第806回 リーグカップ4強出揃う(3) ベスト8に残ることができなかった2部勢
■ワールドカップ開催都市以外の試合は順当
前回の本連載ではラグビーのワールドカップ期間中に行われたリーグカップのベスト16決定戦のうちワールドカップ開催都市で行われた4試合を紹介したが、それ以外の10試合の結果はおおむね順当なものになった。
10試合のうち半分の5試合は同一リーグ内の戦いとなり、1部勢同士が3試合、2部勢同士が2試合となった。残りの5試合は1部勢と下位リーグ勢の戦いであり、4チームが2部のチームと、1チームがナショナルリーグのチームと戦うことになった。1部勢同士の戦いはオセールがサンテエチエンヌを、バランシエンヌがソショーを、パリサンジェルマンがロリアンをそれぞれ下した。また、2部勢同士の戦いについてはモンペリエがブレストを、ニオールがルアーブルを、それぞれ延長戦の末に下した。
1部勢が2部勢やナショナルリーグ勢の挑戦を受けた残りの5試合は1部勢が4勝1敗と大きく勝ち越した。ミッシェル・プラティニを輩出したナンシーがジャン・ピエール・パパンを生んだブローニュ・シュール・メールを3-0で下したのに始まり、レンヌが延長戦でクレルモンを振り切った。またニースもトロワにアウエーで勝利した。2回戦で2部のバスティアを下して、唯一のナショナルリーグ勢としてベスト16決定戦に勝ち抜いたラバルは同じブルターニュ勢のルマンと対戦したが、0-1で惜敗する。
■ワールドカップを返上したストラスブール、アミアンに敗れる
ベスト16決定戦で最大の驚きはストラスブールとアミアンの試合である。1部のストラスブールのホームゲームとなったが、本連載の読者の皆様ならば、今から10年余り前、ストラスブールが1998年のサッカーのワールドカップの開催を返上したことをご存知であろう。このラ・メイノー競技場は1938年のワールドカップに使用された歴史のあるスタジアムであり、2001年には改装工事も施している。このようにストラスブールには十分な設備があるにもかかわらず、サッカーのワールドカップを開催しなかったことにより、ラグビーのワールドカップの開催都市にもならなかった。したがって、ストラスブールは、今回のリーグカップのホームゲームも本来の本拠地であるラ・メイノー競技場にアミアンを迎えることになった。しかし、ストラスブールは2部のチームに対して0-2と敗れてしまう。ワールドカップの開催都市でのホームチームが1勝3敗と大きく負け越したが、1998年のワールドカップ開催を返上したストラスブールもまた苦いホームゲームとなったのである。
■学校が休みの週に行われたベスト8決定戦
この結果、ベスト8決定戦の顔ぶれはベスト16決定戦を勝ち抜いた14チーム(1部11チーム、2部3チーム)に加え、チャンピオンズリーグの本戦に直接参戦したリヨンとマルセイユが加わることになったのである。
ベスト8決定戦はラグビーのワールドカップも終わり、フランス国内からその興奮が去った10月の末から11月の初めにかけて行われた。フランスではこの時期は諸聖人祭のため11月1日を含む週は学校が休みになる。例年この11月1日前後には欧州カップが開催されるが、今季はその翌週の11月7日を中心にチャンピオンズリーグ、UEFAカップの試合が行われ、学校が休みとなる週にリーグカップが行われたのである。
このベスト8決定戦の見所は2つであろう。まず、ここまで勝ち残ってきた2部勢3チームの戦いぶり、そしてもう1つはベスト8決定戦が初戦となるリヨンとマルセイユの戦いぶりであろう。
■2部勢3チーム、いずれもベスト8決定戦で敗れる
8試合のうち、1部勢同士の戦いは5試合、残りの3試合は1部勢と2部勢同士の戦いとなった。リヨンとマルセイユはいずれも1部勢との戦いとなった。注目の2部勢は10月30日にアミアンがアウエーでナンシーと対戦する。序盤にナンシーにPKを与えたのが最後まで響き、0-1と惜敗する。そしてその翌日の10月31日にはモンペリエがパリサンジェルマンに挑戦する。今季成績不振のパリサンジェルマンであるが、本拠地パルク・デ・プランスで意地を見せ、開始早々と試合終了直前にパウレタが得点をあげて2-0と2部チームの挑戦を退けた。そして2部勢最後の望みが11月1日に登場したニオールである。ニオールは地元にルマンを迎える。ルマンはベスト16決定戦に続き下部リーグとの戦いとなる。途中退場で1人少なくなったが、ニオールを3-0と一蹴し、2部勢最後の望みも絶たれた。2部勢はベスト8に1チームも残ることができなかったのである。(続く)