内でも注目を集めたが、結局この大会を象徴するようなスコアレスのゲームとなり、延長を終わっても両チーム無得点。PK戦で雌雄を決することとなり、カメルーンが3-2で連覇を果たした。
 フランスリーグから多くの選手が参加した大会であり、アフリカ選手権特集の最終回となる今回はアフリカ選手権開催中の各チームの成績を振り返ってみよう。
 フランスリーグ1部のチームがこの大会の影響を受け始めたのは年末年始休暇明けの1月5日の第20節。準決勝と同時期の2月6日には第25節が行われている。また、昨年来グラウンドの凍結などにより多くの試合が延期され、この時期に行われている。モンペリエはこの期間にリーグ戦8試合を戦っている。さらにリーグ戦以外ではこの期間中にフランスカップのベスト16決定戦とベスト8決定戦、リーグカップのベスト8決定戦と準々決勝が行われている。

■ランス、着々と首位固め

 フランスリーグ1部に所属しているチームから40人以上の選手が今回のアフリカ選手権に出場し、ボルドー以外の17チームはアフリカ選手権に選手を派遣している。その中でも最多の6人を派遣している首位ランスは本連載第27回でご紹介したとおり、北部ダービーのリール戦を制したほか、この間リーグ戦5試合(第20節は天候不良のため延期)で3勝1分1敗と上々の成績で着々と首位固めをし、2月5日のレキップ紙が特集した1部リーグの監督インタビューによるとほぼ全員が優勝はランスであると回答している。主力のアフリカ人選手がいなくとも着々と勝ち星を重ねたところが高い評価につながったのであろう。

■ランスを追うリヨン、パリサンジェルマン

 また、昨年末にグラウンドコンディション不良のために試合延期が続いたリヨンもアフリカ選手権に出場したのは優勝したカメルーンのマルク・ビビアン・フォエだけであり、戦力をほぼ維持した中でリーグ戦7試合を戦い、4勝2分1敗と安定した成績を残した。2月9日には今年に入って唯一の無敗チームであるトロワと対戦した。トロワには3人のアフリカ選手権出場選手がいたが、モロッコとアルジェリアの選手であり、グループリーグで敗退し、チームに復帰し、ベストメンバーの布陣である。しかし、リヨンはベストメンバーをそろえ好調なトロワを3-1と下し、ランスとの勝ち点差は4で2位につけている。
 それからナイジェリアのジェイジェイ・オコチャの所属するパリサンジェルマンもこの期間の国内カップ戦では4連勝し、ロリアンとともに2つの国内カップ戦で勝ち残っている。この期間のリーグ戦でも3勝2分1敗と勝ち点を重ね、5位から3位に順位を上げている。

■元気のない北の雄リール

 一方、アフリカ選手権の期間中に成績を落としたのがランスにダービーで敗れたリールである。中田英寿率いるパルマをチャンピオンズリーグの予備戦の3回戦で破ったことから日本のファンの皆さんにもおなじみのチームであろう。チャンピオンズリーグは一次リーグでラコルーニャ(スペイン)、マンチェスターユナイテッド(イングランド)に及ばず、UEFAカップに回り、現在4回戦(ベスト8決定戦)に残っている。しかし、国内のカップ戦ではフランスカップもリーグカップも早々に不覚を取り、年を越すことができず、残された国内タイトルはリーグだけである。年末年始明けのリーグ戦再開時には地元ファンの期待も高まったが、6試合で勝ち星なしの3分3敗。順位を4位から6位に落とし、首位ランスとの勝ち点差も8から15に広がった。
 ところで、唯一アフリカ選手権に出場した選手がいなかったボルドーであるが、リーグ戦では2勝1分3敗と負け越し、リーグカップこそ準決勝に進出したものの、フランスカップではベスト16決定戦で3部リーグにあたるナショナルリーグのルジターノに0-2と敗れている。
 結局、欧州のクラブとアフリカの代表チームのスケジュールが異なっていることから、今までもアフリカ勢抜きで戦うことがしばしばあり、フランスのクラブはアフリカ勢抜きでのチーム編成を熟知している。アフリカ選手権の期間中の成績はアフリカ選手権に派遣した選手の数と質ではなく、チームの勢いを反映したといえるであろう。(この項、終わり)

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