第893回 2008-09 欧州カップ本戦開幕(4) リヨン、第4シード相手のホームゲームは引き分け

■初日に唯一2敗したフランス勢

 前回の本連載では欧州カップ本戦の開幕日に当たる9月16日にフランス勢として登場したボルドーとマルセイユがいずれもイングランドのクラブに敗れたことを紹介した。9月16日にはチャンピオンズリーグはグループAからDの4グループで16チームが参加し、8試合が行われたが、この日、同一リーグから2チームが参加したリーグがある。スペイン(アトレチコ・マドリッドとバルセロナ)、イングランド(ヘルシーとリバプール)、イタリア(ASローマとインテルミラノ)、フランス(マルセイユとボルドー)の4リーグであり、これにドイツを加えれば欧州の5大リーグとなる。フランス勢だけが2敗し、それ以外の3リーグからのチームは全て勝利で開幕戦を飾っている。このフランス勢の名誉を挽回すべく、大会2日目にリーグ7連覇中のリヨンが登場した。

■8連覇を狙う今季もリーグ戦首位のリヨン

 リヨンは本拠地のジェルランにイタリアのフィオレンチナを迎える。今年で9年連続でチャンピオンズリーグに出場することになるリヨンであるが、これまでの最高成績はベスト8と国内での無敵振りとは裏腹に物足りない成績である。昨年はグループリーグの最初の2試合で連敗したが、グループリーグでは勝ち残り、5年連続で決勝トーナメントに進出した。しかし決勝トーナメントの1回戦でマンチェスター・ユナイテッドに敗れてしまう。
 8連覇を狙う今季もリーグ戦では好調であり、本連載第878回で紹介したとおり、開幕戦でトゥールーズを大差で下し首位に立ち、第2節ではロリアン相手に引き分けたものの、第3節から3連勝、リーグ戦4勝1分という成績でリーグトップでチャンピオンズリーグの開幕戦を迎える。

■4部から復活してきたフィオレンチナ

 一方のフィオレンチナはジャンカルロ・アントニオーニを擁して1979年に訪日したこともあり、イタリアのクラブチームとして日本でもっとも人気のあるチームの1つであろう。訪日時は名門チームであったが、その後の経営破たんで一時は4部リーグに相当するセリエC2まで降格してしまう。その後見事に復活し、昨季はリーグ4位、UEFAカップ準決勝進出という成績を残す。今季のチャンピオンズリーグは予備戦の3回戦からの出場となったが、チェコのスラビア・プラハを下して本戦出場を決めている。イタリアのセリエAの開幕は8月末であり、31日に行われた開幕戦はユベントスとの対戦、同じようにイタリアの名門クラブでありながら、経営破たん、八百長で下位リーグに降格させられ、今季は復活して予備戦を経てチャンピオンズリーグに出場することになったという共通点を持つチーム同士の対戦となった。フィレンツェで行われた試合は1-1のドローとなる。そして第2節でフィオレンチナはナポリにアウエーで敗れ、15位でチャンピオンズリーグ本戦を迎えることになった。

■2点のリードを許したリヨン、引き分けが精一杯

 チャンピオンズリーグのシード順でリヨンは第1シード、フィオレンチナは第4シード、国内リーグ戦が始まってからの成績、そしてホームゲームであると言うこともあり、リヨン有利と言う試合前の評判であったが、やはりリヨンはチャンピオンズリーグが苦手であるようである。リヨンはこの試合で守備の要のブラジル代表のクリスをベンチに下げ、ストッパーはサイドバックでに起用が多かったジャン・アラン・ブームソンと本来はMFのマチュー・ボドメールがストッパーを務める。この選手起用が裏目に出た。12分にブームソンのミスからイタリア代表のアルベルト・ジラルディーノに先制点を許してしまう。さらにジラルディーノは42分にも追加点を奪う。前半はリヨンもしばしば得点機を迎えていたがノーゴールで、ホームのリヨンは思いもかけなかった2点のリードを許してハーフタイムを迎える。
 後半に入り、無得点が続くが、ようやく73分にはフレッドに代わって入ってきたフレデリック・ピキオンヌがフランス代表GKのセバスチャン・フレイの守るゴールを破り、1点差に詰め寄る。そして86分にはジュニーニョのFKからチャンスをつかみ、カリム・ベンゼマが同点ゴールを決めたが、同点で試合は終わる。第4シードのフィオレンチナ相手のホームゲームで確実に勝ち点3の欲しかったリヨンであるが引き分けでスタートになったのである。(続く)

このページのTOPへ