第748回 2006-07フランスリーグ開幕(1) 注目を集めるリヨンとマルセイユ
■圧倒的な強さを誇る6連覇中のリヨン
8月になり、ファン待望のリーグ戦が開幕した。今年はワールドカップと欧州選手権の間の奇数年ということもあり、5月に国内外のシーズンが終了してから、ファンはサッカーから遠ざかっていた。それだけにシーズン開幕に向けてファンの期待も高い。
今季の見所はなんと言ってもリヨンの7連覇なるか、そしてリヨンの独走を阻止するチームはあるかというところであろう。これまでの本連載で紹介してきたとおり、2001-02シーズンのリヨンの初優勝は最終節でのランスとの直接対決で決まり、まさにハナの差で優勝を収めた。ところがその後リヨンは2位チームとの力の差を広げ、昨季は本連載第707回で紹介したとおり、6試合を残しての第33節での優勝を決めている。
■ピースカップに続きチャンピオンズトロフィーも制す
リヨンは前回までの本連載で紹介したとおり、韓国で行われたピースカップでイングランドのボルトンを破って初優勝を決めている。また、高温多湿の韓国での9日間に4試合という強行スケジュールを終えて帰国した直後にはフランスカップの優勝チームであるソショーとチャンピオンズトロフィーをかけて戦う。ほぼベストメンバーのソショーに対して、リヨンはピースカップで負傷者が相次ぎ、主力を大きく欠く陣容での戦いとなった。リヨンは本拠地ジェルラン競技場に古豪ソショーを迎えたが、先制点はソショーであった。しかし、シドニー・ゴブーが難しい角度からゴールを決めて同点に追いつく。さらに前半終了間際には韓国で負傷し、復帰したばかりのクリスが勝ち越し点を奪う。リヨンは6年連続してリーグチャンピオンとしてこのチャンピオントロフィーに出場しているが、チャンピオンズトロフィーには滅法強く、一発勝負を勝ち上がってきたフランスカップの勝者に対して6年連続で勝利しているのである。
■戦力ダウンしたリヨン、戦力アップしたマルセイユ
ただ、今季のリヨンが2位以下のチームに対して昨年以上の差をつけるかというとそこは疑問符がつく。負傷者についてはいずれ戻ってくるとしても、移籍に関しては明らかに戦力ダウンである。リヨンを去った主な選手としてはエリック・アビダル(バルセロナ)、アルー・ディアラ(ボルドー)、フローラン・マルーダ(チェルシー)、ティアゴ(ユベントス)がいるが、逆に新加入の選手はファビオ・グロッソ(インター・ミラノ)、カデル・ケイタ(リール)など5人を新たに獲得したが、チャンピオンズトロフィーで先発したのはケイタだけであり、選手の出入りだけを考えれば明らかに戦力ダウンである。
一方、期待を集めているのがマルセイユである。1993年に起こった八百長疑惑のため、1992年以来国内外のタイトルから遠ざかっているが、この数年はタイトル争いに加わるようになってきた。特に若手のフランク・リベリーとサミール・ナスリの存在は大きな希望である。大量の選手を入れ替え、リベリーは今季バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)に移籍してしまったが、ナスリは残留している。また、レギュラークラスの選手で移籍したのはリベリー以外にはいない一方、新たに獲得した選手は攻撃陣ではリバプール(イングランド)からフランス代表のジブリル・シセとオランダ代表のボウデビン・ゼンデン、守備に関してはモナコからフランス代表のガエル・ジベ、ソショーのカリム・ジアニと粒ぞろいの選手を集めてきた。
■他チームとキックオフの時間が異なるリヨンとマルセイユ
フランスリーグ第1節は8月最初の週末に行われた。通常の試合は土曜日(4日)の20時キックオフであるが、10試合中3試合は時間をずらしてキックオフされた。そしてその3試合のうちの2試合の主役がこのリヨンとマルセイユであったことはいうまでもないであろう。マルセイユは4日の夕方17時10分にアウエーでのストラスブール戦で開幕を迎える。今季のフランスリーグで他のチームに先駆けてのキックオフである。そしてリヨンは日曜日の夜21時にオセールを迎えての第1戦となる。
第1節からキックオフの時間について特別扱いされていることからもリヨンとマルセイユが注目を集めていることがよくお分かりであろう。(続く)