第664回 16強が決まったフランスカップ

■国内のクラブの試合しか行われない1月

 1月のフランスのサッカーカレンダーには、代表の試合もクラブの試合も国際試合がない。第661回から第663回までの本連載ではリーグカップを紹介し、1月中旬には3月31日に行われる決勝進出チームが決定した。フランスカップはこの段階で1部勢は初戦を終えたばかりでベスト32が出そろったばかりであったが、1月にベスト16決定戦とベスト8決定戦が行われる。一方リーグ戦は第20節から第22節までの3試合が行われる。つまり、1部リーグの選手は1月中に最低でもリーグ戦3試合、フランスカップ1試合の4試合を行い、最大ではリーグ戦3試合、フランスカップ3試合、リーグカップ1試合の7試合を戦うことになる。
 ファンにとっては1年中で一番、国内のクラブの戦いを見ることができる月がこの1月である。

■スペシャリスト、上位陣が注目を集めるベスト16決定戦

 1月15日と16日にリーグカップの準決勝が行われたその直後の週末にフランスカップのベスト16決定戦が行われた。32チームのうち14チームが1部のチームである。年明けに行われ、1部チームの初戦であるベスト32決定戦はジャイアントキリングが話題になるが、リーグ戦も再開された後に行われるベスト16決定戦以降はフランスカップのスペシャリストがどのような戦いをするのか、上位陣同士の対戦が注目の的となる。
 今年のフランスカップもフランスカップのスペシャリストと言うべきチームが勝ち残っている。フランスカップのスペシャリストには2種類あり、下部リーグでありながら上位チームを破って進出してきたチームと、1部のチームでリーグ戦よりもカップ戦を得意とするチームがある。

■1部最下位のスダンに敗れたカレー

 前者の代表はカレーやリブルン・サンスーランであり、後者の代表はパリサンジェルマンであろう。本連載第659回で紹介したとおり、カレーはロリアンを、リブルン・サンスーランはトロワを破り、ベスト16に進出している。カレーはベスト16決定戦でスダンと対戦した。ベスト32決定戦に続き、カレーのホームゲームとなったが、この試合もブローニュ・シュール・メールに舞台を移しての戦いとなった。相手のスダンは1部とはいえ、昨年の11月以来最下位が指定席となっており、カレーにとっては怖くない相手である。しかし25分の先制点はスダンであった。終了間際の86分には追加点を奪う。しかしカレーも追加点を奪われた直後の87分に1点を返し、スタンドを沸かせたが、1点及ばず、2試合連続で1部勢を倒すことはできず、ベスト32どまりとなった。

■CFA2部のチームに逆転勝ちしたリブルン・サンスーラン

 ベスト32決定戦でトロワを下した2部のリブルン・サンスーランはCFA2部のジャルビルとアウエーで対戦した。ジャルビルはナンシーの近郊にある人口1万人弱の小都市である。市内には十分な収容能力の右京議場はなく、ナンシーのマルセル・ピコー競技場にリブルン・サンスーランを迎えた。下部リーグのチーム同士の対戦としては異例の5000人の観客を集めて行われた。壮絶な点の取り合いとなり、90分を終えたところで2-2、延長前半の100分にジャルビルが勝ち越したが、延長後半に入ってリブルン・サンスーランが立て続けに3ゴールあげ、格下相手とはいえ、リブルン・サンスーランが勝利し、フランスカップのスペシャリストとしてベスト16に進出した。

■1部勢11チームがベスト16に進出

 さて、1部リーグでフランスカップのスペシャリストのパリサンジェルマンは、ホームのパルク・デ・プランスで順当に2部のグーニョンを下している。その他の1部勢も概ね順当に勝利し、下部リーグのチームと対戦した1部リーグのチームは10チームあったが、この中で2部のモンペリエにニースが敗れた以外は1部勢が勝ち進んでおり、ベスト32決定戦と比較すると穏やかな結果となっている。ベスト16の内訳は1部リーグ11チーム、2部リーグ2チーム、ナショナルリーグ2チーム、CFAが1チームである。
 ベスト8決定戦は1月30日に行われるが、昨季リーグ1位と2位で、今季のリーグカップの決勝に進出したリヨンとボルドーも残っている。この両チームは30日の試合が今月7試合目となる。この関門を乗り越えると国内の試合は通常のリーグ戦に加え、フランスカップの準々決勝は2月末、リーグカップ決勝は3月末に予定されているが、欧州での戦いが2月から再開されるのである。(この項、終わり)

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