第502回 欧州カップのグループリーグ最終節(2) モナコ、ランスも決勝トーナメントへ
■決勝トーナメントに影響するグループリーグの成績
前回の本連載はチャンピオンズリーグのグループリーグ最終節でリールが敗れ、UEFAカップの決勝トーナメントに回ることを紹介したが、そのUEFAカップのグループリーグの最終節が12月14日と15日に行われた。本連載第498回で紹介している通り、グループAのモナコ、グループCのランスにとって最終節は決勝トーナメント進出のかかる試合となった。
グループAはモナコが勝ち点6(得失点差+3)で首位、同勝ち点で得失点差+1のハンブルガーSV(ドイツ)が2位、3位にはスラビア・プラハ(チェコ)が勝ち点4(得失点差0)、4位はバイキングFK(ノルウェー)が勝ち点4(得失点差-3)、そして5位はCSKAソフィアが勝ち点3(得失点差-1)で追う展開となっている。4位のバイキングFKは試合がないため、すでに圏外となり、モナコは5位のCSKAソフィアよりも上位になればいい。数字の上ではモナコは1点差で負けても決勝トーナメントに進出できる。しかし、モナコにとってはこの試合どうしても勝ちたい。それは本大会特有の大会規定による。決勝トーナメントには各グループリーグの上位3チームからなる24チームと、チャンピオンズリーグのグループリーグで3位となった8チームが参加する。決勝トーナメントはホームアンドアウエーのノックアウト方式で行われるが、UEFAカップのグループリーグで1位となったチームは3位となったチームと対戦する。また2位になったチームはチャンピオンズリーグから転戦してきたチームと対戦する。さらにグループリーグ1位と2位のチームはホームで第2戦を戦うことになり、グループリーグの順位が高いほど決勝トーナメントを有利な条件で戦うことができる。
■モナコにとって相性の悪いCSKAソフィア
ところが、グループリーグの首位通過を狙うモナコにとってホームゲームとはいえ、対戦相手は当事者であるCSKAソフィアである。CSKAソフィアにとってはモナコを倒せば決勝トーナメントに進出できる。さらにモナコはCSKAソフィアと欧州カップで過去2回対戦しており、1982-83シーズンのカップウィナーズカップでは1分1敗、1984-85シーズンのUEFAカップでも1分1敗といずれも敗れており、相性のいい相手ではない。
■相手の反撃を抑え、首位突破を決めたモナコ
ルイ2世スタジアムで18時30分からキックオフされた試合、ホームのモナコは積極的に攻めるが、ゴールネットを揺らすことはできない。引き分けでも決勝トーナメント進出は可能であるが、同勝ち点で並ぶハンブルガーSVも同時刻にキックオフされた試合で開始早々に先制点を入れている。モナコにとって勝利以外は望む結果ではない。そのモナコのファンを歓喜させるゴールが生まれた。後半立ち上がりの49分、このところフランス代表から外れているオリビエ・カポが先制ゴール、そして現在フランス代表入りしているセバスチャン・スキラッチが75分に追加点をあげる。モナコが2点をリードし、これで安心かと思われたが、83分にCSKAソフィアが1点を返し、ルイ2世競技場は騒然とする。この段階でハンブルガーSVは2点リードしており、モナコはあと1点失えば主通過は不可能となるが、守りきって首位突破を決めたのである。
■終了間際の奇跡のゴールでランスも決勝トーナメントへ
そしてグループCも混戦となった。最終節を迎える段階でステアウア・ブカレスト(ルーマニア)が勝ち点7で決勝トーナメント進出を決め、勝ち点5でサンプドリア(イタリア)、ヘルタ・ベルリン(ドイツ)が並び、勝ち点4でランスが追っている。ランスの最終戦はホームでサンプドリア戦、勝てば決勝トーナメント進出、引き分けた場合はステアウア・ブカレストがヘルタ・ベルリンに勝った場合に飲み決勝トーナメントへの道が開ける。この試合開始早々にランスがオリビエ・トメールのゴールで先制するが、24分に追いつかれる。同点のまま時間は過ぎ、いよいよロスタイム。この段階でもう1試合は引き分けに終わり、このままではランスは敗退となる。しかし、ここで奇跡のゴールが生まれる。チュニジア代表のイッサム・イエマが勝ち越しゴール。地獄から天国へと導いたゴールでランスは2位でグループリーグを通過したのである。
すでに決勝トーナメント進出を決めているマルセイユとストラスブールは最終戦にも勝ち点を積み重ね、首位で突破しており、フランス勢5チームのグループリーグの結果は4戦全敗のレンヌ以外は首位突破3チーム、2位突破1チームと上々の成績を残した。チャンピオンズリーグのリヨン、UEFAカップのリール、マルセイユ、ストラスブール、モナコ、ランスと6チームの年明けからの戦いに注目したい。(この項、終わり)