第631回 中盤を迎えたチャンピオンズリーグ(1) リヨン、無失点の3連勝で折り返す
■好スタートを切ったフランスの3チーム
今季のチャンピオンズリーグについてはグループリーグの開幕の模様を本連載の第612回から第615回にかけてとりあげてきた。フランスからはリヨン、ボルドー、リールの昨季のリーグ上位の3チームが出場し、第1節で、リヨンがホームで勝利、ボルドー、リールがアウエーで引き分けに持ち込んだことを紹介した。特にリヨンはホームとはいえ、相手はスペインのレアル・マドリッド、昨年に続く勝利にフランス中が歓喜した。その後、中1週あるいは中2週のペースで試合が行われ、11月の初旬には第4節が終了した。中盤を迎えた段階でフランス勢3チームは三者三様の成績となっている。
■9年ぶりのブカレストでの試合となるリヨン
まず、好調なのはグループCのリヨンである。第2節はアウエーでルーマニアのステアウア・ブカレストと対戦する。ステアウア・ブカレストはインターコンチネンタルカップを制覇して訪日したこともあり、日本の皆様には親しみのあるチームであろう。リヨンとステアウア・ブカレストはこれが初対決となるが、リヨンは一度だけブカレストで試合をしたことがある。まだリヨンが国内王座に着く前の1997年夏のインタートトカップでリヨンはラピッド・ブカレストと対戦している。この時は5チーム総当りのグループリーグをいずれかの本拠地で行い、リヨンは敵地での戦いとなったが、2-1と勝利している。リヨンはグループリーグを4戦全勝と言う成績で抜け出し、準決勝、決勝と勝ち抜き、UEFAカップ出場を果たしているのである。当時のメンバーで今なおリヨンに所属しているのはGKのグレゴリー・クーペだけである。
■昨季UEFAカップ4強のステアウア・ブカレストに完勝
ステアウア・ブカレストは、昨年UEFAカップに出場している。本連載第498回で紹介したとおり、グループリーグでランスと対戦し、4-0と大勝しているが、その後も勢いに乗って準決勝に進出している。今季も第1節ではアウエーでディナモ・キエフを4-1と下しており、第1節に勝利したチーム同士が対戦することになった。ステアウア・ブカレストは本拠地のステアウア競技場を昨年から今年にかけて改修し、このリヨン戦が最初の国際試合となる。新装なったスタジアムには2万8000人のファンが集まる。
しかし、主役は本拠地の主ではなかった。試合開始からリヨンは積極的に攻め、試合を支配する。ステアウア・ブカレストは守勢一方となる。そして均衡を破ったのはやはりリヨンであった。43分にステアウア・ブカレストのGKがジュニーニョのFKからのシュートの処理にもたつき、すかさずブラジル代表のフレッドが先制点を挙げる。後半に入ってステアウア・ブカレストも懸命に反撃を試み、同点に追いつこうとするが、2点目もやはりリヨンのジュニーニョからのセットプレーであった。55分にジュニーニョが蹴ったCKをポルトガル代表のティアゴがヘッドで決めて追加点を奪う。
さらに特筆すべきは、本連載第629回で紹介したカリム・ベンゼマの活躍である。85分に交代出場し、試合終了間際の89分にジュニーニョからのヒールパスを受けて3点目のゴールを奪う。この3点目はリヨンのこの試合の勝利を決定的にしただけではなく、若手も順調の育っているリヨンの強さを改めて認識させることになった。
■キエフでも圧勝、無失点で前半戦を終えたリヨン
続く第3節は10月17日に行われ、ディナモ・キエフの本拠地で試合を行うことになった。ディナモ・キエフは第1節でステアウア・ブカレストに敗れ、第2節でもレアル・マドリッド(スペイン)に敗れており、リヨンとは対照的に連敗でスタートしている。その相手に対しリヨンは難なく勝利を手にする。黒いセカンドユニフォームのリヨンは今大会で秀逸なセットプレーを見せているジュニーニョがFKから先制点、新加入のキム・カールストロームが追加点、そして3点目はフローラン・マルーダと3-0で勝利を飾る。リヨンは3連勝しかも無失点でグループリーグを折り返したのである。(続く)