第925回 年明けの象徴、フランスカップ(4) マルセイユ、パリサンジェルマン勝利、リヨンは延期

■大応援団が肩透かしを食ったコンカルノー

 前回の本連載ではリーグ上位チームや欧州カップで勝ち残っているチームの戦いのうち、1部勢と対戦したレンヌ(リーグ2位)、ボルドー(リーグ2位、UEFAカップ参戦中)、サンテエチエンヌ(UEFAカップ参戦中)のベスト32決定戦での戦いを紹介し、レンヌとサンテエチエンヌが勝ち残ったことを紹介した。
 今回は下位のリーグのチームと対戦することになったリヨン(リーグ1位、チャンピオンズリーグ参戦中)、パリサンジェルマン(リーグ4位、UEFAカップ参戦中)、マルセイユ(リーグ5位、UEFAカップ参戦中)について紹介したい。
 まず、土曜日の1月3日に試合が予定されたのがコンカルノー-リヨン戦である。5部リーグに相当するコンカルノーはブルターニュ地方の最西端のフィニステール県にある都市である。フィニステールとは大地の終わりと言う意味であり、まさに最果ての地である。コンカルノーはフランスの王者を迎えるために地元を離れ、隣県のガンガンでホームゲームを開催することになった。そしてこの試合、人口約2万人のコンカルノーからも多数のファンが遠征したのである。しかしながら、このガンガンでのホームゲームの主催が裏目に出る。グラウンドが凍結し、試合のできる状態ではなく、試合開催は24日に延期されてしまったのである。リヨンは今年初めての試合が延期され、コンカルノーはガンガンまで遠征してきた大応援団が肩透かしを食った形になった。

■マルセイユ、ブザンソン相手に薄氷の勝利

 マルセイユは4部リーグに相当するCFAのブザンソンとホームで対戦したが、冷や汗ものの試合であった。ブザンソンのレオ・ラグランジュ競技場(前々回の本連載で紹介したサンジュヌビエーブ・ボワの本拠地はレオ・ラグランジュ通りにあり、レオ・ラグランジュとはかつてのスポーツ長官の名前である)はジャイアントキリングを期待する1万人以上のファンで鈴なりの状態となった。新春のフランスは寒波に襲われ、スイスに近いフランシュ・コンテ地方のブザンソンのグラウンドも凍結していたが、試合は決行された。この試合、マルセイユは苦しみ、前半は無得点、そして後半に入って67分、マルセイユの守備に中心であるストッパーのロナルド・ズバールが痛恨のオウンゴールで先制点を許してしまう。このままブザンソンがリードしたまま時計の針は進み、マルセイユに焦りが見られる。そして残りわずかとなった83分、ブザンソンのDFがペナルティエリアの中で痛恨のハンド、マルセイユはタイエ・タイウォがPKを決めて九死に一生を得る。延長戦に入っても両チーム得点なく、PK戦となり、マルセイユは5人全員が成功させ、ブザンソンは5人目が失敗し、マルセイユは薄氷の勝利でベスト16決定戦に進出した。

■代役GKのパリサンジェルマンが勝利

 一方、パリサンジェルマンもCFAのモンルソンと対戦した。中央高地のオーベルニュ地方にあるモンルソンもクレルモン・フェランに舞台を移してホームゲームを開催し、8000人のファンが集まった。パリサンジェルマンは元フランス代表の正GKのミカエル・ランドローが負傷のためメンバーから外れている以外はベストメンバーである。パリサンジェルマンが試合を支配するが、モンルソンは組織的な守備でゴールを許さず、ハーフタイムを迎える。後半に入って52分、ジェローム・ロタンのCKをステファン・セセニョンが右足でゴールを決めて、パリサンジェルマンがリードを奪う。この1点を昨年パリサンジェルマンに移籍して以来、公式戦初出場となるアルメニア代表GKのアプーラ・エデルが守り、パリサンジェルマンは初戦を突破したのである。

■4つのタイトルを追いかけるパリサンジェルマン

 さて、パリサンジェルマンはリーグカップでもモナコ、ナンシーを連破し、準々決勝に進出している。リーグカップについては今回紹介したリヨンはベスト8決定戦でメッスに敗れ、マルセイユはソショーに敗れている。また、前回の本連載で紹介したチームでベスト32決定戦を勝ち抜いたレンヌはUEFAカップのグループリーグで敗退し、サンテエチエンヌはリーグカップの初戦で敗れている。
 つまり、パリサンジェルマンは国内三冠(リーグ、カップ、リーグカップ)に加え欧州カップでも勝ち残っており、フランスで唯一、この段階で4つのタイトルを追いかけているチームなのである。(この項、終わり)

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