第913回 チャンピオンズリーグ、決勝トーナメントへの道(1) 立ち直ったリヨン、決勝トーナメントへ

■フランスから3チームが参戦しているチャンピオンズリーグ

 日本では暦の上では師走、読者の皆様は、年末の日本の風物詩として定着したクラブワールドカップを心待ちにされておられるであろう。前身のインターコンチネンタルカップの時代から27年、クラブ世界一を決める戦いの日本開催は今年がひとまず最後となる。この長い歴史の中でフランスのクラブチームが参加することができなかったのは残念であるが、来季のクラブワールドカップを目指して欧州では熱い戦いが続いている。
 チャンピオンズリーグ、UEFAカップとも年内にグループリーグを行い、年明けからはノックアウト方式のトーナメント方式に入る。フランス勢でグループリーグに参戦しているのはリヨン、ボルドー、マルセイユの3チームである。

■序盤戦は不安な戦いとなったフランス王者リヨン

 この中でもっとも期待が大きいのがフランス王者のリヨンであり、第1シードとしてグループFに入っている。リヨンについては本連載第893回でグループリーグ第1節の戦いぶりを紹介しているが、グループリーグで一番力が劣ると思われるフィオレンチナ(イタリア)とホームで引き分けてしまった。従来からチャンピオンズリーグを苦手とするリヨンは今年も不安な立ち上がりとなった。
 続く第2戦の相手は第2シードのバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)であり、アウエーゲームとなった。フランス代表の看板選手であるフランク・リベリーを擁するバイエルン・ミュンヘンは第1節ではアウエーゲームながら第3シードのステアウア・ブカレスト(ルーマニア)に1-0と勝利しており、実力のあるところを見せている。9月30日にミュンヘンのアリアンツ・アリーナで行われた試合でリヨンは前半25分に幸運なオウンゴールで先制しながら、後半に入って同点に追いつかれてしまい、第1戦同様ドローとなっている。
 グループFは第2節を終了した段階でバイエルン・ミュンヘンが勝ち点4、リヨンとフィオレンチナが勝ち点2、ステアウア・ブカレストが勝ち点1である。リヨンの序盤戦は、思うに任せぬ結果で、今季も危ういと思われた読者の方は少なくなかったであろう。

■ステアウア・ブカレスト相手にアウエーで逆転劇

 しかし、同一の相手と連戦する第3節と第4節で状況は変わった。リヨンは最下位のステアウア・ブカレストと対戦する。実は2年前も両チームはグループリーグで対戦し、この時の模様は本連載第631回と第650回で紹介しているが、リヨンはアウエーで3-0と勝利し、すでに順位が確定していた最終節のホームの試合では引き分けている。
 2年前同様まずブカレストで試合が行われた。リヨンはいいイメージを持っているはずだが、8分、11分と連続して失点を喫する。23分にカデル・ケイタのゴールで1点差に詰め寄り、33分にはカリム・ベンゼマのゴールで追いつくが、前半終了間際に失点し、1点差で折り返す。リヨンは後半も得点をあげることができず、今年もチャンピオンズリーグでは力を発揮できないのかと思われたが、最後の20分間は劇的な展開となった。70分にはフランス代表として活躍中のジェレミー・トゥーラランのパスをブラジル代表のフレッドが決めて同点、そして71分にはジュニーニョからのパスをベンゼマが決めて勝ち越す。さらにロスタイムにフレッドが追加点、リヨンは大逆転で5-3と初勝利を上げ、単独2位に上昇した。

■3連勝を飾り、6年連続6回目の決勝トーナメントへ

 この勝利でリヨンは勢いづく。11月5日のホームでのステアウア・ブカレスト戦は前後半ともなかなかゴールを奪うことができない展開が続いたが、前後半とも終了間際にリヨンが得点をあげる。前半は44分に20メートルのFKをジュニーニョが決める。そして後半は89分にアントニー・レベイエールがゴールネットを揺らし、満員のジェルラン競技場でラ・マルセイエーズの大合唱の響く中、2-0と勝利する。同日に行われたフィオレンチナ-バイエルン・ミュンヘン戦はドローとなり、リヨンがトップに躍り出たのである。
 そして11月25日に行われた第5節のアウエーでのフィオレンチナ戦でもリヨンは勝利を収める。15分にカメルーン代表のジャン・マクーンが先制点、27分にベンゼマが追加点、フィオレンチナの反撃を1点にとどめ、2-1と逃げ切り、リヨンは6年連続6回目の決勝トーナメント進出を決める。リヨンは第6節では同勝ち点で並ぶバイエルン・ミュンヘンとグループ1位の座をかけて対戦するのである。(続く)

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