第3533回 2025年6か国対抗優勝 (6) スコットランドに快勝、3年ぶりにフランス優勝

 平成23年東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨、令和6年能登半島地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■イングランドとフランスに絞られた優勝争い

 1月末にスタッド・ド・フランスで始まった今年の6か国対抗、最終戦もスタッド・ド・フランスで行われる。これまで紹介してきた通り、第4節で優勝の可能性もあった首位アイルランドをフランスがダブリンで破ったことから、大混戦となり、最終節を迎える段階で4チームに優勝の可能性があった。まずアイルランドがイタリアに勝って首位に立ち、この時点でスコットランドが優勝争いから脱落する。そして前回お伝えした通り、イングランドがウェールズに勝ったことにより、イングランドが首位に躍り出て、アイルランドの3連覇は消え、優勝はイングランドとフランスに絞られた。

■勝てば優勝が決まるフランス

 ここで、両チームの優勝の条件を確認しよう。まず、全日程を終了したイングランドは4勝1敗でボーナスポイントを含めた勝ち点は20、得失点差は+74である。そして今季の6か国対抗の15試合目をこれから戦うフランスは3勝1敗で勝ち点は16、得失点差は+106となっている。すなわち、フランスは勝利すれば勝ち点4を追加、得失点差でイングランドを上回ることから優勝となる。フランスが引き分け以下の場合はイングランドの優勝となる。
 大混戦で目まぐるしく首位の座が変わる最終節であったが、最終戦を迎えて、非常にわかりやすい構図となった。

■アントワン・デュポン不在のフランスが先行、追うスコットランド

 最終戦をホームで迎えるフランスの先発メンバーを紹介しよう。FW第一列はジャン・バティスト・グロ、ペアト・モーバカ、ウイニー・アトニオ、ロック陣はチボー・フラマンとミカエル・ギヤール、フランカーはフランソワ・クロとポール・ブーダン、ナンバーエイトはグレゴリー・アルドリットである。ハーフ団はマキシム・ルクとロマン・エンタマック、スリークォータバックスは左からルイ・ビール・ビアレイ、ヨラム・モエファナ、ガエル・フィクー、ダミアン・プノー、フルバックはトマ・ラモスとなるアントワン・デュポンはアイルランド戦での負傷で長期離脱、結局、今季の6か国対抗でデュポンとエンタマックがハーフ団を90分間組んだ試合はなかった。主将はアルドリットが務める。
 勝利が優勝となるフランスは4分にラモスのペナルティゴールで先制、12分のスコットランドのジェイミー・リッチーのイエローカードで、数的有利となっている18分にモエファナがトライ、ラモスのゴールも決まり、10点差とする。フランスも自陣ゴール前でモーバカの反則でイエローカード、フランスの優勝を見たくないスコットランドはフィン・ラッセルのペナルティゴールで3点を返す。フランスもペナルティゴールで突き放すが、29分にスコットランドはダーシー・グラハムがフランスのタックルをかいくぐってトライ、ゴールも決まり、さらに36分にペナルティゴールで13-13と追いついた。しかし、フランスは前半終了間際にラモスがペナルティゴールで勝ち越した。
 前半終了のホーンが鳴ってからスコットランドはトライをあげたが、TMOで取り消されて後半に入る。

■トマ・ラモスとヨラム・モエファナのトライで突き放したフランス

 後半は43分のビール・ビアレイのトライで始まった。ゴールも決まり再び10点差となったが、スコットランドは勝負をあきらめない。51分にはゴール前のペナルティキックでタッチを狙わず、ペナルティゴールで7点差とする。
 追いすがるスコットランドを突き放したのはラモスであった。57分にフランスはスコットランドのゴール前で連続攻撃を仕掛けるが、なかなかトライに至らない。最後にトライを決めたのがプノーからパスを受けたラモスだった。62分には先制トライをあげたモエファナがこの日2本目のトライをあげる。ラモスはこの日初めてキックを外すが、35-16と大差がつき、試合はこのままフランスが勝利、2022年以来3年ぶりの優勝を果たしたのである。(続く)

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