第520回 2006年アフリカ選手権(4) ワールドカップ出場国の過半数がグループリーグで敗退
去る2月7日にアフリカ選手権開催地のカイロで急逝された日本を代表するジャーナリストである富樫洋一様の冥福を心からお祈り申し上げます。
■開催国エジプト、コートジボワールを下し、首位突破
今回のアフリカ選手権には今年のワールドカップに出場する5か国も出場するが、グループAにコートジボワール、グループBにアンゴラとトーゴ、グループCにチュニジア、グループDにガーナとバランスよくグループ分けされた。
グループAでは開催国のエジプトが開幕戦でリビアに3-0と完勝して幸先よいスタートを切ったものの、第2戦でモロッコとスコアレスドローとなる。第3戦の相手はモロッコ、コートジボワールを連破して勢いに乗るコートジボワールである。アフリカ選手権の開催都市は現在のワールドカップとは異なり、開催国やグループリーグで好成績を残したチームが特定の競技場で試合を連続して行うことができる。開催国のエジプトはグループリーグ3試合をカイロの国際競技場で戦ったが、グループリーグを1位で突破すれば、同じスタジアムで決勝トーナメントを戦い続けることができるため、勝たなければならない一戦となった。この試合、エジプトは意地を見せ、3-1とワールドカップ初出場を決めた上り調子の新興国を下し、首位で決勝トーナメントに進出する。
■ワールドカップ出場国が揃って敗退したグループB
グループBはアンゴラ、トーゴ、カメルーン、コンゴ民主共和国の4チームである。前回のアフリカ選手権に出場していないアンゴラ、トーゴはワールドカップ初出場となり、アフリカ選手権は格好の準備の機会である。一方、カメルーンはワールドカップの常連国であるが、今回のワールドカップ出場を逃す。またコンゴ民主共和国も前回のアフリカ選手権の出場国であり、新旧対決となった。また日程的にもワールドカップ出場国同士の対戦となるアンゴラ-トーゴ戦は第3戦、しかも今大会のメインスタジアムであるカイロの国際競技場で行われる。開催国エジプトの所属するグループA以外の試合で唯一このメインスタジアムで行われるのがワールドカップ出場国同士の対戦であり、主催者側の特別な計らいが感じられる。
しかし、この夢のカイロでの戦いは思わぬ展開となった。まず、第1戦でカメルーンはアンゴラに3-1、コンゴ民主共和国はトーゴに2-0と勝利する。さらに第2戦でもカメルーンはトーゴを2-0と下し、アンゴラもコンゴ民主共和国と引き分けるのが精一杯。結局第3戦を迎える段階でカメルーンが勝ち点4で決勝トーナメント進出を決め、2位は勝ち点4のコンゴ民主共和国、3位は勝ち点1のアンゴラ、トーゴは勝ち点0でグループリーグでの敗退が決定してしまった。首位争いを期待した主催者の目論見ははずれ、7万4000人収容のメインスタジアムでの試合は最下位決定戦となり、わずか1万5000人しか観客が集まらなかった。結局、グループBはカメルーンが3連勝で首位、アンゴラはトーゴに勝ち、コンゴ民主共和国と勝ち点4で並んだが、直接対決の成績でも並び、グループ内の得失点差で1上回るコンゴ民主共和国が決勝トーナメントに進出した。ワールドカップではフランスと同じグループとなりセネガルの再来かと恐れられているトーゴは3連敗でエジプトを去った。
■本命チュニジア、思わぬ大敗
グループCの本命はチュニジアである。チュニジアは第1戦でザンビアを4-1と下し、貫禄を見せる。もう1つの試合はギニアが南アフリカを2-0と下す。第1戦で勝利した2チームは第2戦でも連勝し、第2戦を終わった段階で決勝トーナメント出場国が決定した。前回優勝国のチュニジアは第3戦でギニアと対戦、両チームの監督はいずれもフランス人、フランス人監督の対決に関心が高まったが、ギニアが3-0とチュニジアを一蹴し、チュニジアはロジェ・ルメール監督になって初めての大敗を喫した。
■大混戦のグループD、ナイジェリアとセネガルが突破
グループDは注目の第3戦となった。第3戦を迎える段階で、ワールドカップ常連国ながら今回の出場を逃したナイジェリアが2連勝、ガーナとセネガルが1勝1敗で追い、ジンバブエは2連敗。第3戦でナイジェリアはセネガルを倒して3連勝し、ガーナはジンバブエに1-2と敗れてしまう。ナイジェリアが首位となり、セネガル、ガーナ、ジンバブエが1勝2敗で並ぶ。当該国間の成績は1勝1敗であるため、得失点差で順位が決まり、2位セネガル、3位ガーナ、4位ジンバブエとなったのである。
ワールドカップ出場国の過半数がグループリーグで敗退したのである。(続く)