第3537回 パリサンジェルマン、アストン・ビラに先勝 (2) パリサンジェルマンに在籍したウナイ・エメリとマルコ・アセンシオ

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■リベンジを果たす機会を得たウナイ・エメリ

 アストン・ビラ(イングランド)は近年の国内外での実績がないとはいえ、パリサンジェルマンをよく知るウナイ・エメリが率い、就任以来、成果を残してきた。パリサンジェルマン時代にチャンピオンズリーグの決勝トーナメントでバルセロナ(スペイン)に大逆転負けを喫したが、その時のバルセロナの監督が現在パリサンジェルマンを率いるルイス・エンリケである。エメリがリベンジを果たすチャンスがやってきた。

■パリサンジェルマンからレンタルされ、ブレイクしたマルコ・アセンシオ

 そして、パリサンジェルマンからレンタルされたばかりのマルコ・アセンシオ、2023年夏にパリサンジェルマンがリオネル・メッシとネイマールを放出したタイミングでレアル・マドリッド(スペイン)から移籍してきたが、スーパースターの代役を務めるには至らず、その後獲得したウスマン・デンベレ、ゴンサロ・ラモス、ブラッドリー・バルコラの後塵を拝す形になった。このような環境となり、アセンシオは今年2月にアストン・ビラにシーズン終了までのレンタルとなった。初めてのプレミアリーグ挑戦となったが、見事にアジャストし、すでに1年半プレーしたパリサンジェルマンでの数字を上回る得点を記録し、レンタル終了後はアストン・ビラへの本格移籍が噂されている。
 また、副将でGKのエミリアーノ・マルティネスは世界チャンピオンのアルゼンチン代表のGKであるが、ワールドカップ決勝でフランスをPKで下した際のGKであり、フランス代表に対して挑発的な態度を取ったことで、フランスのファンにとっては宿敵である。

■リーグ優勝を決め、日程変更もあり、準々決勝2試合に集中できるパリサンジェルマン

 一方、迎え撃つパリサンジェルマンであるが、アストン・ビラとの準々決勝の前に朗報が2つある。まず、前々回の本連載で紹介した通り、4月5日にアンジェに勝利し、国内リーグ優勝を決めている。6試合を残しており、パリサンジェルマンはシーズン終盤はチャンピオンズリーグとフランスカップ決勝に全力を注ぐことができる。
 もう1つはフランスリーグ側による試合日程の変更である。フランスのクラブが欧州カップで好成績を残すことはそのクラブのみならずフランスの他のクラブにも出場チーム数の拡大などの好影響を与える。パリサンジェルマンとアストン・ビラの試合は第1戦が4月9日、第2戦が15日といずれも週の半ばに行われるが、この2試合の間の12日にリーグ戦の第29節が予定され、パリサンジェルマンはアウエーでナントと対戦する予定であった。だがリーグ側はこのナント-パリサンジェルマン戦をチャンピオンズリーグの準々決勝が終わった後の4月29日に延期し、パリサンジェルマンが準々決勝に集中できるような環境を作った。

■フランス国内で連敗中のアストン・ビラ、直近の国内アウエー戦で4連勝

 アストン・ビラはこの時点ではリーグ戦ではヨーロッパカンファレンスリーグに出場できる7位であり、リーグ戦でも気が抜けない。パリでの第1戦とバーミンガムでの第2戦の間にはプレミアリーグのアウエーのサウサンプトン戦が待っている。また、アストン・ビラはFAカップでも4月末に行われる準決勝に進出しており、29年ぶりの優勝を狙う。
 アストン・ビラが欧州カップに出場するようになったのは昨年からであるが、昨季はヨーロッパカンファレンスリーグの準々決勝でリールと対戦し、第1戦はバーミンガム、第2戦はリールで戦ったが、いずれもホームチームが2-1で勝利、最終的にはリールでの第2戦の後のPK戦でアストン・ビラが準決勝を決めている。今季はリーグフェーズの第7節でモナコとアウエーで対戦し、0-1と敗れている。昨季と今季、アストン・ビラはフランスのチームとフランスで戦っているが、いずれも敗れている。
 エメリ体制になって欧州で戦える力をつけたアストン・ビラ、国内の試合でも現在アウエーで4連勝中とビラ・パークを離れた試合も苦にしていない。パリの地で勝利をあげることができるだろうか。(続く)

 
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