第944回 リヨン、バルセロナと対戦(1) ホーム第1戦は追いつかれてドロー

■欧州カップベスト16進出チームの国別分布

 前回までの本連載ではUEFAカップの1回戦の模様を紹介し、フランス勢はサンテエチエンヌ、パリサンジェルマン、マルセイユが16強入りしたことを紹介した。ベスト16入りしたチームの国別分布でこれはウクライナと並んで最多である。それ以外はドイツとロシアが2チーム、イングランド、イタリア、オランダ、トルコ、ポルトガル、デンマークがそれぞれ1チーム残っている。
 一方、今回から紹介するチャンピオンズリーグではグループリーグを終えた時点で16チームが決勝トーナメントに残っており、フランス勢はリヨンが唯一進出している。同じくベスト16の国別分布を見るとイングランドとスペインが4チームで両国のチームだけで半分を占める。そしてイタリアが3チーム、ポルトガルが2チーム、フランス、ドイツ、ギリシャが1チームであり、両カップのベスト16の国別比較をすると、その構成の違いは明確であり、トップクラスのリーグのチームが集まるチャンピオンズリーグ、セカンドクラスのリーグのチームが集まるUEFAカップという構図がお分かりであろう。

■スペイン、イングランドに次ぐフランスリーグの実力

 フランスは2つの欧州カップのベスト16に4チームを送り込んでおり、これはイングランドの5チームに次ぎ、イタリア、スペインと並ぶ数字である。3チームを送り込んでいる国はドイツ、ウクライナ、ポルトガルの3か国、ロシアが2チーム、オランダ、トルコ、デンマーク、ギリシャが1チームである。
 このように見るとフランスリーグはイングランドやスペインには及ばないものの、依然として欧州のトップクラスのリーグであることが見て取れる。

■似たチームカラーのリヨンとバルセロナ

 このフランス勢で唯一チャンピオンズリーグの決勝トーナメントに残っているのが、リヨンである。しかし、リヨンの1回戦の相手は強豪バルセロナ(スペイン)、これまでチャンピオンズリーグでリヨンが4戦して1分3敗という成績である。
 リヨン市の紋章はライオンがモチーフとなっているが、下地は赤と青、よってリヨンのチームカラーは赤と青である。リヨンと姉妹都市である横浜にある横浜マリノスと奇しくも同じチームカラーである。そしてバルセロナのチームカラーは青と臙脂であるが、バルセロナ市の色は赤と黄色であり、市の色がサッカークラブの色になっていない。これはFCバルセロナの創設者がスイス人であり、彼の故郷のサッカーチームであるバーゼルと同じチームカラーを採用したからである。

■ジュニーニョ先制、ロリスの好守、アンリの同点ゴール

 リヨンの本拠地、ジェルラン競技場での第1戦、似たようなチームカラーであるが、バルセロナは青と臙脂のファーストユニフォーム、リヨンは黄色に青と赤のラインの入ったセカンドユニフォームである。リヨン不利と言う前評判の中、予想外の展開となった。まず7分にリヨンのジュニーニョがFKを決めて先制点を奪う。その後両チーム積極的に攻めるが、ゴールはなく、前半はリヨンが1-0とリードして折り返す。
 後半になるとリヨンは勝利を意識して引き気味になる。欧州屈指の攻撃力を誇るバルセロナは弱気なリヨンを圧倒し、ボールを支配する。5分を過ぎたころからバルセロナの猛攻が始まる。この猛攻の間、バルセロナの決定的なシュートを2度にわたってリヨンのGKウーゴ・ロリスが阻止する。フランス代表の第2GKであるロリスにとっては、マルセイユに所属する第1GKのスティーブ・マンダンダのUEFAカップでの活躍が気にならないはずがない。
 しかし、このロリスの守るゴールを打ち破ったのは皮肉なことに同じフランス代表のティエリー・アンリであった。シャビ・ヘルナンデスからのCKをアンリが得点し、リヨンは追いつかれる。試合の残り時間はバルセロナのワンサイドゲームとなった。しかし、バルセロナの追加点はなく、リヨンは引き分けに持ち込むのが精一杯であり、1-1のドローでホーム第1戦を終えたのである。(続く)

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