第640回 チャンピオンズリーグ第5節(1) 足踏みの続くリール、3位に陥落
■12月まで争われるチャンピオンズリーグのグループリーグ
年内の代表チームの国際試合は11月中旬で終了し、フランスだけではなく主要国の代表チームは来年2月まで活動を停止する。しかし、クラブレベルでは12月までチャンピオンズリーグ、UEFAカップで決勝トーナメント進出をかけた戦いが続いており、11月21日ならびに22日に第5節、12月5日ならびに6日に最終の第6節が行われる。
チャンピオンズリーグについては本連載第631回から第634回にかけてグループリーグの第3節と第4節の模様をご紹介した。フランスからはリヨン、リール、ボルドーの3チームが出場しているが、リヨンが圧倒的な強さを見せて早々と決勝トーナメント進出を決めたのに対し、リールは足踏み状態、ボルドーはすでに決勝トーナメント進出を逃している。
11月1日に行われた第4節でギリシャのAEKアテネにアウエーで0-1と敗れてしまったリールは、グループリーグ2位であるが、勝ち点は5であり、AEKアテネが勝ち点4と迫ってきた。リールもAEKアテネも第5節ではホームで戦い第6節はアウエーで戦うため、ホームでの第5節では確実に勝ち星をあげておきたいところである。
■第5節で決勝トーナメント進出の可能性もあるリール
そのリールは11月21日にホームにベルギーのアンデルレヒトを迎える。リールがアンデルレヒトに勝利し、もう1つの試合でAEKアテネがACミランと引き分け以下であれば、リールは第5節で決勝トーナメント進出を決めることができる。
アンデルレヒトはここまで2分2敗と勝ち星がなく、さらにGKに負傷者が続出し、第1GKから第3GKまでが出場できない状態にあり、これまで公式戦に一度も出場したことのない無名のGKが出場することになった。このようなチーム相手にリールが取りこぼしをするとは思われなかったが、リールの思うような結果にはならなかった。リールはこの試合もランスのフェリックス・ボラールでホームゲームを行う。これまでの2試合では満員になることはなかったが、このアンデルレヒト戦はグループリーグ突破を決める可能性があること、そして相手のアンデルレヒトもまだ数字の上では決勝トーナメントへ望みがあり、隣国であることからファンが国境を越えて大挙し、悪天候であるにもかかわらず満員となった。
■先制点、勝ち越し点も実らず引き分けに終わる
リールがボールを支配するが、アンデルレヒトも鋭い逆襲を見せる。先制点はホームのリールであった。28分にナイジェリア代表のピーター・オデムウィンギーが先制点、実に2月ぶりのゴールで均衡を破る。ところが38分にアンデルレヒトはムペンザ兄弟の兄、日本でのワールドカップにも出場したムボ・ムペンザが同点ゴールを上げ、同点でハーフタイムを迎える。
後半はメンバー交代がなく始まったが、立ち上がりに試合は激しく動いた。47分にニコラ・フォーベルグが自らは放ったシュートがこぼれたところを再びシュートし勝ち越し点、満員のファンを歓喜させる。しかし、1分後にはその歓喜が止み、ブリュッセルからやってきたファンの歓声が上がった。48分にはムペンザがリールのGKトニー・シルバの股間を抜くシュートで試合は同点となる。その後は両チーム得点をあげることなく、ブリュッセルでの試合同様、引き分けに終わったのである。
■AEKアテネはACミランを下し2位に浮上、危うしリール
もう1試合はAEKアテネが首位のACミランを1-0で下す。この結果、勝ち点を1しか伸ばせなかったリールはAEKアテネに抜かれて3位に落ちる。また、アンデルレヒトはこの試合も勝つことはできなかったが、勝ち点を3とする。リールにとって救いは最終節で対戦するACミランが首位通過となったことであるが、最終節でAEKアテネが勝てば、2位以内に入ることはできず、自力での決勝トーナメント進出が消えてしまったのである。
さらに、最終戦でリールが敗れ、アンデルレヒトが勝てば、第5節で対戦した両チームは決勝トーナメントを逃し、勝ち点6で並ぶ。この場合、直接対決の成績で3位、すなわちUEFAカップ出場が決まる。リールとアンデルレヒトの対戦成績は2引き分けであるが、アウエーゴール2倍ルールにより、リールはUEFAカップ出場にもおぼつかなくなるのである。(続く)