第851回 2007-08フランスカップ・ファイナル(2) ボージョワール競技場を沸かせたCFA2部のカルクフ
■1部からリヨン、メッス、ボルドー、パリサンジェルマンが8強入り
フランスカップのベスト8決定戦は3月18日と19日に行われた。前回の本連載で紹介したとおり、その半数の8チームは1部リーグのチームであったが、くじ運のなせる業か、8チームのうち6チームは1部勢同士の戦いとなってしまった。リーグトップのリヨンは昨年の優勝チームであるソショーと対戦したが、リヨンは2-1とソショーを下す。リーグ最下位のメッスはロリアンをアウエーで下し、フランスカップにかける意気込みを示す。そしてリーグ上位でチャンピオンズリーグ出場を目指すボルドーとリールが対戦し、延長戦にもつれ込んだが、延長後半にボルドーが2得点を奪い、勝利する。
残る1部勢2チームはパリサンジェルマンとマルセイユと言う人気チームである。パリサンジェルマンは本拠地パルク・デ・プランスで2部のバスティアと対戦し、2-1で勝利し、カップ戦のスペシャリストの実力を見せる。
■CFA2部のカルクフ、マルセイユを倒す
そしてマルセイユは5部に相当するCFA2部のカルクフと対戦する。ベスト8決定戦に進出した16チームのうち最も低いレベルのリーグに所属するカルクフであるが、ベスト16決定戦ではナンシーを下している。今回もカルクフはホームゲームであるがカルクフにある本拠地のムーラン・ボワソー競技場は3000人しか収容できないため、ナントのボージョワール競技場を借りてマルセイユを迎えることになる。このボージョワール競技場はベスト16決定戦ではカルクフと同じCFA2部のルポワレシュールビがパリサンジェルマンと対戦し、2試合連続してCFA2部のチームが1部の人気チームを迎えることになった。本来の主のナントは2部に所属し、今季のフランスカップで本拠地ボージョワールに登場したのは11月下旬の7回戦だけであり、ベスト16決定戦でスダンに敗れ、姿を消している。
ボージョワール競技場はカルクフの応援に駆けつけたファンで3万6500人の満員に膨れ上がった。この満員の観衆の声援に応え、カルクフは前半の7分にセネガル人のCFパパ・エンドイエが先制点をあげる。マルセイユはその後80分以上、試合を支配したがゴールを奪うことができず、カルクフがまさかの勝利をあげて8強入りを果たしたのである。
この他に2部リーグでベスト8決定戦を勝ち抜いたアミアン、ディジョン、スダンをあわせた8チームが4強を目指して4月15日と16日に準々決勝を戦うことになったのである。
■リーグ首位のリヨンは4強入り、追うボルドーは敗れる
シーズンの終了まであと1月、欧州カップから全てのフランスのチームは姿を消し、国内のリーグ戦は終盤を迎え、またリーグカップも終了し、パリサンジェルマンが優勝している。8強に残った1部のチームは首位のリヨン、最下位のメッス、そしてリヨンを追う2位のボルドーと、残留争いをするパリサンジェルマンの4チームである。
リヨンはメッスと対戦し、順当勝ちして4強入りする。ボルドーは2部のスダンと対戦したが、延長戦でも両チーム得点なく、PK戦でスダンが勝利する。また、2部で14位のアミアンは18位と降格圏内にあるディジョンと対戦し、終了直前に相手のGKのミスにも助けられた決勝点をあげて、4強入りする。
■パリサンジェルマン、台風の目のカルクフを下して4強入り
そしてすでにUEFAカップ出場権を確保しているパリサンジェルマンであるが、なんと今大会の台風の目であるカルクフとアウエーで戦うことになった。この試合もナントのボージョワール競技場で行われ、ベスト16決定戦から連続して3試合目のフランスカップの開催となる。パリサンジェルマンはベスト16決定戦でルポワレシュールビと、カルクフはベスト8決定戦でマルセイユとこの競技場で対戦しており、両チームにとってこの競技場では2試合目となる。カルクフは人口1万7000人の町であるが、この日も3万6000人の観衆で満員となる。カルクフはすでにナンシー、マルセイユを倒してきたが、さすがに3試合連続して1部勢を倒すことはできず、試合の終盤にパリサンジェルマンのパウレタが、決勝点をあげる。カルクフの夢は破れたが、今季のフランスカップを大いに盛り上げたのである。(続く)