第897回 姿を変えるUEFAカップ(3) フランス勢の優勝のないUEFAカップ
■イタリア、スペイン、イングランド勢が占める欧州の頂点
前回の本連載では来季からヨーロッパリーグへと姿を変えるUEFAカップだけではなく、他のチャンピオンズリーグ(チャンピオンズカップ)、カップウィナーズカップなどの変遷の歴史を紹介してきたが、今回は欧州カップでのフランス勢の成績を紹介しよう。
まず、欧州三大カップの中のこれまでの国別の優勝回数を振り返ってみると、チャンピオンズリーグ(前身のチャンピオンズカップを含む)はイタリア、スペイン、イングランドがそれぞれ11回ずつ優勝しており、それに続くのが6回のオランダとドイツである。そして4回のポルトガルまでが複数回の優勝経験のある国であり、一部の強豪国がタイトルを寡占してきたことがよくわかる。優勝1回の国はルーマニア、スコットランド、旧ユーゴスラビアである。フランスは1993年にマルセイユが優勝したが、タイトルを剥奪されている。フランスのクラブは決勝で5回も敗れており、複数回決勝戦に出場した国のうちで決勝戦での勝率が最も低い国である。ちなみに決勝進出回数では、最多はイタリアの25回、以下スペイン20回、イングランド16回、ドイツ13回、ポルトガル9回、オランダ8回となり、フランスは7番目に位置している。
■優勝国が多彩になるカップウィナーズカップとUEFAカップ
次にカップウィナーズカップであるが、国別の優勝回数はチャンピオンズリーグに比べてバラエティに富んだ国々のクラブが優勝している。最多優勝回数を誇るのはイングランドの8回、続いてスペインとイタリアの7回、ドイツ5回、ベルギーと旧ソ連が3回、スコットランド2回、1回だけ優勝した国がフランス、ポルトガル、オランダ、旧チェコスロバキアとなっており、優勝経験国は11か国である。そして決勝進出回数についてはスペイン14回、イングランド13回、イタリアとドイツが11回、ベルギー7回、スコットランドと旧ソ連が4回、フランスはオーストリアと並んで3回となっており、3回の決勝進出で1回優勝を果たしている。
そしてUEFAカップであるが、優勝経験国は12に広がる。最多優勝国はスペイン、イングランド、イタリアの10回であり、ドイツが6回、オランダが4回である。2回優勝したことがあるのはスウェーデン、旧ソ連と旧ユーゴスラビアであり、1回優勝経験があるのはベルギー、ハンガリー、トルコ、ポルトガルである。また決勝進出回数に関してもスペイン、イングランド、イタリアが18回で並んでおり、ドイツが13回、そしてオランダが6回でこれに続き、ベルギー、ハンガリーとともにフランスは4回決勝に進出している。4回決勝に進出しながら1度も優勝することができないフランスはチャンピオンズリーグと同じく決勝に複数回進出した国のうちで決勝戦での勝率が最も低い国である。
■他の強豪国に大きく水をあけられたフランス勢
このように欧州三大カップの優勝はイタリアが29回、スペインとイングランドが28回と3か国が拮抗しており、ドイツが17回で負っている。欧州のサッカーのリーグはこれらの4か国にフランスを加えて5大リーグと称されているが、フランスの優勝回数はわずかに2回(うち1度はタイトル剥奪)と大きく水をあけられている。また決勝戦での成績は2勝11敗と大きく負け越しているが、決勝進出回数が13回と言うのも不本意な数字であろう。
■UEFAカップでの最初で最後の優勝を目指すフランス勢
そして唯一優勝経験がないのがこのUEFAカップである。フランス勢は1977-78シーズンのバスティアが最初の決勝進出チームである。このときはPVSアイントホーヘンと対戦し、ホームでスコアレスドロー、アイントホーヘンで0-3と敗れタイトルを逃している。そしてカップウィナーズカップでパリサンジェルマンが優勝した1995-96シーズンにはボルドーが決勝に駒を進めたが、バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)にアウエー、ホームとも連敗している。1997-98シーズンから決勝戦は1回戦制になったが、マルセイユが2度決勝に進出している。1998-99にはパルマ(イタリア)とモスクワで対戦して敗れ、2003-04シーズンにはエーテボリでバレンシア(スペイン)に敗れている。
今年のUEFAカップについては本連載第894回で紹介したとおり、フランス勢は第1戦は4戦全勝でスタートしたが、第2戦を終えた時点でパリサンジェルマン、ナンシー、サンテエチエンヌとレンヌ以外が勝ち上がっている。最後のUEFAカップでフランス勢として最初で最後のトロフィーを獲得したいものである。(この項、終わり)