第814回 2008年アフリカ選手権(6) 8強のうち半分がフランス人監督

■過去3人のフランス人が優勝監督に

 これまでの本連載で今回のアフリカ選手権には過去最多の7人のフランス人監督が参加し、第1戦では上々のスタートを切ったことを紹介した。これまでの大会を振り返ると1988年大会でカメルーンを率いたクロード・ルロワ、2000年大会でカメルーンを率いたピエール・ルシャントル、2004年大会でチュニジアを率いたロジェ・ルメールの3人が優勝監督となっている。そして今回は参加チームの半数近くがフランス人監督であり、4回目の偉業なるかと言うことでフランスのサッカーファンが注目した。
 この7人の率いるチーム(ガーナ、ギニア、モロッコ、マリ、コートジボワール、チュニジア、セネガル)を中心に今大会を振り返ってみよう。

■クロード・ルロワのガーナとロベール・ヌザレのギニアが8強

 まず、ナミビアを除くガーナ、ギニア、モロッコという3チームがフランス人指揮官のグループAであるが、開幕戦でギニアを下したクロード・ルロワ率いるガーナは第2節でナミビアを1-0で下して連勝する。また、ギニアは第1節でナミビアに勝利したモロッコと対戦する。ギニアは11分にサンテエチエンヌに所属する主将のパスカル・フェインデューノが先制点、その後も得点を重ね、63分にフェインデューノがPKを決めて3-1とリードを広げる。ところがこのフェインデューノが67分に後方からタックルしてしまい、退場処分を受ける。20分以上1人人数の少ない状態で戦わなくてはならなくなったギニアに対し、モロッコは攻勢をかけ、ロスタイムが4分と表示された90分、得点をあげて、1点差に迫る。4分間のロスタイムも攻め続けたが同点に追いつくことはできず、ギニア、モロッコとも1勝1敗で最終節を迎えることになった。
 最終節は同時刻に2試合がキックオフされた。メイン開催地のアクラではガーナとモロッコが対戦する。4万人の地元大観衆の前で、ガーナは前半に2得点をあげ、決勝トーナメント進出に向けて優位な戦いとなる。モロッコは窮地に追い込まれて後半を迎える。後半は両チーム無得点となり、3連勝を飾ったガーナがグループ首位で決勝トーナメントに進出する。
 一方、サブ開催地となったセコンディのギニア-ナミビア戦は前半を終了した段階で両チーム得点がない。後半になってロベール・ヌザレのギニアが62分に先制、この時点でギニアはモロッコに対して明らかに優位に立った。ナミビアも追いつくのが精一杯で、結局ギニアは貴重な勝ち点1を追加し、後半も無得点のモロッコを押さえ、グループ2位になる。名将アンリ・ミッシェルはグループリーグで敗退となり、今回もまた栄光に届かなかった。

■ジェラール・ジリのコートジボワール、早々と8強入り

 グループBのジェラール・ジリのコートジボワールとジャン・フランソワ・ジョダールのマリは初戦勝利でスタートした。第2節でコートジボワールはベナンに4-1と大勝し、勝ち点6となる。マリはナイジェリアとスコアレスドローとなる。第3節を迎える段階で、グループBは首位コートジボワール(勝ち点6)が決勝トーナメント進出を決め、以下の順位は2位マリ(4)、3位ナイジェリア(1)、4位ベナン(0)となった。最終節はコートジボワール-マリ、ナイジェリア-ベナンと言う上位同士、下位同士の対戦となった。フランス人監督のチーム同士の戦いでマリは引き分け以上で決勝トーナメント進出となる。ところが、マリは9分に失点、後半にも2失点し、0-3で敗れる。一方のナイジェリアは前半こそ無得点であったが、後半になって2得点、2-0でベナンを下す。この結果、マリとナイジェリアは勝ち点で並び、直接対決でドロー、得失点差の争いとなり、ナイジェリアが2位に滑り込み、ジョダール率いるマリは姿を消したのである。

■ロジェ・ルメールのチュニジアも首位通過

 そしてグループDでは、初戦で引き分けたチュニジアとセネガルは対照的な結果となる。ロジェ・ルメールのチュニジアは第2戦で南アフリカに勝つ。そして最終戦もアンドラと引き分け、首位で決勝トーナメントに進んだ。
 一方のアンリ・カスペルチャックのセネガルは第2戦でアンドラに敗れる。1分1敗となった時点でカスペルチャックは解任されてしまう。セネガルは決勝トーナメント進出の可能性がわずかに残っていたが、このショック療法も実らず、暫定監督で臨んだ最終戦も南アフリカ相手にドロー、未勝利のまま、ガーナの地を去ったのである。
 結局、7人のフランス人監督のうち4人が決勝トーナメント進出、8強の半分を占めたのである。(続く)

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