第947回 チャンピオンズリーグ、フランス勢の低迷(2) リーグチャンピオン・リヨンの苦戦

■参戦5年目で初めて8強入りしたリヨン

 リーグチャンピオンとして初めてチャンピオンズリーグに臨んだ2002-03シーズン、リヨンは1次リーグで敗退しただけではなく、転戦したUEFAカップでもオセール以下の成績しか残せなかった。
 リーグチャンピオン2年目の2003-04シーズンはリヨンは過去最高の成績を残すが、ショッキングな結果となる。1次リーグから参戦したリヨンはバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)、アンデルレヒト(ベルギー)、セルチック・グラスゴー(スコットランド)を抑えて、グループリーグで堂々の首位となる。決勝トーナメントでは1回戦(ベスト8決定戦)でレアル・ソシエダ(スペイン)を下し、準々決勝に進出する。準々決勝ではポルト(ポルトガル)に敗れてしまうが、8強入りはリヨンにとって参戦5年目にして初めてのことであった。

■前年度2位のモナコが欧州2位になる快挙

 ところが、この2003-04シーズンの主役はリヨンではなかった。前年度のリーグ戦で2位になったモナコが快進撃。グループリーグは首位で突破、決勝トーナメントに入って、1回戦ではロコモティフ・モスクワ(ロシア)と対戦、1勝1敗で通算得点でも並んだが、アウエーゴール2倍ルールによってベスト8入り。準々決勝では伝説のチーム、レアル・マドリッド(スペイン)と対戦。このレアル・マドリッド戦は伝説の試合となった。本連載の第315回ならびに第317回で紹介しているが、マドリッドでの第1戦をモナコは2-4で落とすが、モナコでの第2戦は先制点を許しながら、その後3点を奪って大逆転、2試合通算の成績は1勝1敗、5-5となるがアウエーゴール2倍ルールでモナコは4強入りし、主役の座をリヨンから奪ったのである。
 勢いに乗るモナコは準決勝でも会心の試合運びを行う。チェルシー(イングランド)相手に1勝1分という成績で決勝に進出したのである。モナコにとっては1992年のカップウィナーズカップ以来2度目の欧州カップ決勝となったのである。ドイツのゲルゼンキルヘンで行われた決勝の相手は準々決勝でリヨンを下したポルト、このポルトに勝てば完璧なストーリーであったが、モナコはポルトに0-3と完敗する。しかしながら、10年ぶりのフランス勢のチャンピオンズリーグ決勝進出にフランス中が沸き、リヨンは忘れ去られたのである。

■リーグチャンピオンとしてようやく3年目に面目を保つ

 モナコの活躍の陰ですっかり影が薄くなってしまったリーグチャンピオンのリヨンであるが、2004-05シーズン以降は今シーズンまでリーグチャンピオンとしてフランス勢として最良の成績をキープし続けてきた。2004-05シーズンはグループリーグではマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)を押さえ首位で通過。決勝トーナメント1回戦ではベルダー・ブレーメンに2試合とも大勝し、ベスト8入りする。準々決勝ではPSVアイントホーヘンにPK戦の末敗れるが、2年連続の8強入りを果たす。そして他のフランス勢は前年度リーグ2位のパリサンジェルマンがグループリーグで敗退、前年度リーグ3位のモナコは決勝トーナメント1回戦負けという成績であり、リヨンはリーグチャンピオンとして参戦3年目にしてようやく面目を保ったのである。

■3年連続で8強に進出した2005-06シーズン

 続く2005-06シーズンもリヨンはリーグチャンピオンとしての意地を見せる。グループリーグではレアル・マドリッドと同じ組に入りながら、5勝1分と言う圧倒的な強さで首位で通過する。決勝トーナメント1回戦では前年苦汁をなめさせられたPSVアイントホーヘンを2試合とも完封して連勝する。3年連続でベスト8入りしたが、準々決勝の相手はACミラン(イタリア)、ホームの第1戦はスコアレスドローでしのいだが、アウエーの第2戦で1-3と敗れてしまい、なかなか壁を破ることができないのである。
 ちなみにこの年、リヨン以外にフランスから出場したチームの戦績は、前年度リーグ2位のリールが決勝トーナメント1回戦で敗れ、同3位のモナコは予備戦で敗れており、前年に引き続きリヨンは面目を保っている。
 リヨンは3年連続8強入りを果たしたが、その翌年から辛い時代を迎えることになったのである。(続く)

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