第621回 2006年女子バスケットボール世界選手権(4) 豪州に敗れ順位決定戦へ

■女子バスケットボールの2強、米国とロシア

 2次リーグ初戦でロシアに勝利したフランスは決勝トーナメント進出に向けて、大きく前進した。2次リーグ第2戦の相手は優勝候補の米国である。女子バスケットボールの歴史は完全に米国とロシア(ソ連)の2強時代が長く続き、米国が6回優勝、ロシア(ソ連)が7階優勝を遂げている。これまでの大会で両国以外に優勝経験があるのはブラジルだけである。
 今大会も米国はここまで全勝であり、フランスはチャレンジャーとして立ち向かったが、ロシア戦勝利で心のゆるみがあったのだろうか、第1クォーターで15-24とリードを許し、点差を広がられる一方で、第4クォーターにいたってはわずか2点しか得点をあげることができず、41-76と大敗を喫したのである。

■フランス、ロシア、中国で争う決勝トーナメントへの切符

 2次リーグの最終日を迎える段階で、グループFの成績は米国が5勝、チェコが4勝1敗、フランスが3勝2敗、ロシア、中国、キューバが2勝3敗である。米国とチェコは決勝トーナメント進出をすでに決めており、残る2つの椅子をフランス、ロシア、中国、キューバが争うことになる。最終戦は9月18日にロシア-キューバ、フランス-中国、米国-チェコの順に行われた。
 まずこの第1試合でロシアがキューバを96-81と下し、これで2勝4敗のキューバが脱落する。第2試合でフランスは勝てば問題なく決勝トーナメントに進出できるが、フランスが敗れれば、フランス、ロシア、中国が3勝3敗で並ぶ。大会前に両国は親善試合を行い、1勝1敗の互角の成績を残している。中国もフランスに勝つことができれば、得失点率の勝負となる。第1クォーターは20-18、第2クォーターは12-12とわずか2点をリードして後半を迎える。ところが後半立ち上がりから、中国は猛攻を仕掛ける。わずか4分間で中国は13点を奪い、28分には中国が10点差をつけた。フランスも第4クォーターでは盛り返したが、結局64-66という2点差で惜敗する。

■得失点率でロシアとともに決勝トーナメントへ

 この結果、ロシア、フランス、中国が3勝1敗で並び、当該チーム間の対戦成績も1勝1敗となる。この場合、1次リーグと2次リーグの合計6試合の総得点を総失点で割った得失点率で順位を決定することになる。ロシアは総得点493、総失点446で得失点率1.07、フランスは総得点414、総失点410で得失点率1.016、中国は総得点421、総失点477で得失点率0.88となり、3位ロシア、4位フランスとなり、フランスは決勝トーナメントにかろうじて進出したのである。フランスが1次リーグでチャイニーズ・タイペイ戦で100点ゲームを達成したことが、フランスに有利に働いており、中国は政敵であるチャイニーズ・タイペイに決勝トーナメントへの道を阻止されたと言っても過言ではないだろう。

■準々決勝で豪州に力負け

 かろうじてグループFで4位に滑り込んで決勝トーナメント進出を果たしたフランスの決勝トーナメント1回戦の相手はグループEで首位となった豪州である。ここまでの6試合が全勝という成績を残しているのはこの豪州と米国だけであり、フランスにとっては手ごわい相手である。9月20日の準々決勝は豪州が序盤からフル回転、第1クォーターから23-13と大差が付く。豪州はエースのローラン・ジャクソンが大活躍し、1人で19点をあげる。一方のフランスは第2クォーター以降は持ち直したものの、依然として攻め手を欠き、3ポイントシュートに活路を見出そうとした。しかしフランスチームが放った12本の3ポイントシュートのうち、成功したのはわずか1本であった。フランスは最終スコア66-79で豪州に敗れ、順位決定戦にまわることになったのである。
 結果論ではあるが、1次リーグのキューバ戦あるいは2次リーグの中国戦に勝利していれば準々決勝で豪州と対戦することを回避できたわけであり、このグループリーグでの取りこぼしが悔やまれる。(続く)

このページのTOPへ