第898回 前半の天王山、ルーマニア戦(1) 年内最後の予選に臨む22人
■年内最後の予選となるルーマニア戦
チャンピオンズリーグ、UEFAカップの本戦が始まり、2試合が終了したところで、再びワールドカップ予選が行われる。本連載では9月初めのアウエーのオーストリア戦、ホームのセルビア戦について第885回から第889回で紹介したが、1勝1敗という成績であった。10月には11日と14日がインターナショナルマッチデーに設定されているが、フランスは11日にアウエーでルーマニア戦を戦い、15日はワールドカップ予選が設定されていないため、チュニジアと親善試合を行うことになっている。また、11月のインターナショナルマッチでーにもワールドカップ予選の試合が組まれていないため、ウルグアイと親善試合を行うことになっており、フランスにとってこのルーマニア戦が今年最後のワールドカップ予選の試合となる。また、ルーマニアも同様であり、10月15日にも11月にもワールドカップ予選の試合が組まれていないため、本年最後の真剣勝負、3月末までの長い中断期間を迎える。
■フランスとほぼ同条件のルーマニア
ルーマニアはグループ7の中ではフランスに次ぐ第2シードであり、フランスにとって最大のライバルである。上位2チームが本大会出場と言う大会規定であるが、第5シードのオーストリアに敗れたフランスにとっては勝ち点を落とせない相手である。そしてルーマニアも第1戦でリトアニア相手にまさかの0-3と言う敗戦を喫している。両国は6月の欧州選手権のグループリーグでも戦い、スコアレスドローと言う結果になっていることは本連載の第859回と第860回で紹介している。
当然2勝同士で対戦すると予想されていた両国であるが、1勝1敗という不本意な成績でこのワールドカップ予選前半戦の大一番といえる戦いに臨むことになった。
■攻撃陣がマイナーチェンジした22人
レイモン・ドメネク監督は10月2日にルーマニア戦ならびにチュニジア戦に臨む22人の選手を発表した。GKはスティーブ・マンダンダ、ウーゴ・ロリス、DFはエリック・アビダル、ガエル・クリシー、ロッド・ファンニ、フィリップ・メクセス、バカリ・サーニャ、セバスチャン・スキラッチ、パトリス・エブラ、ウィリアム・ギャラスの8人、MFはアルー・ディアラ、ラッサナ・ディアラ、ジェレミー・トゥーララン、パトリック・ビエイラ、ヨアン・グルクフ、ハテム・ベンアルファ、フローラン・マルーダ、フランク・リベリーの8人、FWはティエリー・アンリ、ニコラ・アネルカ、フローラン・シナマ・ポンゴル、カリム・ベンゼマの4人が選ばれた。
9月のオーストリア戦、セルビア戦のメンバーと比較すると、ビエイラとリベリー、シナマ・ポンゴルが復帰し、マチュー・フラミニ、シドニー・ゴブー、サミール・ナスリがメンバーから外れた。攻撃陣は選手を入れ替え、GK、DFという守備陣はメンバーを入れ替えていない。守備陣の乱れからオーストリア相手にまさかの敗戦を喫したフランスであるが、ドメネク監督は自信を持ってメンバーを選考しているのであろう。
■代表発表前夜に衝撃を与えたシナマ・ポンゴル
この中で注目すべきはベテランのビエイラの復帰と若手のシナマ・ポンゴルの起用であろう。4人の守備的MF(ビエイラ、アルー・ディアラ、ラッサナ・ディアラ、トゥーララン)まで含めるとビエイラは唯一9月の試合にエントリーしていなかった選手である。ビエイラは2002年の親善試合でアンリとともに出場し、ルーマニア戦の勝利の経験のある選手である。
そして23歳のシナマ・ポンゴルがもう1人の注目選手である。代表チームでの出場経験はなく、フランス国内では2002-03シーズンに1シーズンしか1部リーグでの出場経験がなく、それ以降は国外に移籍してしまい、フランスのサッカーファンにはなじみの薄い選手であった。
しかし、そのシナマ・ポンゴルがフランスのサッカーファンに衝撃を与えたのは、代表メンバー発表前夜の10月1日のことであった。シナマ・ポンゴルが所属しているスペインのアトレチコ・マドリッドがチャンピオンズリーグでマルセイユと対戦し、シナマ・ポンゴルは大活躍し、2-1という勝利の立役者となり、フランスのサッカーファンを落胆させる。しかし、赤と白の縦縞のアトレチコ・マドリッドのユニフォームから青いフランス代表のユニフォームに着替えての大活躍を、フランスのサッカーファンは期待しているのである。(続く)