第634回 中盤を迎えたチャンピオンズリーグ(4) 退場者に泣いたボルドーとリール、4連勝のリヨン

■アウエーの応援に行きやすい第4節

 第631回から第632回の本連載でチャンピオンズリーグにフランスから出場したチームの第2節と第3節の戦いぶりを紹介したが、折り返し点を迎えた段階で決勝トーナメントまであと一歩なのがリヨン、逆に首の皮一枚のボルドー、そして中間に控えるリールとなっている。
 後半戦のスターとなる第4節は10月31日ならびに11月1日に行われた。ちょうど11月1日は諸聖人の日で祝日であり、この週は学校が休みとなることから、バカンスを取りやすい時期であり、アウエーの応援にも行きやすい。

■初のブラジル代表入りを決めたフェルナンドが退場、ボルドー大敗

 10月31日にはグループCのボルドーがリバプールに遠征した。グループCはリバプールとPSVアイントホーヘンが2勝1分、ボルドーとガラタサライが1分2敗という成績で後半戦を迎え、予想通り2強2弱という構図になっている。上位2チームと下位2チームの勝ち点差は6であり、ボルドーがリバプール戦に敗れ、PSVアイントホーヘンが引き分け以上の場合、ボルドーは決勝トーナメントに進出できなくなる。ボルドーがリバプール戦で引き分けても、PSVアイントホーヘンが勝てば、ボルドーの決勝トーナメントへの道は閉ざされる。第4節は上位2強が下位チームをホームに迎えるというボルドーにとって最も都合の悪い組み合わせである。しかし昨年、ベルダー・ブレーメンは前半戦1分2敗から巻き返して、決勝トーナメントに進出している。国内戦2連勝でリバプールにボルドーは乗り込んだ。
 しかし、23分のリバプールのルイス・ガルシアの先制点がボルドーの希望の灯火を消した。後半開始直後にボルドーは反撃を試みたものの、ゴールは遠い。67分にはフェルナンドがレッドカードを提示される。ブラジル人のフェルナンドは11月15日のスイスとの親善試合のメンバーに選ばれ、ブラジル代表発選出を決めたばかりであり、気負いが裏目に出たのであろうか、いずれにせよボルドーは10人となる。72分にはスチーブン・ジェラードが追加点、さらに76分にはルイス・ガルシアがとどめの3点目、ボルドーはこの試合も無得点で敗れてしまった。グループCのもう1つの試合でPSVアイントホーヘンがガラタサライを2-0と下したことから、ボルドーとガラタサライは決勝トーナメント進出を逃したのである。

■母国のチーム相手に退場、リール足踏み

 11月11日にはリールがアテネでAEKアテネと対戦した。AEKアテネはここまで欧州カップでこれまで21試合未勝利と言う状態である。現在グループで2位のリールにとってはアウエーではこれまでのチャンピオンズリーグで2分4敗とはいえ、アウエー初勝利の大きなチャンスである。
 2週間前にランスでのホームゲームで3-1とでAEKアテネを一蹴したリールであるが、ボルドー同様、退場者を出してしまった。リールのイレブンの中で唯一母国のチームと戦うこととなったギリシャ人DFのエフスタティオス・タフラリディスは開始早々の3分に1回目の警告、そして22分に2回目の警告を受け、リールは1時間以上10人で戦わなくてはならなかったのである。数的に不利なリールも攻撃を仕掛けるがゴールにはいたらず、逆に74分、AEKアテネのニコラオス・リベロプロスが見事な決勝点を奪う。初勝利に対する執念に燃えるAEKアテネはこの1点を守りきり、記念すべき勝利をあげたのである。
 グループHのもう一つの試合はACミランがアンデルレヒトを下して首位を守る。リールは2位であるが勝ち点5のまま、AEKアテネが勝ち点4と迫っており、2位争いは予断を許さない。

■19歳カリム・ベンゼマが決勝点、リヨン4連勝で決勝トーナメントへ

 ボルドー、リールとアウエーで敗れて、休みを取って外国まで応援に出かけたファンを失望させたが、安泰なのはグループEのリヨンである。ここまで3連敗のディナモ・キエフをホームに迎え、前半14分、期待の新星カリム・ベンゼマがシドニー・ゴブーとのワンツーで抜け出し、先制点をあげる。リヨンは決して本調子とはいえなかったが、ディナモ・キエフとの力の差は明白であり、危なげなく最少得点で勝利する。リヨンは4連勝で決勝トーナメント出場を確定する。4連勝は出場32チームでリヨンのみ、さらに無失点であり、抜群の強さを見せている。2月からの決勝トーナメントが楽しみである。(この項、終わり)

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