第952回 リトアニアに連勝(2) 若手中心のメンバー、2人が代表初選出

■パトリック・ビエイラ、メンバーに入らず

 4年以上守り続けていたフランス代表監督の座が危うくなったレイモン・ドメネク監督、リトアニアとの連戦に向けて3月19日に23人のメンバーを発表した。注目は今回もパトリック・ビエイラの選考である。昨年、惨敗した欧州選手権では負傷中のビエイラに固執し、メンバー入りさせ、決勝トーナメント進出をターゲットに復帰を待っていたが、結局チームはグループリーグで敗退してしまう。それだけの人材なのである、パトリック・ビエイラという選手は。
 欧州選手権後、ビエイラは負傷に悩まされるが、昨年10月11日のアウエーでのルーマニア戦の先発メンバーに入る。しかしながら、試合前の練習中に負傷し、先発メンバーをアルー・ディアラに譲る。所属チームでのインテル・ミラノでは復帰後問題なく試合に出場していたが、ここでビエイラは再び戦列から離れる。11月18日のウルグアイとの親善試合では主将として先発するが、ハーフタイムでベンチに退く。
 年が明けて今年1月には代表からの引退を表明したが、リトアニア戦メンバー発表の直前にパルク・デ・プランスで行われたパリサンジェルマンとマルセイユの試合ではドメネク監督とビエイラは一緒に観戦し、ドメネク監督の思いが伝わる。ビエイラはドメネク監督就任後に出場した試合では主将として重用されてきたが、ビエイラは23人のメンバーには入らなかった。

■数少なくなったベテラン選手

 23人のメンバーはその経歴によって3つのグループに分かれる。まず、代表出場歴が50試合を越えるベテラン選手、ティエリー・アンリ(109試合)、ウィリアム・ギャラス(70)、ニコラ・アネルカ(55)の3人がこれに相当する。
 続いて代表歴が二桁の選手となるとぐっと少なくなる。フランク・リベリー(34)、ジェレミー・トゥーララン(23)、カリム・ベンゼマ(20)、アルー・ディアラ(18)、ラッサナ・ディアラ(17)、パトリス・エブラ(17)、サミール・ナスリ(14)、セバスチャン・スキラッチ(13)、フィリップ・メクセス(12)の9人であり、代表歴が10試合以上の選手は半数の12人しかいない。つまり、メンバーの半数は代表歴が一桁という若いチームである。

■半数が代表歴一桁という若いメンバー構成

 その代表歴が一桁の選手たちであるが、GKは3人とも該当し、スティーブ・マンダンダ(7)、ウーゴ・ロリス(1)、セドリック・カラッソ(0)であり、3人合わせても出場試合数の合計は8試合にしかならない。DFは8人中半数の4人が該当し、バカリ・サーニャ(7)、ガエル・クリシー(2)、ロッド・ファンニ(2)、アディル・ラミ(0)である。MFは7人中2人だけであり、アブー・ディアビー(2)、ヨアン・グルクフ(7)の両名である。そして5人のFWのうちジミー・ブリアン(3)とアンドレ・ピエール・ギニャック(0)の2人が代表出場数一桁の選手である。
 このように若い選手の多いメンバーとなった。この大一番に代表出場歴のない選手を3人選出しているが、第三GKのカラッソは2月のアルゼンチン戦に招集されており、ラミとギニャックの2人が初めて代表に招集されている。

■代表初招集となったラミとギニャック

 ラミはリールに所属する23歳のDFである。フランス代表には初招集であるが、昨年3月に行ったフランスA’のメンバーとしてマリと対戦している。ラミの先祖はモロッコ出身であり、モロッコ代表入りも可能であったが、ラミはフランス代表入りを実現したのである。
 もう1人の代表初招集のギニャックはトゥールーズに所属する23歳のFWである。この時点でリーグ戦で17得点を記録し、リーグ得点王である。リーグでの好調さから本人は2月のアルゼンチン戦の際に声がかかると期待していたようであるが、結局声はかからずチームも完敗する。このアルゼンチン戦での完敗がギニャックをクレールフォンテーヌに呼び寄せることになったのであろう。ギニャックは2007年にトゥールーズに移籍し、UEFAカップの予備戦で決勝ゴールを上げ、国際試合には強い。ギニャックは母方がアルジェリア系であり、アルジェリア代表になる資格もあったが、フランス代表の道を選んだ。
 モロッコ代表よりもフランス代表を選んだラミ、アルジェリア代表よりもフランス代表を選んだギニャック、この2人はリトアニアとの連戦で代表にデビューし、フランス代表の救世主となることができるであろうか。(続く)

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