第486回 リヨン、早々とグループリーグ突破
■ローゼンボリのアウエーゲームも完勝
国内リーグで独走状態にあるリヨン、5連覇を目指し、国内では無敵である。ところが、欧州の舞台ではこれまで特筆すべき成績を残せないままでいる。しかし、本戦に6年連続出場となる今年は、9月13日のグループリーグ初戦でレアル・マドリッドに3-0と大勝し、好調なスタートを切ったことは本連載第476回でご紹介したとおりである。
その2週間後の9月28日にリヨンはノルウェーのローゼンボリとのアウエーゲームに臨む。この段階でリヨンは国内リーグでは6勝3分と負けなしで、堂々の首位である。ローゼンボリはチャンピオンズリーグでは初戦のアウエーのオリンピアコス・ピラエウス(ギリシャ)を3-1と制し、早くも1勝した同士の戦いとなった。ローゼンボリはこのところチャンピオンズリーグにしばしば出場しており、フランス勢とはこれまで2回対戦しているが、地元では1勝1分(2000年:パリサンジェルマン戦3-1、2002年リヨン戦1-1)と負け知らずである。しかし、リヨンにとって北欧でのアウエーゲームもまったく苦にはならなかった。試合開始早々から相手ゴールを脅かし、攻撃を仕掛け続ける。ローゼンボリにとって唯一のチャンスとなったのは前半の34分、昨季ストラスブールに所属していたスウェーデン人のミカエル・ドルサンが放ったシュートをグレゴリー・クーペが好セーブする。ファビアン・バルテスの不在で代表チームのゴールを守っているクーペはバルテス復帰後も正GKの座を守る可能性が強い。リヨンの守備は磐石である。そのリヨンが先制点を奪ったのは前半のロスタイムのことである。コーナーキックをブラジル人センターバックのクリスがヘッドでゴールに押し込み、2万人の地元ファンを沈黙させる。わずか1点のリードであったが、後半も危なげなく試合を支配し、2勝目をあげたのである。
■終盤に追いつかれるも試合終了直前に勝ち越し点
第3節は10月19日にリヨンのジェルラン競技場に連敗中のオリンピアコス・ピラエウスと対戦する。フランス代表がワールドカップ出場を決めた直後の試合となったが、国内リーグでリヨンはローゼンボリ戦以降、連勝し2位パリサンジェルマンとの差を広げる。開始4分にはジュニーニョが先制点を挙げて好調な滑り出し。ファンも追加点を期待するが、その後、両チーム得点なく試合は終盤を迎える。残り時間が数分となった84分にリヨンは今期チャンピオンズリーグでの初失点を喫す。しかし、今年のリヨンは今までのリヨンとは違った。89分にシドニー・ゴブーが勝ち押し点を決める。第2節のクーペに続き、第3節ではゴブーという代表チームでの準レギュラー級の選手が活躍してリヨンは3連勝でグループリーグを折り返したのである。
■初めて追う展開となってもあわてず、ゴールラッシュで逆転
第4節は11月1日にピラエウスで行われた。前半戦を1勝2敗で折り返したオリンピアコス・ピラエウスもこの試合で勝てば2位浮上のチャンスであり、ブラジル代表のリバウドを復帰させる。3万3000人の地元ファンで立錐の余地もないスタンドのファンの期待に地元チームが応えた。4分に先制点を入れ、リヨンはこのシリーズで初めてリードを奪われる。その五試合はイエローカードが行きかう荒れた試合になったが、スタジアムが沈黙したのは41分のことであった。ジュニーニョが芸術的なFKを決めてリヨンは同点に追いつく。さらにその3分後、ノルウェー代表のジョン・カルーが勝ち越しゴールを決める。リードして折り返したリヨン、同時に行われているローゼンボリ-レアル・マドリッド戦の結果によっては早々と敗退が決まってしまうオリンピアコス・ピラエウス、両チームの精神状態は後半の試合内容を決めた。55分にはオフサイドぎりぎりのところから出したカルーのパスをママドゥー・ディアラが無人のゴールに入れる。さらに57分にはカルーが決定的な4点目を決める。リヨンは4-1とオリンピアコス・ピラエウスを下し、4連勝でグループリーグ突破を早々と決める。第1節でリヨンに敗れたレアル・マドリッドもその後立て直し、3勝1敗でリヨンとともにグループリーグを突破する。
■国内リーグでも負け知らずで独走、高まる期待
リヨンはチャンピオンズリーグで4連勝したばかりか、国内のリーグ戦では10勝3分、2位ボルドーに勝ち点9差をつけている。またリーグカップでは1回戦でナントに敗れているが、この試合も1-1のタイスコアの末、PK戦で敗れたものであり、実に今季の公式戦で14勝3分1敗、しかもその唯一の敗戦はPK負けであるという驚異的な戦績を残している。リヨンが来年5月にビッグイヤーを掲げることは決して夢ではないであろう。(この項、終わり)