第688回 チャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦(1) 再開後調子の上がらないフランス勢
■折り返し点から失速したリヨン
UEFAカップに続き、チャンピオンズリーグも決勝トーナメントが2月20日から始まった。フランスから決勝トーナメントに進出したのはリヨンとリールの2チームである。特に昨季のリーグ優勝のリヨンはグループリーグでも無敵の強さを見せ首位で突破、グループリーグの成績は4勝2分で勝ち点14、これは決勝トーナメントに残った16チームの中で最高の成績である。グループリーグを1位で通過したことから決勝トーナメント1回戦の相手はグループリーグ2位通過のチーム、さらに第2戦をホームで戦うアドバンテージも与えられており、どのチームと対戦しても不安はないと目されていた。
しかし、待ちに待った決勝トーナメントの開始を前に気がかりなことがある。それは本連載でもしばしば紹介しているとおり、年が明けてからの成績が思わしくないという点である。まずリーグ戦に関してはトゥールーズ、ボルドーと連敗し、1月最後の試合でニースと引き分ける。2月に入ってもトロワに負け、ようやく後半戦5試合目のロリアン戦で初勝利をあげ、続くリール戦に勝利し、チャンピオンズリーグ再開までのリーグ戦後半戦の成績は2勝1分3敗である。また、これ以外のフランスカップ、リーグカップについても1部勢との対戦成績は1勝1敗とリーグ5連覇をしているチームとは思えない。
■2月に入って勝ち星のないリール
また、リールについても同様である。1月は2勝1分と上々の出だしであったが、2月になってから調子を落とす。ナントとスコアレスドロー、トゥールーズ、リヨンに連敗してしまい、2月は未勝利である。リーグ再開後の成績は2勝2分2敗である。フランスカップでも2部のチームを連破したあと、1部のナントと対戦し、準々決勝進出を阻まれている。
■年明けのリーグ戦成績が出場16チーム中14位のリールと15位のリヨン
これらの成績は欧州の頂点を目指すチャンピオンズリーグの16強の中ではかなり見劣りする。年が明けてからのリーグ戦の成績についてリヨンは16チーム中15位の成績、そしてリールは14位の成績である。ちなみに最下位はドイツのバイエルンミュンヘンで、1勝1分3敗である。そして40年前に四冠を達成したスコットランドのセルティック・グラスゴーとイタリアのインテルミラノはリーグ再開後全勝と好調な状態でこの決勝トーナメントに臨むのである。
■2回の出場でいずれもマンチェスター・ユナイテッドと対戦したリール
フランス勢2チームに対してこのような不安は尽きないが、まず2月20日にリールがホームにマンチェスター・ユナイテッドを迎える。今世紀に入ってフランス勢で最もチャンピオンズリーグに出場しているのはもちろんリヨンであるが、それに次ぐのがこのリールであり、3回目の出場である。
これまでチャンピオンズリーグに2回出場したことのあるリールであるが、そのいずれの大会でもマンチェスター・ユナイテッドと対戦している。まず、2001-02シーズンには1次リーグで同じグループに入り、開幕戦をマンチェスターのオールドトラフォードで戦った。アウエーのリールがよく守り、スコアレスドローかと思われた90分にデビッド・ベッカムが決勝点を奪う。そしてホームでは1-1のドロー、結局マンチェスター・ユナイテッドは2位で2次リーグに進出、リールは3位に終わり敗退している。
そして記憶に新しいのが昨年のグループリーグである。まずリールがホームで1-0と勝利し、マンチェスターでの戦いで0-0の引き分けに持ち込む。この結果グループリーグでリールが3位に滑り込んでUEFAカップへ転戦、マンチェスターは4位になり、欧州の舞台から去る。過去10年間で唯一マンチェスター・ユナイテッドがチャンピオンズリーグの決勝トーナメントに出場できなかったのが昨季であり、その悔しさを忘れていないであろう。決勝トーナメント1回戦がそのリールということでマンチェスター・ユナイテッドは闘志を燃やしているのである。(続く)