第544回 リヨン、リーグ5連覇に王手(2) 前人未到の5連覇達成、新記録に挑戦
■注目の2位争い、リール-ボルドー戦
4月14日から16日にかけて行われたフランスリーグ第35節、リヨンの5連覇なるかが注目された。リヨンは16日にパリサンジェルマンとアウエーで対戦するが、その前日にボルドーがリールで試合を行いボルドーが勝ち星を逃せば、リヨンは優勝となる。8連勝とここに来て調子の波に乗るレンヌに抜かれて4位に落ちたリールであが、2位ボルドーとの勝ち点差は6、2位以内に入れば来季のチャンピオンズリーグに本戦からエントリーできることから、ボルドーを逆転したいところである。逆にボルドーはリールに勝てば勝ち点差を9に広げることができることから、リールに勝ってチャンピオンズリーグ本戦出場に大きく前進したいところである。本連載第475回で昨年夏に行われたチャンピオンズリーグの予備戦について紹介したが、リーグ戦で3位にとどまったモナコが本戦に出場できなかった。最終節までモナコと2位争いをしていたリールは本戦から出場し、今季のチャンピオンズリーグ、UEFAカップで大活躍し、2位と3位の違いを最もよく知っているチームである。リヨンにとっては優勝のかかった試合となったが、両チームにとっては来季の欧州での戦いを大きく左右する大一番である。
■リーグ2位の重みを知るリールが勝ち、リヨンが優勝
そのリールとボルドーの試合は土曜日の夕方キックオフされた。試合はチャンピオンズリーグ出場を争うチームの戦いに相応しいスリリングな展開となった。まず2分、地元のリールが先制点、6分にも追加点を上げる。この段階ですでにリールの勝利とリヨンの優勝が決まったと思われたが、ボルドーも16分にPKを得て、着実に決めて反撃する。リールは31分にピーター・オデンウィンギーが見事なボレーシュートを放ち、3-1とリードを広げる。後半に入り、ボルドーは62分にジュリアン・フォーベールが負けじと見事なゴールを奪い、1点差に詰め寄るが、ボルドーの反撃もここまで、結局ボルドーは2-3で敗れ、リヨンの5連覇が決定したのである。
■ゴールの後はラグビー式で祝福したリヨン
翌日にパリサンジェルマンとパルク・デ・プランスで戦うリヨンのイレブンはこのときすでにブローニュ・ビヤンクールのホテルにチェックインしており、ホテルで5連覇達成のパーティーが行われたのである。
フランスリーグの70年以上の歴史の中でこれまでに5試合を残して優勝したチームはない。
5試合を残して優勝を決めたリヨンであるが、祝宴の翌日のパリサンジェルマン戦は負けるわけにはいかない。パリサンジェルマンも1994年を最後にリーグ制覇から遠ざかっており、人気面でも同じパリを本拠地とするラグビーのスタッド・フランセに遅れをとる始末で、身売りをするにいたっている。今季残されたタイトルはフランスカップだけであるが、優勝を決めたばかりのリヨンを倒すことによってその存在意義を示したいところである。また、リヨンの監督のジェラール・ウリエは20年前にパリサンジェルマンがリーグ初優勝を遂げた際の監督である。パルク・デ・プランスは立錐の余地なく、わずかにリヨンの応援団に割り当てられた座席に空席が見られるだけである。
試合はリヨンのフレッドが24分に同じブラジル人のジュニーニョからのCKをヘッドであわせて先制点。ゴールの後、奇妙な光景が見られた。それはリヨンの選手がラグビーのオールブラックスが試合前に踊るマオリの民族舞踊ハカの真似をしてゴールを祝福したのである。ラグビーチームの方が人気のあるパリサンジェルマンとそのファンにとってはなんとも厳しい祝福の儀式であった。このハカで意気消沈したのかパリサンジェルマンはノーゴールでリヨンがパリサンジェルマンを破ったのである。
■残り4試合で数多くの新記録に挑むリヨン
リヨンは残り4試合となったが、この段階ですでに勝ち点78、過去の最多勝ち点は昨年、一昨年のリヨンなどが記録した79であり、新記録は確実である。そして2位との勝ち点差も現在17であり、過去の記録は昨年のリヨンなどが記録している12である。また、パリサンジェルマン戦はリヨンにとって今季17試合目のアウエーゲームであったがこの成績は実に12勝5分、残り2試合負けなければシーズンでアウエーゲーム無敗という過去にいかなるチームも達成しなかった記録となる。
5連覇だけではなく多くの新記録を打ち立てる勢いでリヨンは終盤を迎えるのである。(この項、終わり)