第66回 連覇を目指す23人(2) ようやく勢ぞろいしたフランス代表
■フランスリーグの得点王シセ、優勝GKクーペが代表入り
第一段階に相当するティーニュ合宿のメンバー発表の段階でフランスリーグに所属する選手の当落が確定した。ボーダーライン上から当選したのが、代表歴のまったくないジブリル・シセ(オセール)と第3GKのグレゴリー・クーペ(リヨン)である。
シセは昨年のワールドユースで活躍し、今季のフランスリーグでも得点王に輝いており、ファン待望の代表入りである。またリーグ制覇したリヨンのクーペは代表歴はわすか1試合、しかも唯一の出場試合は昨年6月のコンフェデレーションズカップでの豪州戦での0-1の敗戦という成績であるが、若手のミカエル・ランドロー(ナント)をおさえて選出された。クーペは昨夏の自チームのティーニュ合宿に参加していないこともあり、新たな気持ちで第三の男としてチャンスを狙う。ランドローはワールドカップより一足早くスイスで開催されるU-23の欧州選手権の主将として欧州一を目指す。
■落選組のカリエール、アネルカ、カランブー
一方、この段階で落選が確定したのがMFのエリック・カリエール(リヨン)であり、メンバー発表前に本人に連絡が入った。ロベール・ピレス(アーセナル)の負傷による長期離脱によってチャンスが拡がったかに見えたカリエールであるが、ユーリ・ジョルカエフ(カイザースラウテン→ボルトン)、ジョアン・ミクー(パルマ)というリーグ戦で試合出場が少なかった選手が調子を上げてきたことから落選となった。さらに、ティーニュ合宿対象外のクラブに所属する選手のうちでニコラ・アネルカ(リバプール)もジブリル・シセが選出されたことから望み薄となった。シーズン中にパリサンジェルマンからリバプールに移籍したアネルカは4月17日のロシア戦で起用されたが、首脳陣の期待に十分に応えることはできなかったようである。また、3月27日のスコットランド戦で観客からのブーイングを浴びたクリスチャン・カランブー(パナシアイコス)は4月27日に行われたギリシャカップ決勝のAEKアテネ戦で負傷し、その後の経過が思わしくないことからメンバーに入らないことが5月2日に確定した。カランブーがメンバーから外れることが明らかになった段階で、23人のメンバーが実質的に決定した。
■第二段階で13人が追加招集、最後に欧州王者の2人
第二段階は5月14日からクレールフォンテーヌで行われる合宿で、5月7日に追加の13人のメンバーが発表された。第一段階であるティーニュ合宿に参加した8人と加えても21人にしかならないのは5月15日の欧州チャンピオンズリーグの決勝を控えているレアル・マドリッドの選手が最後に招集されるからである。第二段階のクレールフォンテーヌでの合宿に追加されたメンバーは以下のとおりである。GKのファビアン・バルテス(マンチェスター・ユナイテッド)、DFのフィリップ・クリスタンバル(バルセロナ)、マルセル・デサイー(チェルシー)、ミカエル・シルベストル(マンチェスター・ユナイテッド)、リリアン・テュラム(ユベントス)、MFのパトリック・ビエイラ(アーセナル)、エマニュエル・プチ(チェルシー)、アラン・ボゴシアン(パルマ)、ジョアン・ミクー(パルマ)、FWのシルバン・ビルトール(アーセナル)、ティエリー・アンリ(アーセナル)、ダビッド・トレゼゲ(ユベントス)、ユーリ・ジョルカエフ(ボルトン)である。
そして、最後の2人は5月13日に発表された。2日後に欧州のクラブの頂点に立つことになるレアル・マドリッドのジネディーヌ・ジダンとクロード・マケレレである。
■2000年欧州選手権組は16人、初めての大舞台は6人
この23人のメンバーを見渡すとGKだけ3人が規定によって選出されており、それ以外については各ポジション2人ずつ選出されるというバランスを重視したメンバー構成になっている。2000年の欧州選手権ベルギー・オランダ大会のメンバーは16人、うち13人は1998年ワールドカップ・フランス大会でも優勝している。
クーペ、シルベストル、クリスタンバル、ビリー・サニョル(バイエルン・ミュンヘン)、マケレレ、シセの6人は初めての大舞台、1998年ワールドカップに出場したボゴシアンは返り咲きとなる。所属リーグ別ではイングランド8人、フランスとイタリアが5人ずつ、スペイン3人、ドイツ2人であり、国内リーグの選手は2割にとどまったが、弱冠20才のシセがメンバーに入ったのは今後のフランス・サッカーを考える上で大きな収穫であろう。(続く)