第819回 強豪スペインと親善試合(1) A’代表はコンゴ民主共和国と引き分ける
■年の最初の親善試合で不調なフランス代表
昨年11月に欧州選手権の予選の最終戦のウクライナ戦が昨年最後の代表の試合となったことは第787回の本連載で紹介した。欧州選手権イヤーを迎え、6月を照準にして代表チームを強化していかなくてはならない。
フランス代表の今年初めての試合は2月6日のスペインとの親善試合である。ちょうど今年はこの時期にアフリカ選手権が開催されていることもあり、フランスリーグに所属する多数の選手がアフリカに戻ることもあり、リーグ戦の試合数も少なくなる。この時期に強化のための親善試合を代表チームが行うことは有益である。
毎年最初の親善試合は昨年は2月7日にアルゼンチンを迎えて0-1の負け、2006年は3月1日にスロバキアとホームで対戦して1-2の負け、2005年はスウェーデンを迎えて1-1のドロー、2004年はベルギーとブリュッセルで対戦し2-0で勝利している。過去3年間のホームの試合はいずれもスタッド・ド・フランスで行っており、勝ち星がない。
■スタッド・ド・フランスのこけら落としの相手となったスペイン
また、近年は年の初めの試合は2月に行われているが、かつては1月に試合を行ったこともあり、実は10年前にはスタッド・ド・フランスが完成したこともあって1月28日にこけら落としを兼ねてフランス代表の試合が行われている。そのときの相手がスペインであり、このときはフランスがジネディーヌ・ジダンのゴールで1-0と勝利している。
今年は2月6日のスペインのマラガでのスペインとの親善試合が初めての試合となる。欧州選手権まで実質4月と言う段階で貴重なチーム強化の試合であり、相手のスペインにとってもこれは同様であろう。昨年の8月以来、フランスは7試合行っているが、そのうち5試合は欧州選手権予選であり、親善試合は昨年8月のスロバキア戦、11月のモロッコ戦だけである。モロッコ戦はちょうど欧州選手権予選の試合がなかった日に最終戦となるウクライナ戦を控えてチームの調整の意味合いが強かったため、メンバーの見極め、タレントの発掘と言う点での親善試合はほぼ半年振りとなる。
■35人のメンバーをフル代表、A'代表に招集
レイモン・ドメネク監督はその半年前のスロバキア戦と同様の体制でこのスペイン戦に臨んだ。スロバキア戦については本連載第751回から第753回で紹介したが、34人のメンバーを招集し、フル代表戦の前日にA'代表の試合も行った。A'代表の編成は実に6年ぶりのことであった。そして今回も35人のメンバーを招集し、フル代表の試合の前日にA'代表がコンゴ民主共和国と対戦したのである。
1月末に発表された35人のメンバーにはこれまで代表の試合に出場したことがない選手が5人いる。GKのユーゴ・ロリス(ニース)とスティーブ・マンダンダ(マルセイユ)、DFのガエル・クリシー(アーセナル)、のジェレミー・メネス(モナコ)、ジミー・ブリアン(レンヌ)と言うメンバーである。半年前のスロバキア戦の際も代表での試合経験のない選手が4人選出されたが、その中でフル代表のスロバキア戦に出場したのは今回も選出されているバカリ・サーニャだけであり、その後の代表の試合に出場することができた選手もサーニャとウクライナ戦に出場したGKのセバスチャン・フレイだけである。一方、ブリアンは昨夏もメンバーに入っており2度目のチャンスである。
ドメネク監督はA'代表の試合の前夜にフル代表19人とA'代表16人にメンバーを振り分けた。5人の代表未出場選手はいずれもA'代表にとどまった。A'代表は若手の選手が主体となり、最年長のジェローム・ロタン(パリサンジェルマン)ですらまだ29歳である。
■アフリカ選手権出場を逃したコンゴ民主共和国とドロー
コンゴ民主共和国はアフリカ選手権予選では最終節を迎える段階で首位であったが、最終戦をホームでリビア相手に引き分けてしまい、ガーナ行きのチケットをナミビアに奪われてしまった。アフリカ選手権予選敗退を機に大幅にメンバーを入れ替え、半数以上が代表未経験というメンバーである。
マラガ近郊のマルベラで試合が行われ、わずか300人の観衆、さらには後半途中に停電で試合が中断すると言うアクシデントに見舞われた。試合は0-0のスコアレスドローに終わったが、その中で高い評価を受けたのが左サイドバックのクリシーである。翌日のフル代表のメンバーは19人、欧州選手権の23人のメンバーの座をめぐる争いからも目が離せない。(続く)