第798回 女子ハンドボール世界選手権(5) 優勝逃すが、世界最終予選の開催権を獲得
■欧州王者のノルウェーに勝利
世界王者のロシアに敗れたフランスの2次リーグ最終戦の相手は欧州王者のノルウェーである。2次リーグの成績が決勝トーナメントの組み合わせに影響するが、すでにノルウェーはグループ1での首位を確定している。したがってグループ内の順位がすでに確定している同士の対戦となった。フランスはこの日、素晴らしい試合運びを見せる。これまでノルウェーと60戦以上戦い、わずか7試合しか勝利したことがないフランスはノルウェーと大接戦を演じ、最終的には26-24と言うスコアで欧州王者に勝利したのである。この勝利はグループ2を首位で通過したチームと対戦する決勝トーナメント1回戦に向けて大きな希望となったのである。
■韓国の執念の勝利によりルーマニアが首位に
さて、ディジョンで行われたグループ2の首位争いは最終節までもつれ込んだ。ドイツ(勝ち点7)、ハンガリー(6)、ルーマニア(6)の3か国に首位のチャンスがあったが、第1試合でドイツとルーマニアが対戦し、ルーマニアがドイツを下し、ドイツが脱落する。第3試合でハンガリーは韓国と対戦する。ハンガリーが勝利すればハンガリーが1位となったが、第2試合でスペインがポーランドに勝利したことが、この試合に大きく影響した。第2試合でスペインが勝利し、勝ち点を3に伸ばし、勝ち点2の韓国を抜いて暫定4位に浮上する。スペインに抜かれてしまった韓国は勝利しなくては決勝トーナメント進出は不可能である。韓国の決勝トーナメントに対する思いとハンガリーの2次リーグ首位突破に対する思いの戦いとなり、韓国が31-26と勝利し、決勝トーナメントに滑り込み、グループ2の首位はルーマニアとなったのである。
■再延長の末、ルーマニアに敗れる
いよいよ迎えた決勝トーナメントの舞台はベルシーである。12月13日に1回戦4試合が行われた。まずドイツがアンゴラを下し、第2試合ではロシアが大接戦の末に36-35でハンガリーを振り切る。そして第3試合でノルウェーが韓国を下し、第4試合にフランスが登場する。ルーマニアは前回大会の準優勝チームであり、過去のフランスとの対戦成績も28勝17敗とルーマニアが勝ち越しているが、フランスは10月のデンマークでのワールドカップでも対戦しており、25-24と僅差で勝利している。
ベルシーは超満員の1万2000人のファンからの声援を受けたフランスは前半は順調に得点を重ね、前半を14-8とリードして折り返す。ところが後半になってフランスの運動量が落ち、次々に失点を重ね、最終的に追いつかれてしまう。結局60分の前後半が終了した段階で24-24の同点であり、試合は延長戦に突入した。ところが延長戦でも甲乙付かず、10分間の延長戦を終了して27-27のタイスコア、試合は再延長となったのである。この再延長では最後の5分でフランスの体力に限界が現れる。失点を重ね、最終スコアは34-31となり、フランスは準々決勝敗退、優勝の夢は破れたのである。
■韓国との5位決定戦を制し、世界最終予選開催へ
フランスの優勝は消えたが、来年の北京オリンピックの出場権のために5位以下の順位決定戦も重要である。まず順位決定戦でフランスはハンガリーと対戦する。韓国の執念により実現しなかった幻の準々決勝であるが、この試合の前半は接戦となり、フランスが16-15と1点差でハンガリーをリードする。後半に入り、フランスはハンガリーを突き放し、32-27と勝利して5位決定戦に臨むことになった。
5位決定戦の相手は韓国、実は5位と6位とでは大きな差がある。すでにフランスも韓国も今大会では北京オリンピックの出場権は逃し、来年3月の世界最終予選に望みを託すことになる。世界最終予選は3つのグループで行われるが、今大会の2位から4位になった国で開催されることになることは本連載第795回で紹介したとおりである。しかし、今大会のベスト4にすでに出場権を確保しているノルウェーが入っているため、今大会の5位チームにも買い債権が与えられるのである。16日の日曜日の午前中に行われたフランス-韓国戦は本大会で最高の盛り上がりを見せた。前半は韓国が13-12とリードする。そして後半に入ってフランスが逆転、45分にはフランスが3点リードするが韓国も追いすがり、同点に追いつく。そして最後はフランスが韓国を振り切って26-25と勝利して5位に入る。来年の世界最終予選の開催権を得たのである。(この項、終わり)