第37回 マルティニック、ゴールドカップで大健闘(4) 殊勲の初白星、ベスト8に進出
■ワールドカップ出場5か国が参加するゴールドカップ
マルティニックにとって1993年以来2回目の出場となる今回のゴールドカップは12チームが出場し、予選を勝ち抜いた国だけではなく、韓国とエクアドルが招待されている。特に韓国は世界各国のサッカー界に経済的な援助をしており、前回の2000年大会にもペルー、コロンビアと並んで招待国されている。ワールドカップ出場国は過去最多の5か国(メキシコ、米国、コスタリカ、韓国、エクアドル)となり、ハイレベルな戦いが予想される。
■大会前にトーナメント開催、ハイチに雪辱を果たす
名誉挽回に燃えるマルティニックは準備のために大会前にフランツ・ファノン・トーナメントをフォール・ド・フランスのディヨン競技場で開催した。このトーナメントにはマルティニック、グアドループ、ハイチというカリブ海の代表チームに加え、アルゼンチンからボカジュニアーズのU-23という4チームが出場した。1回戦でマルティニックは長年のライバルであるグアドループと対戦し、1-3というスコアで敗れてしまう。しかもこれはグアドループがマルティニックを初めて敵地で破った試合になった。不本意ながら3位決定戦に回ったマルティニックの相手はハイチ。ハイチは1回戦の試合開始の3時間前にようやくマルティニックに到着し、コンディションの整わないハイチに対し、若手主体のボカジュニアーズが試合の主導権を握り、先制する。ハイチは試合の終盤にようやく調子を取り戻したが、時すでに遅く、追いつくことはできなかった。奇しくも3位決定戦はゴールドカップに出場する国同士の対戦となった。
昨年のカリブカップの準決勝でマルティニックはハイチに0-5と大敗を喫し、3位決定戦と言っても雪辱を果たしたい相手である。マルティニックが先行し、ハイチが逆転し、最後にマルティニックが追いつくと言う展開でスコアは3-3となり、PK戦で雌雄を決することになった。PK戦の末競り勝ったマルティニックが昨年のカリブカップでの雪辱を果たし、マイアミに乗り込んだのである。
■トリニダードトバゴを破り初白星、決勝トーナメントへ
3か国ずつ4つのグループで行われるグループリーグの初戦の対戦相手はワールドカップ出場国のコスタリカ。日本とはワールドカップの招致活動を通じて蜜月関係になったことから日本の皆さんにとってなじみの深い国であろう。ゴールドカップには1996年大会以外の全ての大会に出場している常連国である。大会直前にはカメルーンを迎えて2-1と下し、マルティニック戦も前後半それぞれ1点ずつあげて2-0で完勝した。
強豪相手に勝ち星を挙げることができなかったマルティニックであるが、大会初白星と決勝トーナメント進出をかけて戦う相手はカリブカップで優勝8回を誇るトリニダードトバゴ。監督は昨年6月からブラジル人のルネ・シモエスがつとめている。日本の皆さんはワールドカップ・フランス大会で対戦した時のジャマイカ代表の監督であったことからよくご存知であろう。ワールドカップ予選で4敗1分と最下位に低迷していたトリニダードトバゴの救世主としてサッカー協会の技術委員長から昇格した。
ワールドカップ出場はならなかったが、ゴールドカップではワールドカップ出場国のコスタリカ相手に終了間際にPKを決めてドローに持ち込む。マルティニックとトリニダードトバゴの戦いは両チームの決勝トーナメント進出がかかる重要な一戦となった。前半は両チーム無得点、後半に入り。マルティニックのパトリック・ペルサンが待望の先制点をあげる。その後、トリニダードトバゴが攻勢にでて、86分にはカリブカップの3位決定戦で活躍したマルセル・ギボンが2回目の警告で退場となり、10人で戦うことになる。しかし、マルティニックは守りきって歴史的な初白星をあげ、1勝1敗でコスタリカに次いでグループ2位となり、決勝トーナメントに進出したのである。(続く)