第725回 2006-07フランスリーグ・フィナーレ(8) トゥールーズ、初のチャンピオンズリーグ出場

■ランスが優位に立つ3位争い

 5月26日に行われたフランスリーグ最終節、注目の3位争いは意外な結果となった。最終節を迎える段階の順位は3位ランス(勝ち点57、得失点差+9)、4位ボルドー(57、+6)、5位レンヌ(56、+8)、6位トゥールーズ(55、-1)となっている。最終節は、3位ランスはアウエーでトロワ、4位ボルドーは6位トゥールーズとトゥールーズで、そして5位レンヌはアウエーでリールとの対戦となる。
 ランスは勝利すれば、勝ち点を3上乗せする。ボルドーも勝利すれば同勝ち点であるが、得失点差で3ポイントランスが優位に立つため、ボルドーが大差で勝利しない限り、チャンピオンズリーグの出場権を確保できる。逆にボルドーはトゥールーズに大勝すればランスを交わして3位に入ることができる。そしてレンヌはランス、ボルドーが引き分け以下の成績の場合、レンヌは勝利すれば逆転で3位となる。
 しかしながら、ランスの相手のトロワはすでに2部降格が決まっており、ランスがトロワ相手に勝利し、ボルドーの相手は上位のトゥールーズであることから、ボルドーの大勝は難しいと思われ、多くのファンはランスが3位になって来季のチャンピオンズリーグに出場すると言う予想が大半であった。

■降格組のトロワに失点したランスに代わり、ボルドーが浮上

 最終節は全10試合が同時にキックオフされる。以前はラジオ片手に観戦していたファンはいまや携帯電話で他会場の途中経過をチェックしながらの観戦となった。エセックとギズレーヌ・ラトビがフランスのサッカーシーンに与えた影響は計り知れない。まずこの3会場で最初にスコアが動いたのは意外なことにトロワのオーブ競技場の試合であった。2部降格が決まり、意欲を失っていると思われたトロワのイレブンであるが、1万3000人のファンの前で8分にガエル・ダニックが先制点、これでランスが一歩後退する。残り82分間、何も起こらなければ、ボルドーがランスを上回り、3位に入る。
 このトロワでの意外な先制ゴールはもちろんトゥールーズのボルドー、トゥールーズの両チームのファンにも瞬く間に伝えられた。このニュースを聞いて優位に立つボルドーは勇気付けられ、17分にブラジル人のウェンデルが先制点、このまま行けばボルドーが勝ち点60の大台に乗せることになる。トゥールーズの市営競技場はほぼ満員となったが、その20分後に今度はトゥールーズのスウェーデン代表、ヨハン・エルマンデルが同点ゴールを入れる。これでボルドーは一歩後退するが、それでもボルドーは他のチームよりも優位なポジションにある。前半を終了したところで、リール-レンヌ戦は0-0、トロワ-ランス戦は1-0、トゥールーズ-ボルドー戦は1-1となり、この段階での順位は3位ボルドー(勝ち点58、得失点差+6)、4位ランス(57、+8、総得点47)、5位レンヌ(57、+8、総得点37)、6位トゥールーズ(55、-1)となっていた。

■ランスとボルドーが連続失点を喫し、トゥールーズが3位に

 前半終了時に最も3位の座に遠かったトゥールーズが一気に3位にランクアップする。50分にエルマンデルが勝ち越しゴールをあげる。ここでトゥールーズが一歩抜け出し、勝ち点1差で3チームが追いかける展開となる。そしてその直後、試合前は最も3位に近いと目されていたランスが脱落する。55分、57分とトロワに追加点を奪われ、3点差となってしまう。勢いを失ったのはランスだけではなかった。トゥールーズのエルマンデルは71分にも得点を決め、ハットトリック達成で、ボルドーも勢いを失う。ラグビーの都・トゥールーズのファンは歓喜したのである。

■試合終盤に3位に浮上したレンヌ、ロスタイムに痛恨の失点

 しかしドラマは終わらなかった。この日全くゴールが記録されなかったリールの試合が動く。74分にレンヌのジョン・ウタカがゴール、これでレンヌが3位に浮上する。そしてこのまま時計の針は動き、レンヌが3位になるかと思われたロスタイムの92分、リールのニコラ・フォーベルグが同点ゴール、このゴールに歓喜したのはリールのメトロポール競技場に集まった地元ファンだけではなかった。トゥールーズはこのゴールのおかげで3位に再浮上、トゥールーズ市営競技場のファンは初めてのチャンピオンズリーグ出場、20年ぶりの欧州カップ出場に沸いたのである。この90分間は3位の可能性のある全4チームが3位になるというスリリングなドラマとなった。
 なお、4位になったレンヌはソショー(フランスカップ優勝)、ボルドー(リーグカップ優勝)とともにUEFAカップ出場、ランスは5位に沈み、インタートトカップからの欧州挑戦となった。(この項、終わり)

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