第3518回 欧州カップ決勝トーナメント1回戦 (2) リバプールと対戦するパリサンジェルマン

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■決勝トーナメント1回戦屈指の好カードとなったリバプール-パリサンジェルマン戦

 前回の本連載はチャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦でリールがアウエーでボルシア・ドルトムントと引き分けたことを紹介した。
 今回はもう1チーム、フランスからチャンピオンズリーグを戦っているパリサンジェルマンを紹介しよう。リーグフェーズでトップ8に入ることができなかったパリサンジェルマンはプレーオフ経由で決勝トーナメントに臨む。本連載第3513回で紹介した通り、パリサンジェルマンはリーグフェーズ1位のリバプール(イングランド)と対戦する。すでに説明している通り、リーグフェーズの成績によって決勝トーナメントの組み合わせが決まるため、リーグフェーズで首位だったリバプールはリーグフェーズで15位だったパリサンジェルマンと対戦する。リーグフェーズの順位で最も離れたチーム同士の戦いであるが、決勝トーナメント1回戦屈指の好カードとして注目を集めた。

■チャンピオンズリーグで5連勝中のパリサンジェルマン、国内外で無敵のリバプール

 本連載でもしばしば紹介している通り、パリサンジェルマンはリーグフェーズ15位とは言ってもリーグフェーズの終盤戦3試合とプレーオフの2試合、5連勝であり、15位という順位を額面通りに受け取るわけにはいかない。
 一方のリバプールであるが、リーグフェーズは7勝1敗で首位で突破した。1敗は最終節にアウエーでPSVアイントホーフェン(オランダ)戦で喫したものである。そして国内でもプレミアリーグでも首位、20勝7分1敗、勝ち点67で2位のアーセナルに勝ち点で13の差をつけている。ちなみにフランスリーグは試合消化数がプレミアリーグよりも2試合少ないが、パリサンジェルマンも19勝4分で勝ち点62となり、2位のマルセイユとの勝ち点差は13である。

■これまでの対戦は2勝2敗、ホームチームが勝利

 両チームはこれまで欧州カップで2度顔合わせをし、その対戦成績は2勝2敗である。最初は1996-97シーズンのカップウィナーズカップの準決勝であった。前年、フランス勢として初めてこのタイトルを獲得したパリサンジェルマン、カップ戦のスペシャリストは第1戦はパルク・デ・プランスで3-0と先勝、アンフィールドでの第2戦は0-2で収め、2年連続の決勝に進出した。
 2度目は2018-19シーズンのチャンピオンズリーグのグループリーグである。第1節でリバプールで対戦、リバプールが2点リードするが、パリサンジェルマンは83分にキリアン・ムバッペのゴールで追いつく。しかし、後半アディショナルタイムにリバプールはロベルト・フィルミーノが決勝点をあげる。パリでの試合は第5節に行われ、パリサンジェルマンが2-1で勝利した。最終的にパリサンジェルマンが首位、リバプールが2位で決勝トーナメントに進出している。
 そしてパリサンジェルマンが決勝トーナメント1回戦でマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)に敗れたのに対し、リバプールはバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)、ポルト(ポルトガル)、バルセロナ(スペイン)を退けて、スペインのマドリッドで行われた決勝に進出、イングランドのトットナム・ホットスパーに勝利し、前身のチャンピオンズカップも含めて6回目の優勝を果たした。

■対戦が実現しなかった1992年のパリトーナメント

 また、これらの対戦の前に両チームの対戦が幻となったことがある。それが1992年のパリトーナメントである。これはシーズン前にパリに国内外のクラブが集って争うプレシーズンマッチである。1950年代に始まり、初期はラシン・パリがホスト、パリFCがその次を担い、1970年代からはパリサンジェルマンがホストとなった。
 1992年大会は国内からモナコ、国外からボルシア・ドルトムント(ドイツ)とリバプールが招かれた。国外のチームは熱心なファンを抱えるチームで多くの外国人ファンがバカンス中のパルク・デ・プランスに集まった。初日の準決勝第1試合ではモナコがリバプール、第2試合ではパリサンジェルマンがボルシア・ドルトムントをそれぞれ下し、決勝はフランス勢対決となり、パリサンジェルマンが優勝した。リバプールは2日目の3位決定戦でもボルシア・ドルトムントに敗れ、最下位となったのである。(続く)

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